第4話 催眠術失敗...?

 音無さんと少しずつ話せるようになり、会話の回数も増えていった。


「井ノ出くん、催眠術なんて本当に信じているんだ」

「まあね。これでも実績はあるんだ」

「へえ……」


 うわ、興味なさそう。

 掛かったクセに~。


 こうなったら、また催眠術をかけてやろうか……!


 今は幸い、昼休み。

 時間もたっぷりあるし、えっちな事とかしてやろう。



「そんな風に言うなら、俺の実力を見せてやろうか」

「うん、見せて。出来たら、わたしにえっちなこと命令してみてよ。どうせ、できるわけないけど」


「いいんだな!? 後悔しても知らないぞ」

「いいよ。出来るものならやってみな」



 ここまで煽られたんだ。

 やらないわけにはいかない。


 俺は催眠術用の五円玉を取り出し、振り子にした。



「音無さん、あなたは段々眠くな~る! そして、俺を命令を絶対に聞きたくな~る」


「そんなの掛かるわけ――…あぅ」



 目の色が変わる音無さん。

 やっぱり掛かったじゃん!

 俺の催眠術は完璧だ。


 もしかしたら、催眠術師になれるかもな。



「よし、さっそく命令を下す。音無さん、俺と手を繋いでくれ」



 まずは様子見。

 すると、あっさり手を繋いでくれた。

 ……指がふにふにで柔らかい。


 爪なんかツヤツヤで綺麗で……うわ、女の子って指細いなぁ。



「……」

「つ、次だけど……む、胸を触らせて……くれ」



 うなずく音無さんは、胸を差し出した。

 服越しでも分かる大きな胸。

 明らかに普通の女子よりもビッグサイズ。


 ……催眠状態とはいえ、触れていいのか……!?


 少し迷ったものの、元はといえば音無さんが信じないから悪いのだ。そうだ、催眠術にかかった音無さんが悪い!


 俺は彼女の胸に手を伸ばそうとしたが――払いのけられた。



 ――え?



「……っ」

「音無さん、催眠術にかかっているんだよね?」


「…………」



 まさか、実は演技とかじゃないだろうな……いやいや、そんなはずはない。だって、キスが出来たんだぞ。普通はできないキスが達成されたのだから、催眠術は本物のはずだ。


 今度こそ触れるぞ。


 再び手を伸ばすが、音無さんは俺の手を弾いた。



「あっ! 音無さん、やっぱり掛かってないじゃないか!?」


「……バカ、ヘンタイ」



 頬を赤くする音無さんは、そう言った。



 くそ――――――――――!!!



 催眠術掛かってないじゃ~~~ん!!



「……って、マジ!? じゃあ、今までのは……」

「演技に決まってるでしょ。だって、井ノ出くんの反応いちいち面白いんだもん」


「うわ、うわあああぁぁぁ……」



 俺はなんてことを!!


 ていうか、じゃあ、キスはいったい……?



 え、え、え……



 ええええええええええええええええええええええええ!?

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