第2話 チートスキル起動!

(はっっっっ?!僕転生者じゃん)


5歳のとある日。

僕、ルビアスは今までの事を突如思い出した。


「どうしましたか?急に固まって」


訓練中に突如フリーズした僕に向かって聞いてくるのは、僕の家の家庭教師を勤めるエルフのエイルーンという女性だった。


僕はそんなエイルーンのことを無視して思い出した知識から期待できることを確認していく。

はやく試してみたい!


「チート!チート!チート!チート!チート!」


しかし、


「あれ?」


何も変化しない。

あの女神?!嘘ついたのか?!


そんな僕を宥めてくるエイルーン。


「ど、どうしましたか?ルビアス様」

「ねぇ、聞いてよエイルーン!僕にはチートっていうスキルがあるんだ!」


そう言うと首を傾げるエイルーン。


「あ、あのぅ。スキル、ですか?スキルの有無はまだ分からないはずですが、それよりもチートというスキル、ですか?聞いたこともありませんが」

「うん!チートなんだ!」


そう言ってチートスキルを発動させる。


「チートスキル!チートオープン!」


しかし一向にスキルが発動する気配は無い。


「あれ?」

「チートというスキルを聞いたことはありません。夢かなにかを見たのではないでしょうか?」

「ち、違うんだ。ぜったいチートだよ」


あの、トラックにぶつかった時の衝撃を魂が覚えてる。


そしてシャークちゃんに裏切られたことも魂がトラウマとして覚えてる。


シャークちゃん死すべし!


よってこの記憶は絶対に偽物でも夢でもないのだと。


「信じてよ、エイルーン」

「そうは言われましても。スキルが判明するのは神託の儀式の後ですよ?」

「えぇ?!!!」


じゃあ、それまではあの駄女神が嘘ついたのか、本当にチートっていうスキルを持ってるかも、分からないってこと?


「これじゃクレームもつけられないじゃないか!あの女神!」

「は、はぁ、ルビアス様。悪夢でも見られましたか?」

「うん!悪夢だね、あれは!」

「そうですか。ではお体の調子も見て今日の訓練はこれで終わりましょうか」

「え?」

「お父上にも伝えておきますので」


とエイルーンは屋敷の方に向かってしまった。

ポツンと一人残された。


「子供の言うことだから信用されないのか?」


そう思いながらとりあえずもう少し色々と試してみることにする。


「チート。ステータスオープン、プロフィール!早く!反応してよ、もう!!!」


どれも反応しない。

そういう世界じゃないのだろうか?


いわゆる異世界にも何通りかあるのかは知っているけど。

その後めちゃくちゃ試してみたけど、どれもダメだった。



夜になった。


「チート」


布団に入りこみ、枕に頭を預けてダメ元で呟いてみたら


【チートコードを入力してください】


​_____



っと空中に急になにかが現れてきた。


昼間あれだけチート!と叫びまくっていたのに出なかったウィンドウがあっさりと出た。


アンダーバーが点滅している。


「え?」


飛び起きた。

それに触れてみる。


それはホログラムのように当たり判定……ってゲームみたいだな、実体がなくて僕の手はすぅーっと通り抜けた。


「ま、まさか……?」


そして文字の下にはキーボードが備え付けられていた。


そのキーボードに手を伸ばす。


「キーボードは触れる?」


そのままキーボードの【5】を押してみると


5


と反映されていた。


「こうやって、入力していくのか?」


でも今の僕にはチートコードなんて分からなかった。


そして分からないことだらけの現実だけど、一つだけ分かることがあった。


それは


「これ、スキルが起動してるんだよな?」


ということ。

これがどんなスキルで、どんな効果を僕にもたらすのかは分からないけど


「あの女神がちゃんと僕にスキルをくれたのは確からしい」


でも、どうやって使うんだろう?これ

そもそも僕にプログラミング?っていうのかな?そんな知識ないし、全然分からない。


誰かに聞きたい。


でも、今はエイルーンもいないし、他に聞ける人と言えば……


「父上、か?」


僕は部屋を出て、この家の当主である父上、ビネガーの部屋に向かう。


コンコンコン。

扉をノック。


「ルビアスです」

「入りなさい」

「失礼します」


中に入ると父上ビネガーが僕のことを鋭い目で見ていた。


うぅ……この人の前。本当に緊張するんだよな。


一家の当主。

それに相応しい貫禄のある目が僕を見てくるんだから。


そうそう。

僕の家、シュバルツ家は魔法の名門だって話らしいけど。


「なんの用だね?ルビアス。こんな時間に」

「父上!スキルを使えるようになったんだ!」


さっき起こったことを話す僕。


「チート?聞いたこともないスキルだが、それが本当なら試して見なさい」

「は、はい!」


僕は呟いた。


「チート」


しかし


「何も起きないではないか」

「あ、あれ?」

「本当にスキルなのか?夢ではなく?」


エイルーンと同じことを言い出す父上。


「し、信じてよ。僕はたしかにスキルが」

「私は忙しいんだルビアス」


ピシャリと言い放ってまた机の上の書き物に視線を戻す父上。

父上は僕のことを見てなんていなかった。


「お前には期待していないルビアス。この家もいずれ兄弟に継がせる気だ。なのでお前は努力しなくていい」


いつもの言葉で締めくくる父上。

でも、もう何も打つ手がなかった僕は頷くしか無かった。


「は、はい。父上」

「下がれ」


自分の部屋に戻ってもう一度呟いた。


「チート」


すると、ブゥンと浮かび上がったあの画面。


「なんでさっきは出てくれなかったんだ?」


答えてくれるわけない、と思っていたけど、カタカタと勝手に文字を入力し始めるスキル。


【恥ずかしかったので】


「まったく、恥ずかしかった、じゃないんだよ……って」


考え直せ僕。

なに華麗にスルーしようとしてるんだ。


おかしいだろ?


「はぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ?!!!!!」


スキルが喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!!!


「ルビアス、何を騒いでおるのだ」


しばらくして僕の叫びを聞いたのか部屋に入ってくる父上。


「こ、こここ、これには深いワケがですね、ぼ、僕のスキルがぁぁ」


そうだ。チートスキル!お前も巻き込んでやる!


と、スキルのウィンドウが開いた方向を見てみたけど既に消えていた。


あんのやろぉぉぉぉぉぉぉ、ふざけやがってぇぇぇ。


「またその話か?今何時だと思っている。早く寝なさい」


バタリ。

閉じられる部屋の扉。


夢じゃないのに。

しばらくしたらまた勝手に出てくるスキルウィンドウ。


エイルーンや父上がいたら出てこずに、僕だけなら出てくる。


ひょっとして起動条件でもあるのかも?


「起動条件、教えてくれよ?」


カタカタカタ。


【夜。マスターが一人の時に限り使えます】


つっかえねぇ。なんだこのスキル?!


って


「まるで前世の僕みたいだな?夜一人の時だけって」


前世を思い出した。

僕は夜に一人で出歩くことが多かった。


そう言えば言っていたな。

女神様が。


前世の影響を受けるって。


「スキルがニートになってるのはそれのせいか?」


僕は一癖も二癖もあるスキルを持っているようだった。

だが一つだけ確認しておきたいことがある。


「君はなにができるわけ?」


【ステータス改変、イベント改変、大抵の事は何でもござれ】


なるほど。

僕の期待しているようなことはだいたい、できるということでいいのか。


「僕にはチートコードなんて分からないよ?お試しコード、みたいなのはないの?」


ピー、ガー。

機械みたいな音を出してウィンドウが文字列を表示した。


【0CCDB504 1456B00A

1CC27830 17E9C70C】


【このチートコードは効果がよく分かります】


「なるほど、じゃあそれ使ってみよっか」


カタカタカタカタカタ。


0CCDB504 1456B00A

1CC27830 17E9C70C


キーボードを使いコードとやらを入力してみた。

なにかしようにもとりあえずテストというやつは必要だろう。


Enterをターン!



プー!プー!


わっ!警告音?!

急に大きな音を鳴らすなよ?!


ビックリするじゃないか!



【WARNING!WARNING!】


【このコードを使うと世界バランスが崩壊するおそれがあります。使用しますか?】


→YES/NO


「なんか警告出てるんだけど?やばいコードなの?」


【この他のコードも基本的にやばいコードしかないです。今更です】


「じゃあ、いっか」


僕はなにも考えることなくコードを使用した。


その瞬間。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


地面が揺れた。


わっ!地震?!


「わぶっ!」


ガン!

すっ転んで床に転倒した。


いてて〜。

余りの揺れに立ってられなくなった。


【ボス。揺れ無効のチートがありますぜ?】


「それちょーだい!」


【入力しておくからEnterを押してくだせぇ】


0x00000063 0x00000000


Enter!



すげぇ!

体が揺れなくなった!


一分くらい経ったかな?


「揺れ収まったみたいだね。今のは地震チートってこと?」


【ふふふっ、それは明日になれば分かると思いますぜ?】


「ほんとう?!」


さっきの揺れで落ちた小さな置物なんかを整理してから布団に潜り込んだ。

幸い大きな家具なんかは転倒していたりしなかった。


(いまのはどんなチートだったんだろ?明日が楽しみだなぁ)


【ボス】


「なに?」


【任意の夢を見るチートはどうですか?】

・Bakunyuu monogatari(爆乳物語)

・Bisyouzyo tengoku(美少女天国)

・Etti na yume(エッチな夢)

・Sora wo toberu yume(空を飛べる夢)


「僕が最強で空を飛べて美乳のロリJK100人(全員美少女)に迫られる夢がいい!むかつく奴は皆殺しだ!」


【お目が高いですなボス】


0x01200848 0x00000063

0x0120084C 0x00000063


Enter!


むふふ……。


僕の意識は楽園へと吸い込まれた。

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