■「転生」は、もういいかな……

 「転スラ」とか「Re:ゼロ」とか「このすば」とか、転生・異世界もののアニメはちょこちょこ観ていたのですが、「何か書きたい!」と思わせてくれたのは「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(はめふら)」でした。この後、異世界(ゲーム世界)の悪役令嬢に転生するパターン、一気に増えましたよね。「はめふら」に関しては二次創作について別途書きたいと思いますが、ここでは「転生」について。


 「はめふら」では日本の女子高生が事故死して、直前までやっていた乙女ゲーム「Fortune Lover」の悪役令嬢、カタリナ・クラエスに転生してしまいます。カタリナは第三王子であるジオルド・スティアートの婚約者なのですが、ゲームでの主人公であるマリア・キャンベルが複数いる攻略キャラのどのルートを通ったとして、悪役令嬢であるカタリナは婚約破棄されて国外追放であったり、婚約者であるジオルドに殺されてしまったりする、所謂「破滅フラグ」満載の設定。転生後のカタリナはこれを回避するために頑張る! と言うのがストーリーです。二次創作をやりすぎて、あらすじを当然の様にスラスラ書けてしまう(^^;。


 「はめふら」においても魔法学園を卒業して「Fortune Lover(1作目)」の内容をやり過ごした時点で転生した意味が若干薄れてしまい、「Fortune Lover(2作目)」の存在が明らかになることには若干の蛇足感がある(個人の感想です。物語自体はとても楽しいですが、あくまで「転生」と言う視点から、です)のですが、「はめふら」後に出た異世界転生/(悪役)令嬢ものは、この「転生」の意味が非常に希薄なものが多い気がしてます。当初から「なんで転生ものにする必要があった!?」と思うことが多かったのですが、これはおそらく「小説家になろう」などWebサイトのテンプレートに由来するものだと分かりました。


 つまり、

 

・「小説家になろう」などのサイトで上位に行こうとすると、当然読者層に読んでもらいポイントを稼ぐ必要がある

・テンプレートに従い「異世界転生」にする必要があり、ストーリーとはあまり関係なくても主人公が転生する

・取って付けた様な転生ものが増える


と、言うことだったみたいです。この様な現象は決して悪いことではないです。私自身は「小説家になろう」のユーザーではなかったので上記の様に感じてましたが、ユーザー様からすると好きなタイプの小説が増えて人気になり、それが書籍化やコミック化、そしてアニメ化されていくのですから、とても楽しく興奮する現象に違いないです。こういう現象は何も小説だけの話だけではなく、なんでもそうですよね。「売れる」タイプに追従する第二世代、第三世代が出てきてレッドオーシャン化するのは世の摂理です。スマホなんかはいい例かな?(iPhoneに追従してAndroidも出ましたし)


 

 ここからは完全に個人の意見ですが「転生」については少々食傷気味で、昨今の特にアニメで異世界/転生ものが連発されたので「もういいや……」と思ってしまった訳です。アニメは特に酷いものが多くて、もう2話目ぐらいから作画が崩壊していたり、原作やコミックと内容が微妙に違っていたり……如何に安易にアニメ化されてしまったのか作者の方が気の毒で仕方ない訳ですが、これもこのジャンルの末期症状なのかも知れません(その中でも当然面白いものもあります。そういうものは本当に人気のある「強い」作品なんでしょうね)。


 カクヨムコン8に参加するにあたり、拙作「田舎者でも王都で雇ってもらえますか?」を転生ものにしなかったのは、そう言う理由があったから。まあ、異世界ものは異世界ものなんですが、「転生もの」である必要もなかったので。そして「ラブコメ」ジャンルを選択しなかったのも、ラブコメ側には異世界・転生ものが多かったのと、且つラブコメのジャンルって「微エロ」みたいなタイトルが多くて、ちょっと違うかな? と感じたんです。

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