第10話俺とニコの希望
ニコ眷属。ソレは俺が考えていた3番目の願いだった。ニコは粛清の神様で俺は母さんや始の仇を打ちたい。あの研究者の女は倒したけど、この世界では俺達みたいな異世界召喚?された人間は教団に狙われている。
母さんや始から託された力で他の人を助ける事が俺の生き残った意味だと思う。
[ニコ、俺を眷属にしてくれ?]そう言って手を延ばしたけど、ニコはその手を握ってくれなかった。
ファナリスは神様にお願いする立場なのにとか色々言っていたがいつの間にか帰っていた。
ベッドに戻って少し寝る事にする。
家の扉が空いた音がしたから扉を開けて様子を見ているとニコが花束を持って、何処かへ出掛けるみたいだ。
俺は少し遅れて後を追う。神様だし気付いているかも知れないけどさ、それでも話し掛けはせずに付いてく。
家からそんなに離れて無い場所にベンチが置いてある。そこにニコは腰掛けて誰か見えない人に花束と料理をあげる様子で置いた。それから夜空を見上げて手を合わせて祈り始めた。その姿は真剣さが滲んでいる。
何を祈るんだろう?そう言葉が口から出た。
[誰かな?こんな夜中に危ないよ]と、俺だと解ってる言い方だな。
[ニコ、何してるんだ?こんな夜中に危ないぞ]と、あえて言う。
ニコはさっきとは違う様子で少し笑顔で話し始めた。
[此処はお兄ちゃんといつも遊んでいた場所なんだ]
僕にはね、お兄ちゃんがいたんだ。
お兄ちゃんは勝利の神ニケ、そして僕はその副官。普通、一般に強い力を持つ神様には近しい能力や親戚、弟や妹が副官というのが当たり前で補佐的な事をするんだけど、お兄ちゃんは何ていうかな、何でも出来てね、全部自分でやっちゃう人だった。強い、優しい、頭も良いし、完璧なぐらい、完璧だった。でも、居なくなった。僕に全ての力を渡して
俺と同じ。
何処へ?と先を促す様にニコの顔を見る。
何処に行ったんだろう。探したけど分からないんだ。この世界に居るはずなのに分からない。お兄ちゃんから受け継いで世界で一番強い神様になったはずなのに。
[俺を眷属にしないのは何でだ?]
俺を眷属にすれば平和主義の神様達が通れない場所も行って見てくる事が出来る。もっと人を救えるかも知れない。だがコイツは目の前の人が居なくなる事を恐れているんだ。
コイツにも希望が必要なんだ。なら俺流の希望を魅せるしかない。
俺はニコの手を握って家に戻る。
ラノベを全部並べて手当たり次第にニコに神様パワーを使うように言ってアニメを見れる用意をさせる。そして宣言する。[いいか?3番目のお願いだ。これを全部観る、おれと一緒にだ]
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