第4話 二つのスキルを組み合わせる

エイルーンも帰っていき。夜、部屋の中には僕だけがいた。


早速今日習得した【鑑定】を部屋の中にあったものに使っていく。


「鑑定」


まずはエイルーンからもらったリンゴに使ってみた。



名前:リンゴ


と出てくるが更に詳細表示が出来るようなので、開いてみる。



名前:リンゴ

アイテムナンバー:0063

大きさ:小さい



「アイテムナンバー、かぁ。これは使えるかもしれないな」


僕は更にこのリンゴにこれ以上のアクションができるかどうかを確認していく。


「よし、いけるな」


ウィンドウを操作してみるとこんな項目があった。


【チートスキルでこのリンゴのプロパティを開きますか?】


→YES/NO



もちろんYESだ。

すると




0063,0101


名前:リンゴ


大きさ:小さい


数:1




と出てきた。


僕はニヤリと笑う。

いけるぞ、これ。


「前の4桁は0063つまりリンゴのアイテムナンバーってことかな?」


まぁ、とりあえずいじってみよう。

失敗してもリンゴだしね。



0063,0201にしてみた。



結果、



名前:リンゴ


大きさ:やや小さい


数:1



に変化した。


完璧だ。

僕の思った通り、このスキルがあれば僕はおそらくなんでもできる。


次に



0063,0303



に変更。



名前:リンゴ


大きさ:普通


数:3



となった。

検証したことをまとめてみる。



0063→アイテムナンバー


次の03→大きさ


下2桁の03→個数



ってわけかな。


検証はこれで終わりだ。


僕は増えた分のリンゴを食べる。


「うん。おいしい」


ムシャムシャ。


リンゴを食べながら次の作業に取り掛かる。

次は別のものだ。


なににしようか迷ったけど部屋の中にあった木刀に目をつけた。


名前:木刀


アイテムナンバー:3003


レア度:E



30030101


これもプロパティをいじっていくことにした。


37810101


アイテムナンバーを3781にした。

こういうものってゲーム的な観点から見れば数字が大きければ大きいほどレア度が高い武器が設定されていたりするものだと思う。


すると


「あ、あれ?」


木刀が消えた。


「鑑定、鑑定」


鑑定スキルを使ってみたがどこにも木刀はない。


き、消えちゃった?


「3781は存在しない武器なのかな?」


ならもう少し低い設定にした方が良かったかもしれない。

別の木刀を取り出してまた同じようにいじってみた。


今度の数字は3078あたりにしておく。


すると



名前:悪魔の無双刀


レア度:S



に変化。


「やばっ、このスキル。なんでもありだな」


無双刀を手に取る。

ズシリと重い。


この世界に来てから木刀ばかり握ってきて本物の武器なんて持ったことがなかった。


「これが本物の武器の重さか」


ニヤリと笑ったそのとき


「ひっひっひ。今度の契約者はこんなガキか。俺は悪魔」

「わぁっ?!」


悪魔がでてきた。


「この無双刀を使いたければ俺と契約しな?一振るする度にお前の寿命を一日貰うぜ?」

「ふむ」


僕はスキルを起動した。


「ま、待てガキ!何をしてやがる?」

「え?契約をしなくても使えるようにするんだよ。武器のくせに寿命を取るなんて生意気だ」

「え?ちょ、ちょっとぉ?!俺も商売なんだけど?!ただで使うつもりかよぉ?!」


【悪魔の無双刀】


3078aa0001


【下2桁の01がデメリットありの状態。00でデメリットオフに出来ますぜボス】


「うん。ありがとー」


教えてくれたスキルに感謝しつつ僕はデメリットを消した。


ウィンドウを閉じると


「どっちが悪魔だよ……ガクッ……」


悪魔が光に包まれて消えていった。


それを見て思う。このスキル、間違いなくぶっ壊れスキルだ。


しかし


「まだ検証が足りないな」


このスキル自分自身に使うのはまだ躊躇われる。


さきほど木刀が消えたし間違えた数字を入力すればどうなるかが分からない。


だが、使い方さえ間違わなければ、バランスブレイカーのスキル。


(そこは慎重に行くべきだな)


あとはこのスキルが夜、僕しかいない時じゃないとなぜか使えないというニート仕様なのをどうにかしたい。


名前:ルビアス

レベル:1

攻撃力:3

防御力:2


スキル:チート、鑑定



翌朝。

今日はエイルーンが来ないしどうしようかと庭を歩いていると父さんが、同じように庭を右往左往していた。


そんな父さんが僕に気付いたようで駆け寄ってくる。


「おう、ルビアス」

「どうしたの?」

「実はだな。困っていてな。今度公爵が来るのだが、すっかり失念していてな」


父上が庭園の花壇に目をやった。


「公爵はオジギバナという花が好きなのだ。植えておこうと思ったが時間が無くてな。今から植えても育ち切らないだろう」

「それは困ったね」

「金を渡す。良ければ街でオジギバナを探してきては貰えんだろうか?それをとりあえず植えてもてなそうと思うんだが」

「いいよ」


そう言われてお金を受け取った。


「街まで行けば売っているはずだ。よろしく頼んだぞ、ルビアス」

「うん。ところで、その花のアイテムナンバーとかは分かる?」

「アイテムナンバー?そんなもの聞いて何になる?商人が在庫管理するくらいにしか使い道のないものだろう?」

「いいからいいから」

「0835だったと記憶している」

「分かったよ」

「では、よろしく頼むぞ」


タッタッタッと家の中に入っていった父上。

受け取ったお金を見る。


「ラッキー。金5か」


金貨5枚、日本円で言う5万円くらいの価値だ。

それをポンと手渡す父上は流石の財力だし、それを好きだという公爵も中々の財力と言うべきか。


「適当にリンゴでも買ってそれをオジギバナに変換してみよう」


自分でもとんでもないことを口にしている気がするけど気にしない気にしない。


僕は歩いて街の方に向かっていった。



夜、リンゴをオジギバナに変える作業をする前に思った。


「んー、もしかして花の方が良かったかな?んー、でもこれも検証の一つだと思おうか」


0063,0101


これを


0835,0101


に変える。


ドキドキ。

成功するかな?


リンゴを見つめていると、リンゴが少し歪んでそれから急に花に変わった。


「これは、成功したのでは?」


【鑑定】


名前:オジギバナ


大きさ:小さい


数:1


よし、成功だ!

僕はそのままオジギバナの大きさを整えながら数を増やしていく。


とりあえず99個増やしておいた!


「ふふーん♪」


検証が上手く行ってご機嫌になった僕は99個のオジギバナをアイテムポーチに入れて庭に歩いていくと、植えていく。


「大きくなれよー。って初めから大きくしておけばよかったのか」


セルフツッコミしながら水をかけていく。


「父さん喜ぶといいなー」


月明かりの下照らされるオジギバナ。


それは今までに見た花の中で一番美しい花だと思えた。


「ルビアス様?」

「わわっ!」


びっくりしたー。

水やりをしていると急に声をかけられるんだもん。


後ろを見ると


「どうしたの?ルゼル」


メイドのルゼルが立っていた。


「あまり夜遅くに出歩かれてはルゼルが怒られてしまいます」

「あー、ごめんよ」


謝っておく。

たしかにそうだ。

増やすのは夜にしかできないとしても増やしてから朝に植えれば良かった。


でもなぜか夜が良かったんだ。

それはきっと僕の前世が夜行型のニートだったからだと思う。


「夜が僕を呼んでる気がしてさ」

「は、はぁ」


困惑しているようなルゼル。


適当に水やりを切り上げて彼女の手を握ると


「家に戻るよ」

「はい。そうしてください。なにかあってからでは遅いのです」

「なにかって?」

「最近物騒な噂が流れていますので。盗賊がこの近くでうろついている、との目撃情報があります」

「なるほど。それは大変ですなぁ」

「ですので、敷地内だとしてもこんな夜中に出歩かないように」

「はーい」


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