第11話 方針

 パパを自覚した後は――とても気持ちよく寝れた。 


「ウォッフン!!」(あさだよ~)

 ……ポンタの声かぁ?

「ん~……? ぐふっ!!」

 ……寝ぼけ目で確認すると――でっかいワンちゃんが、オイラの腹にでーんと乗っている。起こしにきてくれたのね。重い……。

「さんきゅ~ポンタ」

 ポンタを撫でながら、寝ぼけた頭を徐々にはっきりさせる。――穂乃香がいない?


 ポンタと一緒にリビングに向かうと――扉の外にまでいい香りが広がっている。

「おろっ?」

 これは……もしかすると?

 リビング入ると、テーブルには完璧な和風の料理が並んでいる。これぞ日本人の朝飯って感じのラインナップ! 非常に素晴らしい……。very goodですね!

 料理に感心しながら、何事かぶつぶつ呟いている不審な男オレに洗い物をしていた彼女が気づく。

「おはようございます、漣さん!」


 髪をポニーテールにし、エプロンをつけた穂乃香が笑顔で挨拶してくれる。

 楽し気な声音に、心地よさを感じながら返事を返す。

「おはよう穂乃香。朝食凄いね……旅館のごちそうみたいだ。せめて洗い物くらいは手伝わせてもらってもいいかな?」

「~~~ッ!! はいっ!」


 ポンタのご飯も用意し、起きてる組全員で朝食を始める。

 彼女の作った品はは非常に美味でした……。俺が作る料理と違って、凄く繊細な感じがした。切り方の丁寧さがいいんだろうか……。ちょっとジェラシー。

 俺の持てる最高の食レポ技術で感想を伝えると――

「ありがとうございます。和食、ちょっとだけですけど得意なんです♪ お口にあってよかった……。これからもわたし、頑張っちゃいますね♪」

 天使。


 朝食も終えた頃に寝坊助アオが合流する。

「おはよ~、ふぁ~」

「はよう~」

「ウォフ!」

「おはようございます♪」

 みんでだら~んとしながら、これからの方針計画を軽く詰める。


 1・【指名依頼はしばらく受けな】危険なものや、特殊なものも多く含まれるため、今の状態だとリスクが高いと判断。もともと指名されることも少ないが……。

 2・【連携の練度を高める+穂乃香の役割を把握】まぁ、動きの確認と諸々……。

 3・【穂乃香の指導】魔力技術、戦闘技術の向上。特訓。

 4・【まず、連盟の常設依頼を目指す】食用モンスター、害悪モンスターの討伐。魔力資源の調達など。基本的に危険度が低いが需要が多い。

 

 5・【焦らずしっかり休む】連盟の仕事はかなり危険が伴うので、金銭面はかなり優遇されてる。なので、働き過ぎないのが大事。疲労を残したままモンスターと対峙など問題外。のんびりいきたい。

 6・【魔力高密度地帯を経験】これは余裕があれば。しばらくは考えていない。

 名前の通り魔力が濃い特別な場所に行き、資源の調達、モンスターの生態調査、討伐などをこなす。泊りがけがほとんどなのでちょい大変。……あんまり行きたくない……お家大好き。


 7・【モンスターについて勉強】連盟の図書館でモンスターの弱点、生態などを勉強。友好的な種も頭に入れておく。情報も逐一更新されるので、割と頻繁に確認しておくとためになる。

 8・【戦力拡大】おいおい、装備課金武器を充実させる。


 以上! お仕事関係


 クランハウスでの軽いルール。

 1・【ご飯の用意】あさ=穂乃香 昼=まちまち 夜=蓮だいたいこんな感じで様子見。外で買ってきた出来合いの料理でも可。外食も可。さすがに毎日手の込んだ料理っていうのもしんどいはずなので。

 2・【仕事の分担】洗濯は穂乃香。ゴミ出しは漣。各部屋の埃、汚れなどは、アオが綺麗にしてくれる。

 3・【気づいたこと・気になったこと】溜め込まず、直接話すか、メモを渡す。

 4・【ポンタ】ご飯あげすぎに注意。(くぅん…⤵)


 緩いけど、まぁこんな感じかな。すんごい雑だけど……。

「まぁ……なんだ、至らないとこはみんなで協力して解決していくべ~ってことで……。いろいろあるだろうけど……よろしくお願いします」

「はい♪ 頑張りましょう!」

「りょうかい~」

「ヴォッフ!!」


 ヨシッ!! じゃあ方針も決まって、一段落。

 本当はこういうの苦手なんだけども……。人を引っ張っていける人は凄い。

 穂乃香には申し訳ないけど、俺はこんな感じにゆる~くいかせてもらおう……。

 まぁでも、頑張んないとだなっ! パパだからっ!!


「さしあたっての方針ですが、今日、明日はゆっくりする予定です。明後日から――お仕事、訓練などを頑張りましょう」

「「はぁ~い」」

「ヴォフ」

「んでもって、ささやかながら今日の夜――穂乃香歓迎パーティー……行いたいと思うんですが……。なんかうまいもの買ってきたり、ちょいお酒なんかも用意して、楽しく過ごせたらな~なんて……思ってるんですけども。いかがなもんでしょう?」

 彼女にお伺いをたててみると――


「嬉しいっ!! ありがとうございます蓮さん! 凄く楽しみです!」

 彼女が、てててて~っと駆け寄ってきて抱きついてくる。

「あわわっ……!! よっ、喜んでくれてよかったっ!」

 だだだだ大丈夫だ! 俺は、パパなんだから!!

 かなり動揺したが――きちんと抱きとめる。……ええかおりがするんよ……。

「ボクも~~」

「ヴぉっふ!!」

 よく分からんけど――みんなで引っ付いて遊んだ。

 ちょい暑苦しかったけど――とても居心地がいい。

 



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