第16話
そして俺は走っていた。何処か目的地があるのではなく必死に生き残る為に。
教官帽子を被ったニコに教えられたのは、俺には凄い加護があるからそれを自在に使えるようにする事。その為に今のままでは駄目なのでとにかく、身体を鍛える。その際走りながら加護を使える様に心から魔力を呼び出す為に集中しろとの事だ。
ってどうやって走りながら集中するんだよ!
時折シャイニングアロー(☆)とニコがノリノリで技名を言った瞬間光の矢がモッ、本ッ当に、無数に飛んで来る。俺めがけて最初はちびりそうになったわ。
なんせガチで痛い。掠めただけでもジュッって音がする。熱いし痛いし冗談じゃねー。それから三十分ぐらい逃げているのが現在。岩陰に身を潜める。
あっぶね。本気で殺そうとしてないか?
いやソレはないと思いたい。
[本気で殺そうなんてしないよ、まだ始めたばっかりなんだし]
耳元でゾクッと声が聞こえた気がすると上空から光の矢が撃たれる。
マジカ、クソ、おあーーーー。とにかく逃げるしかない。はぁはぁ、苦しい。ガクリと足が動かなくなって転ぶ。
[ほらほら、当たっちゃうよ~、それとも当ててほしいのか、このブタ野郎は!]
また上空から光が見える。逃げなきゃ。走ってすっ転んで走ってすっ転んでとにかく矢から逃げる。もう無理。
意識を失った。
するとホワわーって柔らかい何かに包まれる。幸せな気分がした。走れる。
俺はまた矢を避けながら走って走った。
今日の訓練が終了した。
教官帽子を脱いだニコが優しく怪我して無いか確かめて来る。
恐ろしい。しかし、豪華な食事とよく頑張りました。の癒やしムードで何故か俺はホッとしてしまう。あぁ、天国かよって。
次の朝また同じ訓練が始まる。そうコレはアメとムチなんだ。
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