第24話現れた少女
あれから翔はどんどん成長している。
僕にはアニメで見た隊長さんや、凄い賢者さんみたいにはやっぱり上手く教える事は出来なかった。
翔は試練とか言って、無駄じゃ無かったと言ってくれたが全然だ。
一ノ瀬さんが教えてくれるようになってから直ぐに魔力を込める事を翔は覚えた。後回しにしていた戦闘技術も、もう素人とは呼べないレベルにまで上達している。ファナは得手不得手が神様だろうとあると励ましてくれた。
その通りだと思う。僕に出来るのはやっぱりサポートだと改めて感じた。
だから全力で今日も応援するのだ。
朝ごはんのために市場にやって来た。
新鮮な野菜や果物身体に良い物しか売って無いけど、それでもその中でよりいいモノを選ぶ。
「う~ん。わぁーこれ、良いな、あっ、こっちも」
今日は少し辛めの野菜炒めをお弁当に入れるつもりなのだ。
だから畑になってない野菜を〜。謎の物体、野菜を〜。
「ずみまぜん、前にあっだじどでずよね〜」
「わぁっ!!」
野菜置き場の角に人が入ってた。
すごい顔で泣いてる。花水が。
「あの~使いますか?」
ハンカチを出すと「ありがどう」と受け取った少女は前に元の世界に戻した娘だった。
「あれっ、帰れなかったの?」
「帰れまじた。でも、まだ事故にあっちゃっで」と、おいおい泣く姿がとても癒やされる。可愛い。いや、癒やされないけど。
「今度はほんとに、来たんだ」。完全に転移パターンだよね。これ。
「大丈夫だよ。今買い物中何だけど一緒に来る?」
「イギマス」
まだ鼻声で喋ってるけど、少し落ち着いたかな。
「そういえば弟さんは?」
これが駄目だったんだ。地雷だった。彼女曰く、自転車に弟さん乗せて走ってる時にスピード出し過ぎで崖から落ちてしまった。空高く飛んだ後は覚えてない。気がついたらあの野菜置き場に居て、弟を巻き込んだかもしれないと思うと怖くて立ち上がれなくなった、と。弟さんも来てるかもしれないから探そうと励ますとトボトボ歩いてくれるようになった。
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