■「恋愛」とは

 Wikipediaに各辞書の「恋愛」に関する定義が載っていて、その中で「新明解国語辞典」の説明が一番生々しくて好きだったので抜粋しますと、


【恋愛(れんあい)】

『特定の相手に対して他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと』


だ、そうですよ。つまり【愛】とは『相手に対する感情』であるのに対して、【恋】とは『自身の願望や感情、状態』なんですね。なるほど、なるほど。


 では「恋愛小説」といった場合、これは『恋愛している』小説なのか『恋愛することになる』小説なのか、はたまた『恋愛していた』小説なのか。多分ジャンルとして考えた場合は全部含んでいるんでしょうね。手前味噌にはなりますが、拙作の


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を例に考えると、これは『恋愛することになる』タイプの恋愛小説。続きを書けば『恋愛している』小説になると思いますが、今回はそこに至る過程を書きたかったのでこのタイプとなりました。


 「異世界恋愛」ジャンルの場合はどうですかね。主人公がゲーム世界に転生する場合、転生先での年齢にもよりますけど、相手は現世でのゲーム世界のキャクターですから、主人公はそのキャラクターに対して何かしらの感情をもっている場合がほとんど。そのキャラクターが転生先で目の前に現れて【恋】をする、パターンが多いでしょうか。「婚約破棄」や「追放」の場合(転生なし)の場合は、恋愛対象がそのイベント後に現れる訳ですから、主人公とその対象の恋愛は比較的インスタントな感じだと思います。でも、「ざまぁ」しないとだめなので、主人公はその対象から一目惚れされがちですよね。タイトルに「溺愛される」みたいなのも多いですし。


 そういう場合、恋愛対象は「実は女性が苦手だった」とか「今まで恋愛したことがなくて」みたいな設定が付加されて、ぎくしゃくしながらも主人公に気持ちを伝える……と言うパターンもあるでしょうか。【恋愛】の定義から外れている訳ではないので、確かに「異世界恋愛」であることに違いはないですね。(ただあれだな、「ざまぁ」の重点が高いものが多いので、【恋愛】パートが薄まってしまっているんだなと)

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