第18話 常駐依頼

 真新しい装備で身を包んだ可憐な女性がこちらを向いて微笑んでくれる。

 純白のロープに身を包んだ彼女は、とても神々しい雰囲気を纏う。首から下げた深い赤色せきしょくのアミュレットもまた、彼女の魅力を引き立てている。

 要するに最高だった。とても似合っている。清楚の塊だ。アミュレットの赤い輝きが彼女によく似合う。


「あの…。どうでしょう? 変じゃないですか?」

 少し、気恥ずかしそうに彼女が訪ねてくる。

「そんなことはない! 非常に穂乃香に似合っている! 君の魅力を余すことなく引き出している! 今の穂乃香は誇張こちょうなしに、天使といっても差し支えないほどに、可愛らしく、美しい!!」

 俺は、力説した。ただ、言い切った後に──「あれっ? 気持ち悪かったのでは?」と、気づいてしまった。死にたくなった……。


「あっありがとぅ ございます…。」

 顔を赤くした彼女が、うつむきがちになりながら、消え入りそうな声音でお礼を言ってくれた。

 へへへへっ最高だぜっ。にへへへ~。

 ローブのお直しをお願いすることになったが、直ぐに済む程度だったのは幸い。本当によかった。サイズ全然違ったらどうしようかと思った……。

 これで、装備も整った。



 休日なども挟みつつ、穂乃香と動きの最終確認を済ませる。

 そして本日。万全の体制で常駐討伐依頼に挑む!!

「穂乃香、体に異常はない?」

「はい!! 大丈夫です!! 元気いっぱいです! フンス~」

 体の前で握り拳をつくり、自身のやる気を俺に伝えてくれる。かわいらしくも頼もしい反応に、こっちの緊張が解れる。

 いかんな……。穂乃香より、俺の方が緊張しているみたいだ。

 ポンタを軽く撫で気持ちを落ち着ける。

「よしっ!! じゃあ行こうか!!」

「はいっ!!」

「おう~」

「ヴぉっふ!!」

 ふたりで、ポンタの背に乗せてもらう。俺が前で、穂乃香が後ろ。

 アオは穂乃香に危機が迫った時の保険のため、彼女にピッタリくっついてもらっている。

 準備が整ったことを思念でポンタに伝える。

「ヴォッフ!!」

 ポンタが力強く吠え、モンスターの討伐へ赴く!!


 穂乃香、記念すべき初討伐は──取り立てて語ることもないほど順調におわる。

 彼女はとても優秀でし。

 俺が、手を出すこともなく、危なげなくモンスターを始末しておりました。

 初めての討伐依頼なので、彼女を中心にして立ち回るようにしたはずだったのだが……。常駐依頼の雑魚モンスターでは、彼女のメイスに耐えられる猛者はいなかった。南無。安らかに眠れ。


 猪種=突っ込んでくるところに光の壁を出現させ、思いっきりぶつかり昏倒しているところをメイスでワンパン。nice!


 兎種(一角タイプ)=ちょこまか動き回り、角での攻撃を目論む。しかし、結解で動きを止められ、混乱しているところをメイスでワンパン。victoryヴィクトリー


 鳥種=羽を休めているところに奇襲をしかけ、メイスでワンパン。

 飛ばれる前に流れるような動きで仕留めていた。 俺でなきゃ見逃しちゃうね!   

 amazingアメイジング


 虫種(ワーム型)=顔を真っ青にさせ俺の背後に隠れる……。敗北。

 とても苦手らしい。気持ち悪いから仕方ないね。おいおい慣れていこう!!

(激アマ)


 虫種(カマキリ型)=常駐依頼の雑魚モンスターではなく、ちょい強力な個体。危険な鎌にカウンターでメイスを叩き込み粉砕していた。凄くカッコよかった。

 逃走しようとしたところ、足を結界で囚われ、抜け出せず藻掻いているところに――メイスラッシュ!! 奴はミンチ。完全勝利! 凄い!!


 穂乃香の狩人連盟員初の依頼は――大成功!

 多くの素材、魔力結晶を持ち帰ることができた。初めての依頼としては、破格の成果と言えるだろう。いや~俺もクラン主として鼻が高いですよっ! 

 がははははっ! 嬉しいなぁ!!


 回想

 

 モンスターをワンパンした穂乃香様。

「漣さん!! わたしやれましたっ!!」

メイス片手にぴょんぴょん跳ね回り喜ぶ彼女。

「うん! 見事だった! もう一端の連盟員だなぁ」

「ありがとうございます!」


 返り血のついた顔でほほ笑む彼女は、美しかった──だけど、……少しだけこわかった。少しだけね……。

 金髪、白いローブで凄い清らかなイメージが先行しちゃうから、その……アンバランスな感じになってホラーテイストが出てしまったんだ。だから――ちょ~とだけ……猟奇的な感じに見えた。

 ごめんよ穂乃香……。


 虫種(ワーム型)遭遇時

「!!!…………イヤァ……」(顔真っ青)

 でっかい白い芋虫が大きな体を脈打たせるように動く。

 がくがくと震えだす穂乃香

「ん? 穂乃香??」

「ヴォッフ??」

「ほのちゃんもしかして──」

「!!! きゃーーーーーー!! ムリッ!! きもちわるい!! いや~~!!」


 絹を裂くような悲鳴が響く。

 慌てふためき、目に涙まで溜めた彼女が俺に向かって猛スピードで駆け寄ってくる。そして──オレを盾にしワームの視界から隠れた……。

 悲鳴でこちらに気づいたワームも、体を大きく、くねらせてこっちに突進してくる。

 うむ! たしかに、とてもきもちわるいっ!!

 凍結処理いたしました。

 ワーム系は気持ち悪いから、女性連盟員でも苦手にしているものは多い。

「イヤァ……」

 

 後書き

*ローブには、優秀な自浄機能がついているのでモンスターの血や臓物などで汚れても勝手に綺麗になる。穂乃香は、この機能を特別喜んでいた。

*「ヴォッフ!!」(応援とコメよろしくおねがいします!)

 

 「☆もくれるとうれし~です。」


 読んでくださりありがとうございます。うねうね

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