第8話施設後壱

異世界の異界リアル。神が住む都市。大小様々な神が住む、此処では神と神の眷属(異世界転生者の中で希望者のみ)がいる場所。

異世界転生者であっても、いきなり来ることは基本ルール違反に当たる。

けど、ニコは、俺を連れて来た。

意識が失われた後、俺は、目が覚めた。でも、あの時の後遺症なのか、心は抜け殻になった。

理由は今思えば簡単だ。生きる意味が無い。何をしていいのか、判らない。

なら、必要がない。気力も意思も、心だって。

それからどれだけたったのか?いつだったかも判らないが、俺は剣を振っていた。剣を振って、意識を失い、剣を振って、意識を失い、壊れた人形が急に動いたかと思えば、沈黙するかのように少しずつ、少しずつ、でもその感覚は短くなっていった。短くなり、短くなり、目を覚ました。その時には、身体が少し大きく感じた。俺の意識が無い時から曖昧な間に時間は過ぎていたし、その間のニコの看病をかすかに覚えてる。

ある日、理由を聞く。何故助けたのか。どうして死なせてくれなかったのか。

返って来たのは一言。[死んで欲しくなかった]

流石に、笑ったよ。神様が、まるで子供の様な泣き顔で、涙を必死にこらえながら、言う姿に。

何だよ、それ。

それからだ、俺を助けられた理由を聞いたのは。

ニコは知らなかった。俺達が異世界転生をしてこの世界に来ていた事を。

あの施設があった街には神が干渉出来ない結界が張ってあった、もちろん教団がした事。そしてその裏にニコ達と別の神のグループ。戦争を理想とする神々の黒い意識があったのだと。

だから、それは偶然だった。ニコは知ったんだ、あの前の日、始が街を出て誰かに話を聞きに行った時、知らない存在がこの世界に居ることを。でも、その辺りに行った時、その存在が何処に居るかわからなくなった。干渉出来なかった。でも、俺が施設を灼いた時、直ぐに判った。結界が消えて、街が現れたから。そこで見つけた。俺を。また、救えないと思ったらしい。

戦争を望む神々はニコ達のように平和を愛する神々にだけ存在を隠す結界を創り、教団は異世界転生者を兵器に替える、悪魔の智慧を教しえられた教団は各地で異世界人の研究や、また、その利用をしている。

教団は異世界人のチカラ(この世界では加護という)を手にする為、多くの人々を実験に使い、結晶化させた、その過程で多くの人々の魂は消滅する。そうでなくまた別の異世界に転生する魂も居る。だが犠牲より加護結晶を創りあげる事は、教団にとっては魅力的だ。加護結晶はその資質の無い者でも取り込めば加護を得られるという。

ニコが辛そうに話す姿は何だか痛々しい。これ以上はコイツも俺も。

[悪いニコ少し疲れたから眠るよ]

[そうだね、ゆっくり休んでね、おやすみ]

ニコが部屋を出て行った後考える。母さんと始の魂はどうなったのか。

そしてニコの事だ。アイツも大変だったんだな。

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