第13話

花の妖精。ファナリスが言うには一週間前にニコが家に来て有無を言わさずに映像を見始めた。それきり籠もってると。

[アニメって云うの?、それをずーっと見てるみたい。時々、凄い声で叫んでさ、少し怖いの。でも真剣な顔して見てるから文句も言えなくて此処で息抜きしてたわけ](あと私も神様だから!!)

ずーっと見てるのか、良い方向なら嬉しいな。

[よし、じゃあお前の家に行こうぜ!]

(アンタね、あぁもうイイ、何度言っても解んない奴だって分かったわ)

[付いてきなさい]

通りの特に紅い花と白い花が咲きまくっている方向にファナリスがゆっくり飛んで行く。俺もその後に付いて行った。周りの植木がどんどんとカラフルになっていく奥にファナリスの屋敷はあった。

ニコの家もそうだがもっと宮殿のような場所を想像していたけど。

はぁ、と溜め息をついて振り向くファナリスが言う。

[此処は神とその眷属しかいないのにいちいち、デカいだけの建物造ってたら馬鹿みたいでしょうが。皆、ある程度で、自分の入れる大きさでいいの。]

ふ~ん、もっと威張ってると思ってた。

[あと、絶対に!花壇の花踏まないでよ!もし踏んだら…殺すわよ]

おお、分かってるよ。つーか、人の家の花壇踏まねーよ。まぁ気を付ける。

屋敷の敷地内には小さな滝と池が幾つもあり池の奥にテーブルと椅子が置いてある。暑い日に涼んだら最高な気がする。

中に入るといくつか部屋があるが、目当ての部屋は直ぐに分かった。声が聞こえる。ウーー、とかアーーとか言ってる。ニコの声だ。俺が襖(ふすま)を開けた瞬間聞いたのはぐぅー、そレいいかもだった。

開けた途端重い空気がどよ~んと目の前に広がる、目の下クマの眼鏡を掛けたニコがどよ~んとこっちを見る。

ヤバイ奴だな。

[アレ?翔?どうしたの?]

[どうしたの?じゃ、ないぞ、一週間も帰って来ないから探したぞ!]

[えっ?一週間?そんなに時間経ってた?えっ?わぁ、どうしよ!翔ご飯わ?]

[芋とトマト食べてた。]

[芋?トマト?畑の?]

[畑の]

[大丈夫だった?]そういうニコの方がヤバイ顔なので俺も特にって答える。

顔を洗いに行くというので、別の部屋でファナリスとお茶を飲みながら待つ事にした。

[ニコの眷属になるの?]

[そう]

[ふ~ん]

ガチャっと扉が開くと少しマシになったニコがファナリスに向いて言う。

[翔を眷属にするよ]

[聞いた]

[うん、ゴメンね、心配かけて、ありがとね]

それから家に戻って夜は久々の飯を食べた。




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