第9話施設後弍

結果について言うと、あの後2人の魂については完全という訳では無いが違う異世界に行ったそうだ。そしてもう一つ重要な事も聞いた。2人の魂の結晶が俺に入った事を。母さんの加護は俺と始が産まれた時に譲られていた二人に。そして始の結晶は俺の背中に今も突き刺さったまま融合?している。鏡で見ると背中に結晶が背中のあちこちに刺さっている。ベッドで寝ても痛くはないし別に気にはしないが確かに尖ってる。ニコいわくまるで神経と1つになっているようで、取れないらしい。フム、案外カッコイイかもしれん。二人は俺に託したのだ。加護という魂を。

いつもの様にニコが部屋に様子を見に来てくれた。

[翔?大丈夫?気分悪くない?]

こいつは、いつも少し不安そうに声を掛けてくる。たぶん罪悪感があるからだろう、俺が今も怒っていると思って。

[ニコ少し聞いてくれ]そう言ってベッドの横にあるイスに座ってもらう。

確かに最初は腹が立っていた。けど、助けようと一生懸命だった事を聞いた。そして俺の世話までしてくれた。怒る理由は無かった。だから俺はニコに謝る事にした。

[謝らないで、僕が、神なのに、役に立てないから悪いんだ]

また謝る。コイツはこういう性格なのか、成る程、なら仕方ない。

[分かった、じゃあ、そうだな、俺の言う事聞いてもらおうかな?]

[うん、何でも言ってよ、僕にできる事何でもするよ]

[じゃあお願いの一番目は2人の魂は今後どうなるのか教えてくれ]

[二人はそれぞれ女神と賢者になる、しかも凄く良い人生になるらしいって]

どうやら2人の魂の事を気にしているだろうと異世界の神に頼んで教えてもらったと。

[お願い2だ、俺に本をくれ。元の世界の異世界転生やアニメの最新のラノベを]

はじめはキョトンとしていたニコだが俺に聞いてあっという間に手に入れてくれた。

[お願いその3]はもう少し元気になってからにする。

その日から少しずつ俺はニコと友達になった。少しずつ色んな事に対して心が動き始めた気がした。本を読んでいると勇気が出た。大好きな物語が、主人公が、ヒロインが俺のヒーローだった。絶望した場所から強くなっていく。困難を楽しんでさえいる。なら俺にもなれるだろうか?こんな俺でも。

ここでの生活が少し良くなった頃、ニコと俺の住む家に花が浮いて来た。

ニコが何やら話している。

[ファナリス、ゴメンね、まだ駄目なんだ]何か謝ってる?

[奥に居るの?]とその浮いてる花がこちらを見たような、使い?天使とかかな、ニコも神様だし。

[ちょっと、そこのアンタね、ウチのニコに世話されてるってガキは]

へーこの花、すげ~むかつく。うるさい系の精霊だな。主人を押し退けて寄って来る辺りお邪魔虫的な奴だよ、絶対、そうだ。

[アンタね、私も神様の一人なの!使い魔じゃあ無いし、お邪魔虫ですって!アンタ見たいなの何考えてるか分かるんだからね]

神様?この花が?無いでしょ。花じゃん。そもそも花に神様って居るの?

[居るわよ、世界中の花の精霊の神様!!というかこの念話に驚きなさいよ]

口に出さないでも通じる便利だなー。

ねぇニコ、通常時でも念話にしようよ。

[駄目です]とニコがクスクス笑いながら言う。

[私を無視するなー!]とファナリスがニコとの会話に入ってくる。その後も凄いうるさい母さんの様にニコを守るのは私だとか、ルールがとか怒って言うけど、結局疲れたのかテーブルに乗っかって水を飲んでいた。

で、結局何しに来たのか尋ねると、俺の処遇のことだった。

1つ目に神の眷属じゃ無い者がこのリアルに居る事。2つ目に異世界の神に魂がどうなったか聞いた事だ。

[禁忌って、ホント?]

[うん、まぁ、そう、だったかな]と分かりやすく嘘をつく。

[そうだったかな?的な事じゃ無くそうでしょ。ソレに、ニコ分かってるの?昔あったでしょ、私達を裏切った奴等も居るのよ]

昔、平和主義の神様と仲が良い旅人が居た、彼はリアルの情報を自分の欲望の為に戦争主義に売ったそうだ。

彼はその後戦争主義の神の眷属になり多くの人々を死に追いやった。

だからルールが作られた。リアルに居ていいのはリアルに住む神の眷属である事と。



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