■世相は反映され、そして繰り返す?

 1980年代後半から1990年代前半まで続いた、いわゆる「バブル景気」の頃はテレビをつけるとあちこちで「トレンディードラマ」をやっていて、あれが多分あの時代の一般的恋愛像だったのでしょう。今テレビをつけると……そもそもテレビ離れが加速していて、主戦場はネットなのかも知れませんが、「トレンディードラマ」的な番組ってどこもやってませんよね。メディアの多様性も変わりましたし、「恋愛もの」の流行りも変わっています。そもそもドラマも原作がコミックなものが増えましたし、それならアニメで良くね? って感じですよね。


 恐らく、ですが景気が良いときは現実社会が舞台の恋愛ものが増え、不景気なときほど異世界や非現実世界が舞台の恋愛ものが増えるのでは? と感じています。当たり前と言えば当たり前で、不景気なときに面白くもない現実社会を舞台にするよりも、文字通り「夢の様な」恋愛が繰り広げられる異世界の方が楽しいに決まってますからね。「スーパーダーリンが登場するサクセスストーリー」はその典型でしょうか。何も「恋愛もの」に限った話ではなく、ハイファンタジーものであっても最強の主人公が面白いように勝っていってスカッとする……これは現実社会の裏返しと言うか、日常の鬱憤を解消するためのツールとして小説やアニメが存在していると言うことでしょう。つまり、それだけ日本の社会は病んでいるってことですね。


 現在の不況がいきなり好転して、以前の様な景気が戻ってくる! ってことはないと思いますが、景気はゆっくりとでも良くなっていくでしょうか? そうなると流行りの恋愛像も変わってきて、「そう言えば20年前ぐらいは異世界恋愛がはやっていたよねー」なんて言っているかも知れません。


 次に流行る「恋愛もの」の流行りってなんでしょうか? 「非現実社会に捌け口を求める」傾向は暫く続くにしても、ハイファンタジーの流れを継いだ「異世界恋愛もの」から、徐々に別のジャンルに移っていくのでは? と思っています。婚約破棄や追放、ざまぁパターンは無限にあるでしょうが、数が増えると流石に飽きられるでしょうし。異世界に飽きたら現実社会ですが、そこに非日常要素を加えたものとか、異世界でもバトルしたり追放されたりしない、のんびり系の恋愛やハーレムものが流行るのかも知れませんね。


 最近、「うる星やつら」の令和版アニメが放送していますが、あれはかなりの「昭和ノリ」。そこに現代要素を上手く加えつつリメイクしたものになっているのでは? と思います。OP/EDの曲もいいですよね。「うる星やつら」は「恋愛もの」と言うよりは「ラブコメ」ですが、旧版のアニメは1981年(~1986年)! それから考えると36年ぶりのアニメ化らしいですね。すげー。


 1981年ってどんな年だったか調べてみると、第二次石油危機のデフレ効果とインフレ抑制のために1979~1980年春にかけて景気後退していた欧米が、1981年夏頃のアメリカの景気回復に始まり、西欧諸国も下げ止まりになった……らしいです。なんか今と似てますよね!? 「うる星やつら」がリメイクされたのもなんとなく頷ける、ウンウン。これから日本の景気も回復していって、「恋愛もの」小説やアニメも、その世相に沿ったものになっていって欲しいものです。

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