鳥は飛ぶから鳥なのだ

夢を見た

彼女が撃たれて死ぬ夢

空から飛んでくるあの鳥は、彼女の体を貫いて、そして何もなかったかのように消えていく

横で寝ている彼女が着ている赤い着物は、的としての役割を着せられているかのように彼女の顔には不恰好だ

年に合わない童顔な彼女は、不規則に息を立てる

今だ、と思って窓の外を見やる

空が赤い..鳥が来たのだ

鳥は障子を蹴破って鳴き声をあげる

その甲高い声に彼女が飛び上がって怯えた様子で辺りを見回す

「、逃げよう!」

夢が始まる前に、彼女が死ぬ正史から逃れるために

肺が弱い彼女は走れないので腕を引っ張って背に負う

彼女は理解ができていないようだった

でも止まってあげることはできなかった

病院を飛び出し、赤い空の下坂道を転げる

しばらく走っていると、ふと遠くに大勢の人を見つけた

「おーい!助けてくれー!」

息を枯らしながら全力で声を出す

1人の兵士がこちらに走ってきて、助かったのだと足を止める

瞬間、兵士の銃剣は彼女を貫いた

「敵前逃亡は、即処罰である」

あゝ、僕は逃げたのだ

彼女の死から、夢から、親から、鳥から

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