第4話告知

水谷厚子は深刻な表情をしていたが、甲斐は余裕があった。何と言われようが早期発見であるからである。

「甲斐さん、今日はお一人でこの病院にいらっしゃいましたか?」

「はい」

「……そうですか」

「先生、はっきり言って下さい。心の準備は出来ています」

水谷厚子は、午前中撮ったMRIの画像を見せながら、話しだした。

「甲斐さん。大腸ガンでした。もっと早い段階で検診を受けてもらえば良かったのですが」

「治るんですよね」

水谷はその質問には、反応せず、

「ステージ4です。ご覧のように、既に肝臓、肺に転移しています」

甲斐はまだ、事態を把握出来ない。


「手術で治りますよね?」

水谷は首を振り、

「余命は、持って3ヵ月です」

「ぼ、僕は後3ヶ月で死ぬの?」

「延命治療をすれば、少しは……」

「……治療、しません!」

「よぉく、考えて下さいね。ご家族とも相談なさって下さい」


甲斐は診察室を出た。まだ、実感がない。僕は後3カ月で死ぬのか?

会社はどうする?

彼女にはなんて、説明する?

気付けば、甲斐は涙を流していた。ガンで余命宣告受けても、長く生きる人もいる。

お会計を済ませて、腕時計を見ると夕方5時前。

とりあえず、居酒屋へ向かった。

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