第7話「自由な場所」

 車は、草原を走っていた。

 カザネは言う。


「この世界は、少し広いね」

「確かに…さっきまでの世界より少し広いみたいだね」

「あ!街が見えてきた!」

「お!あそこ行ってみる?」

「そうだね…」


 門の前についた。

 カザネは言う。


「旅人なんですが、中に入ることはできますか?」

「手続きをお願いします」

「はい」


 書類を済ませて、門の中に入った。


「うわぁ…きれいな街…」


 大きなビル群が目の前にあった。

 案内役が言う。


「とりあえず宿屋を探そう」


 すると、案内役がそこにいた男に聞く。


「おすすめの宿屋さんってありますか?」

「ん…あそこの宿屋さんとか結構いいぞ!」


 案内役の後ろを指さして男が言った。


「ありがとうございます!この街はどんなに街なんですか?」

「いい街だぞー!飯も上手いし、びるは綺麗だし…」

「へー!ありがとうございました!」

「いやいや…全然…」


 宿屋に向かった。

 受付には、男の人が立っている。


「今、部屋空いてます?」

「空いてます!あ…やばい!伏せて!」


 何が起こったか分からぬまま、二人は地面に伏せた。

 すると、一発の銃弾が男の人を直撃した。

 受付の男の顔からは血が流れている。


「あー!気持ちいい!ストレス発散になるなー」


 そう言うと、男はどこかへ行ってしまった。 

 カザネは言う。


「今のなんだろう…」

「びっくりしたよ。いきなり伏せてなんて…」


 すると、男の死体が引きずり出されて、もう一人奥から違う男が出てきた。


「いやー…譲ちゃんお騒がせしたねー!すまんすまん!〇〇号室空いてるから!」


 受付から鍵を渡されると部屋に向かった。

 そして、部屋に着くとドアを開ける。

 そして、案内役はベッドに寝転んだ。

 だが、目を瞑らない。


「あれ?今日は寝ないのかい?」

「君も、なんでハンドガンをしまわないんだい?」

「察してくれ…」

「ならカザネも察してくれ」

「ん?今名前で呼んだ?」

「ま…そうだね!」

「そう…」

「なぁ…この街なんかおかしいと思わないか?」

「思うよ。大いにね」


 そう言うと、カザネは神妙な面持ちで、


「私が、今なにを考えているか…分かる?」

「なに?」

「逃げるのさ」

「どうやって?外に出たら何があるかわからないよ」


 外からは銃声や、叫び声が聞こえる。


「やってみなきゃ…分からない…」

「え!?ちょっと待って」


 カザネは窓を開けて外に飛び出した。

 それに続いて、案内役も外に出る。

 そして、門の方向まで急いで走る。


「よし…もう少しで、門だ…ぐっ…」


 カザネが、足を抑えてうずくまる。


「カザネ!大丈夫かい?」


 案内役が立ち止まり、手を伸ばそうとすると、


「逃げろ!」

「え?」

「逃げるんだ!はやく!君も撃たれるぞ!」

「そ…そんな…」

「はやくっ…」

「ぐはっ…」

「お…おい?君?」


 気づくと案内役がカザネを庇って倒れていた。


「ガハッ!」


 口から血を吐いて、胸から血を流している。


「に…げ…て…」

「嫌だっ…そんなの…ないよ…」


 カザネが泣き始める。


「そんなのないよっ!」


 カザネが、周りの人に問いかける。


「こんなのが…許されるんですか…」

「ふっ…ここは自由の街だ。何をしようが僕らは知ったこっちゃない」

「そっ…そんなっ…」

「どれだけ泣こうが喚こうが、君が正しいなんて誰も証明できない」

「これは…こんなこと…許せないっ…」

「なら、君にも死んでもらおう…」

「どっ…どうして?」

「ここは…自由の街だ。自由を壊すものは殺されるんだよ…」


 そう言うと、男は腹を蹴る。


「ガハッ…」

「ハッハッハ!」

「なら…」


 バンッ!と一発の銃声が響く。


「くっ…」


 男は、血を流して地面に倒れた。


「これは、私の自由です!認められますよね?」


 カザネは、近くの老人に問う。


「まぁ…そうだな」


 周りの人が、案内役の死体を連れ去ろうとすると、


「この死んだ人も連れて帰ります。それも…私の自由ですか?」

「そうだな」

「では、この街を出ます。門を開けてください」


 そして、門が開いてカザネと案内役は街を出た。


「無駄に…人を…殺してしまった…」


 辺りには冷たい風が吹いていた。

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