第21話

次の日、朝ごはんを食べた後俺とニコはファナリスの屋敷に向かう為に準備をしていた。

「もっとゆっくりすれば良いのに」

「駄目だよ。きっと何か重要な事だと思うし、早く行こう。話が早く終わったらまた訓練に行かなきゃ」

ファナリスの家までは街の中を通る。

焼き鳥屋とか露天がたくさん出てるし、活気があるからついついそっちに行きたくなる。ここらでもゲームとか売ってそうだし、街巡りがしたい。

「ニコ〜、街巡り行かね?」

「用事が先だよ」

「少しぐらいいいじゃんか〜」

「う~ん、あっそうだ、ファナリスにお茶菓子買って行こうかな、その間なら街を観てきても良いよ」

「やった~ナイスニコ。流石神様すぐ戻るから」と俺は自由を得た。

さてさて、まずは、最初にどこ行くかな〜屋台でかき氷でも食べるか?いや、イカ焼きか。普通に過ごし過ぎてる。

 それにしてもここにいる奴等が全部神様と、その眷属とは思えないよな~。居る奴等の姿は別者が多いけど、もう慣れた。まるで向こうの世界に見える。

平和で穏やかな日常。

ライオン、セイウチが屋台、テーブルに座っているしわしわの羊の婆ちゃんとよく分からんがじいちゃん。走る人間の子供、空を漂うぷちスライム達の゙群れ。道の脇で溶けた顔で寝てる半透明の生物の゙ゆるキャラ。

空の向こうの方で何かとんでもなくでかそうなのが飛んでるけど怖さは全然ない。あっちコッチで音楽が流れて、って駄目だ。貴重な自由時間、何かせねば。結局ほとんど何もしてないのに時間だけは過ぎて来るので屋台で、焼き鳥を買う。ライオンのおっさんがオマケでもう一本くれた。

 ニコの所に戻って来たけどニコはまだ選んでいるようだったので街巡りを再開する。ゲームでも売ってないか探そうと思って居ると街の真ん中でウロウロするいかにも迷子そうなのが居た。つい興味で聞いてみた。

「何やってるんだ?」

「えっ、あっ、人が居た。良かった〜。ここってどこかの遊園地とかかな〜なんか変なのがいっぱい居るから怖くて、でも、怖く無くてなんて言えばいいんだろ。そうじゃなくて、出口、出口ってどっちかな。あたし早く弟の所に戻らないといけないんだ」とあちこちを見回す少女は俺とほとんど変わらない年齢に見える。

「あ~迷子?」

「迷子?違う違う、うん。迷子かも」

変な奴だな。

「あんたの神様どんな奴?」

「神様?いや、出口知らない?」

う~ん、会話が成立してないな。

リアルって出口あんのかな?まぁあるだろうけど街だし。自分の主人の所でも行けばいいのに、変な奴。

「おーい、翔、もう行くよ~」とニコの声が聞こえたので

「悪いな、もう行かなきゃ、その辺の奴等にでも聞いてみ。たぶん教えてくれるからさ」と、俺は変な奴をおいてニコのもとに戻った。

急いで行かないとまた、あの妖精が五月蝿そうなので変な奴の話はあとにしてファナリスの家に急ぐ。

 到着すると直ぐに中に通された。ファナリスは外をちらちら見ながら、早かったわねと俺達にジュースを出す。

最初は手土産を出したりしてたけど肝心の話を始めない。

「なぁ」

「何?」

「いや、話は?何かあるから、呼んだんだろ」

「ええ、もう少し待ちなさいよ、言ったでしょもう一人呼んでるって」

「時間あってんのか」

「合ってるわよ」

 それから手土産のお菓子を無言で食べて、ニコがファナリスの家に持ち込んだビデオ観て。長いのか短いのかして外に探して来るというファナリスと屋敷前で話始めた時に、さっきの迷子?が座り込んで居たのだが、俺を見るなりすごい速さで寄って来た。半泣きで。

「う~、出てくるのが遅いよ~」「怖かったよ〜、普通途中で置いてかないでしょ、助けてよ~」

「お前なんでこんな所居るんだ?さっさとお前の神様の所行けばいいだろ」

「だから〜、何言ってるの〜?あんたが居なくなった途端に周りのが寄って来てちょ〜怖かったんだからね」

「翔?この人誰かな?」

「コイツ?なんか知らんけど迷子らしい。ニコが菓子探してる時に見つけた」

「迷子?」ニコが不思議そうにして一瞬首を傾げたが、直ぐにファナリスと顔を見合わせると表情がかわる。

「君、名前は?」

「えっと分からない」

「何か覚えてる?」

「私、弟を探してる」

ファナリスが家に大急ぎで入って戻って来た。紅茶を持ってる。

「アナタ、とりあえずこれ飲んで」

「ありがとう、喉かわいてたの」と言いながら飲んだ迷子が急に眠る。身体が透明になりニコがゆっくりその身体を抱きしめるとスーっと消えた。

「なんだ。おい。何やってんだ消えたぞ」

「戻したの」

「戻した?何処に」

「彼女の世界によ」

どういう事だ。突然過ぎて理解が出来ない。

「彼女は意識がこっちに飛んできた存在だから元の世界に返したんだよ」

「返した?戻れるのか?」

「翔の時とは違って意識の破片が来てたの、元の意識は元の世界にあるはずだから」

「変に何かすれば中途半端な存在になって、悪くすれば危ない存在になるの」

ファナリスが言う。危ないとはつまり化け物になってしまう事らしい。

「で、紹介したい神様ってのはまだ来ないのか?」

「う~ん、オカシイわね、あいつもリアルの住人だから近い筈なのに」

待つのも面倒なので3人で探すことにした。

とりあえず街に行く。

基本わかりやすい路ばかりですれ違う事も無いハズと俺達の前を飛びながら

説明している妖精が急に大きな声で叫ぶ。

「居たー!」

「どれ?」

「あれよ」

と飛んでくファナリスについて行くと、テーブルでご飯を美味しそうに食べるじいちゃんのところへ。

あれさっきも羊の婆ちゃんと飯食べてたじいちゃんじゃん。

「こらー!」

「どきり!!」

どきりって言うんだな。

「なんじゃ、びっくりする」

「びっくりするじゃ無いわよ、待ってたのよ」

「朝ごはん」と少しぷんぷんして居る。

朝ごはん食べてんのかよ、もうとっくにおやつの時間も過ぎてるがな。

「何言ってるのよ」とファナリスがブンブン周りを飛び回る

「ブンブン、おぉ、ファナリス、久し振り」と今気づいた様にファナリスに言う。

「あんた、ボケたの?」と

「あのさ、ファナリスが待ってたのってこのお爺さん?」

「そう。なんか歳とったわねコイツ」





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