第22話老人の神
ファナリスの家に戻るとさっそく紹介が始まった。
満を持してと言うふうに「こちら、あたしの友人の1人で一ノ瀬刀っていうの、あんたの師匠になるわ」と。まるで後ろに大きくデデンと音が聞こえる。相当自信たっぷりの顔。
だが、当の本人は「わしが?」と初耳のように小さな爺さんが小首を傾げる。
「そうよ。手紙に書いたわよね」
「そうじゃった?わし、師匠にはならんぞぃ」と断って来た。
「はぁ?手紙の返事はもうあんたの大好きなナズナちゃんからもうもらってるわよ」
「いーやじゃ〜、わしはもう弟子はとらん!弟子とか好きじゃ無いし」と駄々をこねる。
「どうしてよ、弟子いたでしょ」
「どっかに行きおった」
「…いいじゃない、ならコイツを新しい弟子にすれば」
「嫌じゃ〜嫌じゃ〜、ナズナちゃんと縁側で茶を飲んで暮らすんじゃ〜」
話が長くなると考えたので、俺はニコと目を合わせ退散するように部屋を出た。
まぁ、ファナリスの゙言ってる事も解るけど爺さん本人がアレじゃあ無理だな。俺からニコに言うかな。(でも、こいつも駄々捏ねるよな)
どうすっかな〜。俺も何となく解る。ファナリスの゙言いたい事は。
う~ん、どうするかな。今日の゙訓練。
ニコはどうするんだろうか。とりあえず、メシでもどうかな、早いけど、たまには良いだろう。そうだ。さっきの迷子どうなったかな。ちゃんと元の世界に帰れたかな。無事だと良いが。
俺達が玄関から出ると、今度は小さい婆ちゃんが寄って来た。
「あ~、あの何か?」
婆ちゃんは俺の返事に返答はせずにぐるぐると回り、ぽすぽす叩くと頷き。家の中に入って行く。
すると中からファナリスに呼び戻された。
「こちらナズナさんね」
ファナリスが紹介してくれた小さな婆ちゃんはどうやら爺さんの゙奥さんで爺さんが家でウダウダして居る事に困ってたから丁度良いと剣の指南役を引き受けるとファナリスに返事をしたそうで。
「うんうん、いい感じの子だね」
ナズナさんは隅で駄々こねる爺さんを無視して俺達に話を続ける。
「どうせ剣の゙事ばっかり考えるんだから、家の中で居るより良いと思うのよ、まぁ修行は爺さんに任せとき」
ニコが何か言わないうちに俺は返事をする。
「爺さん、よろしくな」
剣の指南をしてもらう事にした。
その後軽く親睦会のとして皆でご飯を食べに行った。今まで行ったことのない通りにあった料理店で肉が最高に旨い。
「いや〜、めっちゃ美味かったな、ニコ」
「うん」
「無理してたろ」
「うん」
「だろうな。テンションおかしかったもんな」
「バレてたか〜」
と少し自信無さげに笑うので、俺はポンポンとニコの゙頭に手を置く。
「良し、明日から剣の修行だ」
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