第4話 「信頼」

 車に乗り込んだカザネたちは、次の目的地へと車を走らせていた。


 カザネが話し出す。




「ねぇ…」


「なに?」


「信じることって良いことかな…」


「なに?急に」


「いや…なんか気になってさ…」


「ん…でも、信じて嫌になることもあるよね。信じることは、幸も不幸も引き寄せるからね」


「確かにね…結局、期待をしても自分が惨めになるだけかもね。でも、そう思いつつも期待しちゃうのが人間だよね」


「でも、ずっと継続して信じ続けるのは、とても難しいことだと思うんだ。その人が、たとえどれだけ良い人であったとしても、自分が信じられないという判断をすれば、信じられなかったことになる。逆を言えば、信じる判断をすれば信じたという結果になるね。」


「確かに…でも、自分が信じたものが崩れ落ちたら?」


「ん…難しいことを聞くんだね。でも、崩れ落ちてもそこにあると仮定することで、少しは立ち直れるかもね。ん…精神的なもののコントロールは非常に難しくて、考えるだけで頭が痛くなってくる」


「ふっ…まっ…そういうもんだよね」




 案内役は問う。




「ねぇ…君は、僕を信じるかい?」


「ん…私は、まだ信じきれないな…」


「僕も、同じさ」


「てか、次のどこ行くの?」


「さぁ…僕もあの世界以外は知らないし、地図もぼやけてて名前すら分からないんだ」


「それって…つまり」


「ん…当てのない旅?ってことになるかな…」


「ふふっ…冗談じゃないね」


「僕も…気が気じゃないさ」


「ふぁぁ…私は寝るよ」


「気が気じゃないときによく寝れるね」


「ふふっ…今は、楽をする。そう判断したまでだよ?」


「そうか、じゃあ寝てて?着いたら起こすから」


「うん…むにゃむにゃ…」




 こうして、二人の世界放浪日記が始まった。

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