第64話 ☆eleventhvisitor 人は見た目が十割(2)
(さて、いよいよ勝負の時ですわね)
広間へと続く扉に映る自分の姿を見つめながら、ローザは深呼吸する。
決戦の場へと臨むドレスは黒。
派手好みの貴族たちが、最も好まない色と言っていい。
もちろん、装身具があるから、全てが暗い色ではないのだが、ローザにとって、今回の服装はかなりの冒険だった。
自分の美的センスに自信はある。
しかし、最初は衣装のワンポイントにくらいしか、ダンジョンで手に入れたものを使うつもりはなかったのだ。
あまりにも斬新すぎるファッションは、周りがついてこれない可能性があるからである。
それでも敢えて、全身を魔王ジューゴの商品に委ねたのは、サユと名乗る少女の手腕が卓越していたという理由が大きい。
しかし、それでも最後の最後まで決め切れなかったローザの背中を押したのは、サユから聞いたこの服のブランドの創業者の生い立ちだった。
このドレスを生み出したブランドの創業者は、孤児院から身を起こし、艱難辛苦の果てに、頑迷な貴族社会のファッションという概念を根本から覆してしまったらしい。
その姿が、自分と重なったのだ。
ローザは、生まれながらの貴族ではない。
母は大商人の娘だが、そもそも妾腹の子だった。幸か不幸か、容姿に恵まれた母は、王宮とコネクションを作りたかったローザの祖父の思惑により、王宮の下働きに出された。貴族から陰湿ないじめを受けながらも、母は見事王の目に留まり、ローザが生まれた。
しかし当初は、母のその身分の低さ故に、公式にはローザの存在は認知されなかった。ローザは母共々、王宮から降ろされ、実家に帰された。その頃から急に祖父の商会が大きくなったことから鑑みれば、きっと王と祖父との間で何らかの取引があったのあろう。
道具のようにあちこちをたらい回しにされた母は、失意の内に流行り病になくなった。
残されたローザは、本妻の一族から疎まれながらも、王家の落胤という威光のおかげでなんとか家を追い出されることもなく、あくまで市井の人間として、庶民に近い立場で養育された。
事情が変わったのは、ローザが10歳になった頃のことである。
第一王女のイリス以降、全く子宝に恵まれなかった現国王が、少しでも手駒を増やすために突如ローザを王宮に召し上げたのだ。
慣れない貴族社会へ馴染むために研鑽を積む中、ある日、インベア国の懐事情を知って愕然とした。
世の多くの者は度重なる戦争の勝利に幻惑されていたが、冷静に資料を照らし合わせてみれば、国家財政は拡大した領土の統治のための出費と、貴族たちの放埓により、破綻の危機に瀕していたのである。
それでも、すでに高齢で余命幾許もない国王は、『伝統』という言い訳の下に現状を変えようとはせず、臣下たちの中には諫言するものもおらず、享楽にふけるばかり。
(こんな無能共より、私の方が絶対に上手く国を治められる)
その事実を天下に知らしめることが、ローザの存在証明であり、母をないがしろにした国への復讐であり、栄光への近道であった。
(まいりますわ)
気負いはなく、慢心はなく、全ての感情を併呑する計算されつくした微笑を作って、ローザは広間へと足を踏み入れる。
「皆様。こんばんは」
ローザは呟きが、やけに大きく響く。
まるでサイレンスの魔法でも使ったかのように、会場が静まりかえっている。
(引いてる? ……いいえ。これは――)
圧倒されている。
そうとしか言いようのない光景だった。
いつもなら我先にと声をかけてくる軽薄な男子たちは、貴族の礼儀も忘れ、穴が空くほどまっすぐに一心不乱にローザの顔を見つめてくる。
貴婦人たちは、現実を認めたくないとでもいうかのように視線をそむけ、それでも興味を抑えきれずちらちらと時折ローザの方に視線を寄越すのだ。
ローザはそんな貴族の群れを左見右見して、誰一人ないがしろにせず、また、誰一人偏重もせず、均等に愛想を振りまく。
(とはいえ、このまま高嶺の花になっていても仕方ありませんわね)
ファッションは、いかに自分が優れたセンスとビジョンを持っているかを示す一例にすぎず、そこらのご婦人方のように、ただこの狭い箱庭での優劣を競うことに意味はないのだ。
ローザが装うのは、信望を集める手段であって目的ではないのだ。
そう考えたローザは、敢えて会場の中央を避け、壁際の隅に飲み物を取りに向かった。
「ごきげんよう。ウィエさん。イーラさん」
ローザは自身の勢力下にある二人の中級の貴族の娘に話しかける。
「ご、ごきげんよう」
「ご、ご無沙汰しております」
二人が恐縮しながら挨拶を返してきた。
当然の反応だ。
彼女たちは中級の貴族とはいえ、今このパーティに参加できるほどの貴種の中では最下層に近い存在だ。
そんな彼女たちに、敢えて王女である自分が積極的に話しかけることによって、他の者たちが会話に参加するハードルを下げるのである。
「そんなに緊張なされなくてもよろしくてよ。私たちは、先日一緒にお茶会をした仲ではありませんか」
ローザは優しい口調でそう語りかける。
ローザは、勢力固めのため、自分の味方となるものにはそれほど身分の高くない貴族であっても、積極的に目をかけるようにしているのだ。
「は、はい。ですが、前にお会いした時よりもさらにお美しくなっていたので、おそれおおくて」
「ええ。まるでおとぎ話に出てくる女神様のようで、思わず見とれてしまいました。まるで、賢者様が変身の魔法を使われたかのようです」
二人が顔を上気させ、胸を押さえて呟く。
「くすっ。おおげさですわね。私だって、あなたたちと同じただの人間ですわよ。違いがあるとすれば、最近、お洋服やお化粧を取り寄せる店を変えたくらいですわ」
ローザは微笑と共にそう謙遜する。
「そ、そうなんですか」
「さぞお高いんでしょうね」
二人が羨望の眼差しでローザの方を見てくる。
「それがここだけの話、思ったよりも良心的な店ですのよ。お洋服はともかく、お化粧と髪のセットくらいならば、ただ同然の値段で仕上げてくれますわ」
『ここだけの話』といいつつ、それなりに周囲に聞こえるような声でローザは真実を打ち明ける。
「まあ、王都にそのような店が?」
「私全く存じ上げませんでしたわ」
二人が口を開けて吃驚する。
「信じられませんか? それでしたら、費用は私が持ちますから、今度、一緒にそのお店に参りませんこと? お二人もきっとさらに美しくなれますわよ」
ローザはそう言って、手にした美酒の入ったグラスを口に運ぶ。
「はい!」
「是非ご一緒させてください!」
二人が感動の面持ちで頷いた。
「あ、あの、よろしければ私もご一緒してよろしいでしょうか!」
「そちらの宝石は、一体どこでお買いになられたんですの」
「そのお召し物を仕上げた針子を――」
「そのまつ毛のカールは――」
ローザの思惑通り、影響下にある貴婦人たちがここぞとばかりに群がってくる。
「あらあら。皆さん、そんなに一辺にお話しになられても困りますわ。私の耳は二つしかありませんもの。ご要望でしたら、皆さん私がお店を紹介して差し上げますから」
ローザは、彼女たちをなだめるように言ってはにかんだ。
「ふんっ。木っ端貴族を侍らせて、随分といい気なものですわね。ローザさん」
目が痛くなるような原色のイエローのドレスを纏った女が嫌味ったらしい口調で話しかけてきた。
「クラベルさん。ご機嫌麗しう」
ローザは嫌味を聞き流し、笑顔で一礼する。
クラベルはそれなりの家柄の貴族で、本人は一応、イリス派でしかもその重鎮だと信じ切っているのだが、実際は高慢で付き合いづらい性格な故、誰からも相手にされていない鼻つまみ者である。
というか、そのような人間でなければ、たとえ反感を持っていたとしても王女であるローザに先ほどのような無礼な口を聞くことなどありえない。
「ご機嫌麗しくないですわ。私はあなたのその喪服のような陰鬱なドレスを見ていると気分が悪くなってきますの。そんな隠者のような地味な服装で社交場に出てくるなんて、少しはファッションというものを勉強なさったらいかが?」
クラベルはそう言ってくるりとその場で一回転した。
吐き気のするようなセンスのない格好である。
原色に原色にとにかく原色。色と色が殺し合い、まるで不協和音のような不愉快な印象を人に与えるのだ。
(くだらない言いがかりですけど、一応反論しておきますか)
クラベルまではいかないまでも、審美眼のない老害の中にはローザの斬新な服装を理解できず、内心の同じような侮りを抱いている者もいるだろう。クラベルを藁人形代わりに論破することで、牽制くらいにはなる。
「グラベルさんは博識でいらっしゃいますのね。では浅学な私に教えて頂けますか? ゴールドはミスリルよりも色鮮やかななのに、なぜ世の中の人は皆、ミスリルの方を貴ぶのでしょう」
ローザはへりくだってそう問いかけた。
「そんなこと、決まっていますわ。ミスリルの方がゴールドよりも有用だからです。ゴールドはせいぜい装飾品くらいにしか使えませんが、ミスリルは武器にでも、食器にでも、何にでも加工できますから」
クラベルが小馬鹿にしたように答えた。
「おっしゃる通りです。つまり、ミスリルという金属の本質が、ゴールドよりも優れているから、かの金属は尊ばれるのです。決して、色鮮やかだからではありません。服も同じだと私は考えます。私は、活動的でありながら、貴族の品位も失わない服装を理想としているのです」
「くっ……、しかし、その短くてみすぼらしいドレスの裾は見苦しすぎますわ。足が見えているではありませんか。貴族として恥ずかしいとは思いませんの?」
だらだらと床にドレスの裾を引き摺りながら、クラベルがそう言い募ってくる。
「ふう。では、もう一つ伺います。オークはエルフより大きいですが、どちらが品位のある生き物ですか?」
ローザは小さくため息をついてから言った。
「くっ……。そ、それは、え、エルフですわ」
クラベルが唇を噛みしめて俯く。
「そうです。大きさと品位に関連性がないように、美しさと服装に費やした布地の多さも全く関係ないのです。私は裾の布地の長さに余計な出費をするぐらいなら、その分を領地の民草のために用いたいと考えておりますの」
ローザは皮肉を込めて言った。
事実、今、ローザが全身を固めているドレスや装身具の全てを合わせた値段は、クラベルが着ている悪趣味なドレスの、三分の一にも満たないだろう。
「さすがはローザ様」
「私、慈愛に溢れたお言葉に感動致しました」
ローザの取り巻きから拍手が起こる。
もちろん、ローザへの追従の意味もあるだろうが、たぶんそれだけではない。
日頃センスの良い子たちでも、ただ色味が地味だとか、高級な物を身に着けていないというだけでクラベルから馬鹿にされていた者がたくさんいるので、ローザが彼女たちの気持ちを代弁したのが憂さ晴らしになったのだろう。
「あなたたち! 何を称賛なさっているかお分かりになっているのですか!? 今のローザさんの発言はどう考えてもイリス様へのあてこすりではないですか。不遜です!」
クラベルがヒステリックに叫ぶ。
「侮辱されてるのはあなたではないですか! イリスお姉さまは、王位継承権第一位の御方。私やあなたのような下賤の輩と比較することすらおこがましい、至尊の極みです。そんなお姉さまの装いを、あなたは、私たちと同列の議論で扱われるおつもりですか?」
ローザは厳しい口調で叱責した。
イリスは不倶戴天の敵ではあるが、建前上は敬わなくてはいけないのが貴族の辛いところだ。
「くっ。イリス様に言いつけてやりますから!」
いい年して子どものような捨て台詞を残したクラベルが、イリスの下に駆けていく。
ご注進を受けたイリスが、こちらに
十人もの侍従に裾を持ち上げられなけば歩くことすらできない、その鈍重なイリスの姿が、無駄に領土を拡張しすぎて身動きがとれなくなったインベア国の実情とダブる。
ローザは手にしたグラスをテーブルに置き、自らもイリスの下に近づいていく。
向こうが来るのをただ待ってるのは失礼だからだ。
(さて、イリスはどう反応するでしょうか)
貴族でありながら、常に王の寵愛を一身に受けて育ったイリスは、貴族でありながら、謀略などとは無縁の性格であった。
良く言えば天然で純粋。悪く言えばただの阿呆。
取り巻きの言うことを素直に信じてその通りに動いてしまうような、まさに俗に言う、『背負う偶像は軽くて馬鹿がいい』の格言を体現したような存在だった。
それ故に、ローザと対立している旧勢力の旗頭に祭り上げられているのである。
そういう意味ではイリス個人に特に恨みはないのだが、なまじ気分のままに動くだけに、欲得づくで動く貴族たちに比べて、行動が読みにくい面があるのが厄介だった。
「お姉さま。ご無沙汰しております」
イリスはローザの前で、かしこまって一礼する。
『前』といっても、ローザの異常に長いドレスの裾が結界のようにローザに近づくのを阻んでいるので、かなり距離感はあるのだが。
「お久しぶり。ねえ、ローザちゃん、そのお衣装、とっても素敵ね!」
イリスは挨拶と共に、ローザの服を、上から下までじっくりと見回してから、あっけらかんと言い放つ。
ここまでの反応は予想できた。
貴族というものは、クラベルのような異常者ではないかぎり、内心ではどう思っていようとも、基本的には相手の服は誉めるのだ。
「お褒めの言葉感激ですわ。お姉さまに比べたら、みずぼらしくて恥ずかしいのですけれど」
ローザはそう謙遜してはにかむ。
「いいえ。そんなことないわ。今日は私よりローザちゃんの方が全然きれい! というか、そもそも、正直、私、今のこの服ってあんまり好きじゃないのよね」
イリスが何気なく発言したその瞬間、会場の空気が一気にブリザードの魔法でも詠唱されたかのように凍り付いた。
当然である。
みんなイリスが常軌を逸した派手な格好をしているから、その歓心を得ようと必死にケバケバしく化けていたのに、その価値観を当のイリス本人が否定したのだから。
「お好きではないのですか?」
ローザは鸚鵡返しに尋ねる。
「ええ。好きじゃないわ。だって、この服、重いし熱いし、お散歩もろくにできないし、髪だって一度結ったら一か月はそのままだし、私そんな不潔なの嫌だもの」
イリスがかわいらしいく唇を尖らせ、ドレスの襟を摘まんで不平を述べる。
会場がにわかに慌ただしくなった。
「少々暑くなってまいりましたな」
「ええ。私ももう少し薄い生地のものを着てくるべきでしたわ」
貴公子たちは頬を染めて、色とりどりの羽がついた山高帽を脱ぎ捨て、貴婦人たちは少しでも見た目を地味にしようと、苦労してつけたであろうドレープを剥がしにかかる。
今、この瞬間、社交界のトレンドは、真逆に変化したのだ。
もし今日以降の晩餐会で、クラベルのような格好をする者がいれば、社交界の流行を知らない田舎者と嘲られることになるだろう。
「イリス様……、僭越ながら申し上げます。このドレスの様式は、インベア国伝統の格式高いものでありますので、その、あまり悪しざまにおっしゃられない方がよろしいかと」
イリスを取り巻いていた禿げ頭の大貴族の一人が、控えめにそうたしなめる。
「この服が伝統なんて嘘よ。すくなくとも、肖像画のおばあさまは、もっと動きやすそうな服をお召しだったわ。あなたたちが短いドレスなんてみっともなくてみじめだって言うから、我慢してこの服を着ていたのに、ローザちゃんの格好は全然、みっともなくもみじめでもないじゃない。あんな風に素敵にできるんだったら、私も、ローザちゃんみたいに動きやすいドレスがいいわ!」
イリスはそう言って頬を膨らませる。
王族の衣装は、手袋から靴下の一足に至るまで、それぞれに利権が絡んでいる。
忠言した大貴族なんかは、代々王家に糸を納入していて、利益を得ていた。
普通の貴族ならその点も配慮して発言するのだが、それが通用しないのがイリスという女だった。
年齢から考えればあまりに拙い振る舞いだが、その幼さも、わがままも、全て許されるのが、第一王女の特権であった。
これでもイリスは、その並外れた天真爛漫さ故に、中身の空っぽさに反して、貴族からも平民からも意外に人気は高いのだ。
そうでなければ、暗殺等の後ろ暗い手段も出られるのだが、現状ではイリスに手を出せば確実に悪者扱いされるのはローザなのは明らかなので、無茶をする訳にもいかない。
本当に敵にするにも味方にするにも危険な女なのである。
「……」
禿げ頭の大貴族は、それ以上何も言えずに口をつぐんだ。
ローザに同情は微塵もない。操りやすいからとイリスを甘やかして、貴族としての教育を怠った取り巻き共にはいい薬である。
「それで、ねえ、ローザちゃん。さっきクラベルから、ローザちゃんが新しいお店でそのお洋服を買ったって聞いたんだけど、私にも紹介してくれるかしら?」
「ええ。もちろん。喜んで」
ローザはそう即答する。
「まあ、嬉しいわ! 約束よ!」
イリスが手を合わせて、声を華やがせる。
もちろん、ローザには、イリスと二人で外出する計画など、実現しないことは分かっている。
なんだかんだ理由をつけられて、結局イリスは、この王宮の外に出ることは許されないだろう。
衣装は簡略化されるだろうが、それでも対立派閥のローザなど頼ることなく、何とか利権を維持できる形で、彼女たちの取り巻きが服を用意する結末になるに違いない。
(全く。お姉さまの純粋さには参りますわね)
ローザとしては、クラベルみたいに旧来の無用な悪習に固執するものを炙りだして、対立勢力の無能さを強調し、自分たちの派閥の先進性をアピールするつもりだったのだが、イリスがあっさりローザのことを認めてしまったことであてがはずれてしまった。
(まあ、もちろん悪いことばかりではないのですけれど)
当初は、対立軸のネタにする程度が限界だと思っていたローザのファッションが、社交界のスタンダードになった。と、いうことは、ローザのセンスが貴族社会全体に認められたことは明らかであり、社交界をリードする人間としてのローザの存在感と影響力も、否応なしに増すことになる。
それと同時に、イリスに与する者たちの中にも自分たちが『落ち目』であることを、それとなく察する敏い者たちも出てくるだろう。
当初の計画のように露骨に対立して、血生臭い抗争を煽るより、体裁よく権力を奪取できるという意味では、今回の流れはかえってローザにとって好都合といえる。
(これから忙しくなりそうですわね)
ともかく、これからも求心力を維持するには、常にローザは社交界の最先端であり続ける必要がある。
そのためには、あの魔王ジューゴを駆り立て、貴族たちに望みの衣装を供給してやらなければならない。
それを実現するための、まず手近な目標としては、一か月後のジューゴの新規店舗の開店を、成功に導いてやることこそが重要だ。
冷静な野心を胸に秘めながら、ローザはイリスとのとりとめのない会話に鈴のような声を弾ませる。
鏡の宮殿に無限に反射し、増殖するその一挙手一投足に、その場に言わせた全ての貴族たちは、目を奪われていた。
==============あとがき===============
拙作をお読みくださり、まことにありがとうございます。
中々ファッション無双って難しいなあ……。
もし拙作を面白いと思って頂けた方がいらっしゃいましたら、★などの形で評価頂けるとありがたいです。
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