第7話 制限を解除してやる
「チートスキル」
【寝てるから起こさないでください】
翌日。
僕はニートスキルに向かって話しかけていた。
「僕も眠い中起きてるんだ起きてくれ」
【ZZZ】
「Fuc〇 you!」
だめだこいつ。
やればできる子なのにやろうとしない。
コンコン。
そのとき扉がノックされた。
中に入ってくるのはメイドのルゼル。
「ルビアス様、朝から何を騒いでおられるのですか?」
「こっちの話だよ」
「は、はぁ。そうですか。朝食ができております。先日の盗賊ですが外壁に空いた穴から入ってきたみたいです。ですので念のためお迎えに上がりました」
「あ、そうなんだ。今行くよ」
適当にルゼルに着替えさせてもらって、彼女の案内で食堂に降りていくと。
「よく来たなルビアス。パパは嬉しいぞ」
気色悪い程の笑顔を浮かべる父上の姿があった。
あまりにも気味が悪いので見ないようにしつつ僕は椅子に座った。
「さぁ、食べなさい」
「いただきます」
朝食に目をやると。
(げっ!ピーマン入ってる!苦いのやだぁ!)
【チート】
スキルを使おうとしたが当然起動しない。
(あーもう!クソニートスキル!ピーマンを消すチート早く使わせろぉ!)
「ルビアス様、お食事が進んでいらっしゃらないようですが」
傍に控えていたルゼルが話しかけてくる。
「え、あ、うん」
「私の料理がお気に召しませんでしたか?」
よく見るとルゼルの顔には料理をしたのか、液体が飛び散っているように見える。
(うぐぅ……ルゼルに罪は無いけど……ピーマン、お前は罪深いぞ。苦いのだからな)
なんてことを思っているとルゼルがスプーンで料理をすくった。
「食べさせてあげますのでお口を」
「りーむー!!!」
僕は半ば押し込まれるようにルゼルにピーマンを食べさせられた。
僕がピーマンを食べることになったのも全部時間制限が悪い!
◇
「はぁにがっ……」
部屋に逃げ帰るようにやってきた僕は思う。
やはり人前でスキルが起動しないのはクソだということを。
それに夜限定、というのものクソだ。
クソニートスキルを教育する方法を考えてやらねばなるまい。
「はっはっは。僕もお前もニートは卒業ってわけだ。覚悟しろ」
【働いたら負け】
前から薄々思っていたがどうやらこのチートスキル。
前世の僕の性格を思いっきり引き継いでいるようである。
「僕が困るんだが?」
【他人の不幸で飯が美味いです】
こんのやろー。
性格悪すぎだろお前?!
「あなたはやればできる子なのよ」
諦めずに説得してみるがこのニートが僕に心を開いてくれることはなさそうだった。
(しかし、このままでは困る。どうすればいい?)
考えろ。考えるんだ。
そして考えた!
こうなれぱ……エロで釣るしかないよな。
このスキルは言わば前世の僕と思えばいい。
何に対しても無気力だった僕だったけど、一つだけ情熱を向けるものがあった。
そうそれが……
───────エロスなのだ!
「はぁ、お前が昼も動いてくれたらルゼルのパンチラだって見れると思うのになぁ」
【ピクッ】
お、聞く耳持ったぞこのクソ野郎。
「幼女のパンチラ。日本じゃ目が厳しいけど、この世界じゃ見放題なのになぁ」
【話を聞きましょう、ボス】
「話は簡単だ。昼も僕にスキルを使わせてくれればいい。それだけさ」
【喜んで】
カチッ。
自分の中でなにかのロックが解除される音がした。
【ボス。これで私とボスは一心同体。昼もスキルを使えます】
「ふん。やっとか」
今ので分かった。
これでこのチートスキルは完全に僕のものになった、ということが。
これで昼も夜もスキルを使える。
気分が高ぶってきて深夜テンションみたいになる。
「よし!さっそくパンチラに向かうぞ!」
【いくぜ、兄弟!】
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ドタバタ。
僕は部屋を飛び出してルゼルを探しに向かう。
と、その前にパンチラコードの確認をしておこう。
「パンチラコードの作成方法だが、どうしたらいい?」
【おっと、ボス。ちゃんと確認しておいてくれよ?これがパンチラコードだぜ】
【 0xD0000001 0x10003000
0x0140DA2C 0x00000001】
「これを入力すればパンチラってことだな?」
【おうさ。エッチな風が吹いちまうんだ】
スキルウィンドウをとりあえずもう少し表示してみる。
今まであまり確認したことがなかったがよく見ると
「お気に入り登録?こんな機能あったんだ」
【お気に入りのコードは登録しておくと次からすぐに使えるぜ】
「よっしゃ、パンチラコード登録!」
チートコードお気に入り一覧
・pantira ti-to(パンチラチート)
ドタバタ屋敷内を走っていると父上専属の執事を見つけた。
「ルゼルを見なかった?」
「あの奴隷ですか?」
むっ。
「ルゼルは奴隷じゃない」
「あの薄汚い奴隷でしたら庭に行くのを見ましたが。仕事もうまくできないあの無能には困ったものですよ」
僕はこの執事が嫌いだ。いつもこんなふうだから。
「庭だね、ありがとう」
庭に向かうとルゼルが洗濯物を干しているところだった。
「ルゼル!」
「なんでしょうか?」
僕を見てくるルゼルに僕は
【パンチラコード】
発動!!!!!!
ターンエンドだ!!!!
ピュー。
風が吹いてルゼルのメイド服のスカートがめくれた。
その下には
「なに履いてるんだ?お前」
「ジャージです」
「ジャージ履いてんじゃねぇぇぇぇ!!!!」
くそ!
パンチラコードが無効化された!
ミッションフェイルド!
「風が吹いても下着が見えないようにしています。ルビアス様の教育上そうしろと大旦那様が」
そう言って洗濯物を干し終わったのか、洗濯カゴを持って移動を始めるルゼル。
「では、私はこれで」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
僕は一人空に向かって吠えた。
「チートスキルを持っていながら……パンチラのひとつすら満足に見れないなんてな……情けねぇぜ。なぁ、相棒?」
【ボス。自分には目がなかったぜ。だからそもそもパンチラを見れねぇ】
「そうか。お前はスキルだもんな、相棒」
【うん】
僕はその場でしゃがみこんで砂を盛った。
そしてその辺に落ちていた木の棒をぶっ刺す。
「相棒、お前の意思は僕が継ぐぜ。必ずやジャージの野郎をぶっ飛ばす」
【後は任せた、ガクッ…世界にパンチラを取り戻してくれ……光の戦士よ】
第二次パンチラ合戦を始める!
どこだ!ルゼル!
そうして探し回ると、屋敷内でルゼルを見かけた。
「ん?ルゼル?父上の部屋に入っていったぞ?」
忍者のようにコソコソ付け回して部屋の中を覗き込む。
中から二人の会話が聞こえてきた。
「ルゼル、お前に密偵の疑いがかけられている」
「……」
部屋の中のルゼルは父上を見ていた。
(み、密偵?!な、何の話だ?!)
話が分からない僕はその中の様子をひたすら見ていた。
「先日の盗賊の襲撃だが、不可解な点が多い。話によればご令嬢を狙っていた、とのことだが、あの日に公爵が訪れると知っていなければ侵入は難しいだろう。よって内通者がいた、と考えられるが」
「私を処刑なさりますか?」
「そうだな。裏切り者には死を」
そう言って父上は部屋の中にあった刀に手を伸ばす。
あいつ……マジでやるつもりか?!
バーン!
扉を開け放つ。
「父上待ってよ。ルゼルが密偵だなんて、そんなことあるわけないじゃないか」
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