第5話 一瞬の勇気
スタターっと入っていくおじさんを見たことや2人に後押しされたことをきっかけにおれの頭の中の思考が悪魔に切り替わった。
2人に見守られながらエレベーターに乗り込み、8階のボタンを押す…。
閉まり際に顔をしかめてやった。
ドアが開くとそこにはカウンター席があり、優しそうなおじさんが出迎えてくれた。
美女じゃなくておじさんかよ!!と悪魔が心の中で叫ぶ。
「こちらは初めてですか?コースは何になさいますか?」
と聞かれたので、
「初めてです…、あの…どんなコースがあるんですか?」
「コースはこのようになっております」
と優しいおじさんは壁に掛けてある看板を指しながら教えてくれた。
1番上に書かれてあった60分、25,000円。
この価格を見た後、下は見なかった。
「60分のコースでお願いします」
「かしこまりました、最短で22:45からになりますがよろしいでしょうか?」
その時は21:30頃だった。
1時間待ちだが、全然問題なかったので、はいと答えた。
「では先払いになりますので精算の方をお願いします」
分厚いサイフを取り出し、3万円を抜き取りおじさんにくれてやった。
おれの中の思考が天使ならしぶるだろうが、今は悪魔だ。迷わず渡した。
優しいおじさんは名刺の大きさのカードに何かを書いた後、おつりの5,000円を千円札5枚で渡された。
よく知ってるな、おれが千円札好きだってこと、と思いつつ、おじさんは「こちら次回ご利用頂けるクーポンになります」と5,000~8,000円割引できるクーポンをもらった。
「お時間になるまで外出もできますがどうなさいますか?」
え、そんなこともできるんやと思ったおれは、今から大島と石田を呼び出せばすぐ合流できるだろうと思い、すぐにはい、と答えた。
22:35までに戻るようことと、札番号79、コース60分と書かれたカードを渡され、優しいおじさんにお辞儀されながら、エレベーターに乗り1階へと降りた。
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