第4話こっちでの日常

俺達は6歳になった。

俺と始は一度現実世界で死んで母さんの腹に戻ったらしく、こっちの世界で産まれ直した?難しい話だなー。

「始〜」一応始は兄さんだが双子だし俺が兄さんって事にしても問題ないよな。「翔?何か用なの?今勉強中何だけど」何だかやれやれみたいな言い方で歩いてきた。同じ髪同じ顔の鏡の俺が眼鏡掛けてるみたいだ。

「翔も勉強しなよ」の口癖が始まる。

「俺と始が産まれた時の事考えてた」

「そんな事より母さんに怒られるよ!また勉強してないって」

俺達が産まれた後母さんは此処の研究所主任だったミリアノさんっていう人の推薦で此処で働く事になった。

その理由の一つが俺達異世界転生人は寿命が短いらしく二十年と生きられないらしい。それはこの世界に適合してないって事らしく外の空気が実は地味にダメージを身体に与えるから施設外はあんまり出れない。母さんや施設の人が特効薬を作ってるらしいからそれが出来るまでの辛抱だってさ。やるゲームないよ。向こうの世界じゃもっとアニメ見てたり本読んでたりしたのにこっちじゃ母さんは全然一緒に遊んでくれない。始も勉強ばっかりしてさ。

俺も始も向こうの世界の事結構思い出したりするようになった。見ていた異世界転生モノでは主人公がすごい強い能力やスキルで楽しく暮らしてるのに、なのにこっちじゃ面白い能力も無いし、まるで全然違う!面白くない!「・・・仕方ないじゃん」始も俺の横に座って二人で部屋を見回す。

「あの辺にさ暴れるヒーローズの人形飾ってたよね」「こっちには俺達の武器庫があった。」「異世界行ったらスライム生活全巻」次々にグッズを言い合う。始がまるまってスライムのマネしたり、俺がドラゴン役したり。

これ覚えてる?「私が悪役令嬢?」母さんが全然似てない女の人のマネし始めて、俺も始めも最初何それ?ってなったやつ。二人で前の生活を思い出せば出すほど楽しかった思い出が刺さる。

「母さんもう忘れたのかな」俺も始も悲しかった。母さんは全然アニメの話をしない。俺達といても嬉しそうじゃない。

ピーン、ピーン、と施設に音が鳴る。薬の時間だ。毎日一粒薬を飲む長生き出来る薬を飲む。「母さん帰って来るたら、久しぶりにアニメの話しよう」

母さんは帰って来なかった。二人でご飯を食べて寝た。明日は街に出て良い日だ。新しいゲームか本買ってもらおう。

[ねぇ、翔はさ、結晶って何だと思う?]

[綺麗な石だろ]

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