第18話訓練2気が付いた

俺は昨日感じた胸の所に手を当て集中しながら走る。距離を取る方にしたほうが安全だが、魔力を開花させる事も重要。できるだけ障害物に身を隠しながらニコの様子を伺いつつ、集中してみる。昨日感じた感覚にすぐにたどり着く。もっと集中だ。

集中するとなんだかグラグラし始める。景色が揺れ動く。熱い。いや暖かな何か。いや熱い!矢が来ていた。

危うく顔に当たるところを慌てて避けて走り出す。隠れて走る。隠れて走る。いいぞ。上手く行っている。相変わらず走りっぱなしだが、いい感じだ。ニコが居なくなった。いつもなら矢を放つ時に聞こえるキメゼリフっぽいのがない。

何処に?上にいた。明らかにこっちを見ている。矢の本数が5倍は有るんじゃないか?おいおい!

「少し上げるよ!」

そんな風に聞こえた。途端ニコを中心にして全方位から矢が飛ぶ。

やばい!こんなの集中出来るわけない。今すぐ走って距離をとらないと。くそっ。熱い!服は当然焦げ始めたからすぐ脱ぎ捨てる。なるべく当たらない様に軌道を読む。足に刺さる。熱い矢が貫通した。近くにあった水場に飛び込んですぐに、足を確認しながら水場から上がって移動する。水の中に居たら動きが鈍くなるからいい的だと思ったのだ。案の定。水場に矢が撃ち込まれていく、さっき居た場所だ。そして使わせないと考えているのか?矢のガトリングガンかと思う量が降りそそぎ水場は無くなった。移動するしかない。足を引きずりながら距離を取ろうと必死だ。ゾクリとする。槍が刺さっている。地面に。いつから?

「しゅぴーん!ランサーストラ〜イク」

ボゴッと。地面が抉られている。

矢よりでかいのに、疾くなってる。逃げる。あんなものが当たったらどうなるか、想像したくない。

障害物にしている木が裂かれる音がひっきりなしに聞こえてくる。後ろを見てる暇はない。

ゴッー!っと音が近づく気がする

足がもつれる。疾く走らないと。走れ走れ。足に力を入れろ。足がさっきより軽い気がする。魔力ってこれか?もっともっと集中しろ!!グラグラする走りにくい。もつれる。意識が揺らぐ。

どぶっと何かが吹き出る音が耳が死んだ。声が聞こえない。あまりの痛さに大声を出したからか鼓膜がイカレタ。

嘘だ。下がない。腰から下が無い。いやははは?無くなった?


意識が戻る。急激に。これまでとおんなじ。同じだった。死んだと思ったら。目が覚める。

ニコがいる。

気が付いた?

何に?何を聞いてる?

今日はもう上がろ。さぁ眠って。

眠い。何考えてたのか解らない。眠い。寝よう。怖いことは忘れて寝よう。眠い。







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