第7話神の住むリアル

全て出し尽くした。施設のほとんど全てが黒くなっている、真っ暗な洞窟にでも来たかのようだ。その中で見えるのはまだ灼けているモノぐらい。

身体の火は消えて煤だらけの身体を地面から起こす気力も無い。後は死ぬのを待つだけだ。あぁ、何なんだろう。どうして転生したかなぁ。母さん、兄さん、…俺も。

瓦礫の中で誰かに呼ばれた気がした。

ゆっくり、まぶたを開けるとそこに帽子を被った美少年が居た。

[大丈夫かい?]

声が何処から出てるんだ。目だけでその少年を追う。

[助けが遅くてごめん…]悲しそうに何か言ってるけど、よく理解出来ない。

[僕は神様、粛正の神ニコというんだ、君を助けに来た]

理解不能だった。助けに来た?何言ってんだコイツ。助けに、神が、だったら、だったら早く来いよ!!母さんも、始も俺も。どんだけ苦しかったと思ってるんだ。ブチンと頭の糸がぶっちぎれた。[フザケンナっ!!]もう一度コイツにも。そこで意識が無くなった。死んだと思った。

[ごめん…ホントだよね、神さまのくせに、こんなに遅いバカで]

ニコは俺を抱えて自分の家に連れて来た。そう神々が住むリアルに。

とこんなふざけた最初が異世界の俺の話だ。クソみたいな境遇。

で、いま何してるかといえばそのリアルで飯を食っていた。

[おーい、ニコ~]と机の上の食器が空になったから、奥の台所に居る同居人へ声を掛ける。

[なんだーい、今パスタソースが出来上ったよー]と声が返って来る。

[皿が空になった~]と言うといそいそと美少年がコッチにパスタの大盛りを持って来る。机の上にそれを載せると、空になった、皿を持って行く。俺はさっそく来たパスタを一気に口に放り込む、美味い。いつもながらニコが作る料理は絶品である。なんというか、家庭的なのにまるでシェフの作る旨さ。フム、これはいい。

[ニコ~、結婚してくれ]と奥の台所に向かって声を掛けるとキッチンから凄い音がする。またコケたのか?何時もながらキッチンは大変そうだ。台所から這って来たニコが[な、な、な、何、言ってるんだい、僕は男の子だぞ]と真っ赤な顔して言うとさっさとキッチンに戻った。

そりゃ、そうだ。確かにな。そう思いながら、パスタをすする。美味い。

神様の住んで居ると言うと大層な神殿でもあるかと思うが、此処リアルと呼ばれる場所はどこか田舎の別荘地的な場所で住んで居る神達もどこかゆるキャラみたいだ。

[あのね、いつも言ってるでしょ!私達は神様なの!いい?神様なの!]と食後の休憩に眺めのいい場所でサンベットに横たわりながら、異世界転生小説を見ていると、小さな花が横に来て、何か喋っている。身体が小さいからか?それとも態度がうざいからか?声がよく聞こえません。

[アンタね~、今、うざいって思ってるでしょ、解ってるんだから]うん、正解。

[この娘可愛い〜!嫁にして〜](無理ね〜、アンタには)[この娘も可愛い〜、この少しツンとした表情が最高〜だな!](はぁ、なに言ってのかしら、このロリコンは)[このピンクの髪の娘イイね](はぁ、嫌だ、嫌だ)

掛けていた眼鏡の焦点をこいつに当てる。今日の太陽は何時になく温かい。

(何すんじゃー!)花があちこち叩いて来る。[いや、燃えるかと思ってさ]全力爽やかな顔を作る。瞬時にお互い構える。[ハイハイ!2人共何時ものケンカはやめてお菓子出来たよ~]と皿が言う。ニコだ。お菓子という兵器を山盛りで持って来た。俺と自称花の神様ファナリス、通称ファナが大人しくなる、そうしないと食べさせてもらえなくなるのだ。

お菓子を摘みながらふと感じていた疑問を話す[何で異世界モノって主人公が最初に冷遇されるんだ?]いつも見てて少しムカつく場面がある。あんなに優しかったり強い奴が負けたりするのがなんかな~。

(そういう状況だから、強くなるって事もあるものよ)花が菓子をもぐもぐしながら言う。

[そうだね~、最初辛すぎて僕偶にこの先読めないとかあるし]もぐもぐ、もぐもぐ、全員がもぐもぐタイムが過ぎた頃に俺は聞いてみる。

母さんと兄さんはどうなった?

ニコはゆっくりとまぶたを閉じると時折へーとか、えっとか、言いながら楽しそうに笑う。そして俺に言う。

2人共かなり順調だよって。

















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