第3話 「事後の世界」
(空を見上げていた。赤い空、うるさい音、次から次へと運ばれる人たち。そして、私の…大切な友達。)
あのとき、助けていれば…。
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「おい!君!起きて!」
「ん…まだ、寝ていたいなぁ…」
「寝言言ってる場合かい?」
「もう着いたの?」
「着いたよ。カプラに」
「とりあえず降りよう?」
「寝てたのはそっちでしょ?ま…降りますか…」
町並みは、ヨーロッパ的な感じだ。
「おい…君…さっきから思ってたんだが、この世界って人いないのかな?なんか、建物はあるけど人通りが」
「さぁね…なんでだろう。こんなに綺麗な世界なのに。」
「じゃあ…寝るか…」
「え?」
「さっき君寝てたでしょ?僕も寝かせてくれ…」
「いいけど…場所は?」
「そこの建物の窓にベッドが見えるから、そこで寝よ」
「私は、外に行ってるから」
「あぁ…勝手に行っててくれ。どうせ、何もないだろうから」
それから少し先程の建物から北方向に進むと、水溜まりが見えた。
とても、綺麗な澄んだ青色の水だ。
こんなに綺麗な水を見ていると、吸い込まれそうになる。
カザネは、走り出す。
「こんなところに水溜まりが?なんで…ここはどこなんだ?私が元いた世界に似ているような…」
そして、砂浜を見渡すと流木の上に座っている、一人のギターを持っている百合色の髪の女の子が見えた。
「ねぇ…君?何してるの?」
「待ってるの…」
「何を?」
「戻らないって分かってる…」
「そうなんだ。なんでギターを弾いているの?」
「なんでって…」
「音楽を昔やっていた気がするんだけど、そのせいか、メロディーがあるように感じるんだ。これは、歌詞がある曲なんじゃないの?」
「ふふっ…あなた面白いね!」
百合色の女の子は、笑顔をカザネに見せた。
「ねぇ…君…辛くない?」
「ん…辛くはないかな。信じてるから」
「そうなんだ」
そう言うとカザネは、砂浜を跡にして、案内役がいる建物まで戻った。
「おい…」
カザネは、案内役の体を揺する。
「ん…ふぁーー…」
「起きたね。さぁ、行こう」
「そうだね!どうせ、何もなさそうだし」
「さぁね…」
「ん?どうしたの?君?」
「何かあったよ。そして、何かを信じて何かを待ってた」
「は?なに?なんかあったの?」
「さぁね…」
「どういうこと?でも、何かあったんだろうな。」
「そうだね」
カザネたちは、建物を出る。
案内役は、一瞬海の方へ目配りをした。
カザネが、それを見て…。
「ん?どうかしたの?」
「ふふっ…なんでもないよ!さぁ!行こうか!」
カザネたちは、この世界を跡にして車に乗り込む。
カザネが、小声でつぶやく。
「じゃあね」
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