幕間 息抜き3

 現在、待ち合わせの約束場所である、プール入り口で穂乃香を待っている最中。ちなみにオイラの水着は、暗い青色でハーフの「ダボっ」としたやつだ。非常に履き心地が良い♪

 おいらは、「ぴちっ」としているやつ苦手なんだよなぁ……。なんでもダボダボしている方がいい。でも……、そういう感じにしてるとダサいらしいんだよなぁ。妹にスゲェ言われたもんなぁ……。だらしなく見えるとかなんとか。別にいいじゃんね? ダボっとしたやつ……。だらしなくないよね? 

 あと、身長のわりに足が……。


 ポンタとアオの腕の部分には、モンスター拘束術式が編み込まれたバンドが装着されている。一応の対策だそうだ。二人とも文句も言わずに装着してくれて非常にありがたい。

「お利口さんだね~」と、邪魔にならない場所でわしゃわしゃしていると、突然視界が塞がれた――同時に溌剌とした声が、耳朶を打つ。


「だ~れだ!!」

 !! 何奴!? などと考えるまでもなく、一人しかいないのだが……。

 なんだが気恥ずかしいことをしているなぁなんて考えながら――。

 ったくしゃ~ねぇなぁ~! まったくよぉ~! むほほっ♪ これで俺も陽キャの仲間入りじゃぁ~!

 正解を口にする


「……ほのか?」

「あたりっ!!」

 塞がれた視界が解放されるのと同時に――

「えへへ♪ じゃ~ん♪」

 物語の中から飛び出してきた、空想のお姫様みたいに綺麗な子がいた……。

「――――――――」

 綺麗な金の長い髪をいつもとは違う、複雑な編み込みにし、彼女の雰囲気をいつもより品のあるものに変えている。

 彼女の水着は、シンプルな白いビキニタイプで縁が青く彩られていた。腰には短めのパレオを巻いており、彼女がもつ長い脚の脚線美を際立たせる。

 白く美しい素肌、引き締まりながらも女性的な柔らかさを残す肢体と腹筋、細く美しいくびれ、形のいい程よい大きさの胸がビキニで強調されている。


 衝撃で言葉がでなかった。

 言葉が出ずに固まっている俺に、不安そうな顔で彼女が問いかける。

「あの……似合ってない……ですか?」

 !!

「いやっ!! そのっ! あんまり綺麗だったから! びっくりして、言葉が出なかったんだよっ!! ごめんっ! その……慣れてなくてっ。だからっ! その、すごく似合ってるっ!! とっても綺麗だ――」

 混乱する頭で、思いついた言葉をそのまま口に出した。本当は、もっと気取った言葉で彼女を褒めたかったけど、俺にはこれが精一杯……。悲しい。やっぱり陽キャにはなれない……。

 でも、そんな陳腐な言葉でも彼女は――


「!! ~~~♪ やった♪ 嬉しいっ! ありがとう漣さん!!」

 いつもの――俺の大好きな、満面の笑みを見せてくれる――っと同時にっ!! 穂乃香かが俺にとびこんできたっ!!

「くぁwせdrftgyふじこlp!!」

 やぁかい。……やぁかい。


 その後は、みんなでプールで泳いで遊び、魔力技術でとんでもない絶叫スライダーと化したナニカに乗って地獄をみたり、潜水息止め競争など、よく分からない遊びなどをして満喫した。

 水かけあって、きゃっきゃするやつ!! やった!! すごいたのしかった!!!  あれはいいものだ! 凄く充実した気分に浸れるっ! まるで世界の中心にいるかのような――そんな気分になれる。


 施設の中での昼食も、満喫した。プールで食べる焼きそば、ソーセージは、非常に美味でした……。


 一緒に入ったサウナでは、穂乃香が俺の体に残る傷跡を見て、何を思ったのか無言でさわさわ撫でてきた……。もちろん俺はパニックになった!! そして、すんごくくすぐったくて、堪えるのが大変だった……。ドキドキのバクバクでキュンキュンだ!


 帰る頃にはくたくたになっていたようで、彼女は俺が帰りの手続きを終わらせる頃にはベンチからポンタにもたれかかり、眠ってしまっていた。

「Zzzz~Zzzz……」

 綺麗な寝顔で、静かに呼吸音を漏らすお姫様。

 起こさないように動きを止めていた、お利口さんの頭を撫でながら呟く。

「帰りは歩きかな……」

 彼女を起こさないように慎重に背負い、夕日に照らされながら――ゆっくりと歩みを進める。

 彼女は――羽のように軽い。

「楽しかったな」

「ヴォフ」

「うん~また来たいな~みんなで~」

 お姫様を起こさないよう、囁きあう。

「Zzzz~Zzzz……」

 寝息をたてる彼女も――「わたしもっ!」と言ってくれている気がした。


 楽しかった。

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