第8話  クラン加入決定

 ちなみになんだが――文月さんは、俺がちょうど泣き始めたあたりから居たらしい……。ノックは、しないで入ってくるように言われていたそうだ。

 ちょっとしたサプライズだと藤堂さんは笑った。

 ぶん殴ってやろうかと思った。



 文月穂乃香ふづきほのかさん、普通に日本人だそうだ。髪の色が金なのは、魔力の影響らしい。


 ふむ、髪色に影響が出るほどの魔力ポテンシャルか……。


 やべぇよ……。どう考えても優秀だろ?

 マジでなんで、時雨(漣のクラン名)に来たんだ??

 謎過ぎる……。


 その後、挨拶もそこそこに直ぐ様本題に入った。

 かなり、強引なものだったが―― 



「よしっ!! 挨拶も済んだしな!! じゃあ、これにサインしろ――」

 加入申請承諾書を渡された。

 ???

「えっ、あの……本人の意向の確認とか、面談やるんじゃ……」

「あぁ? いらねぇよんなもん。めんどくせぇ。あほか?」


 あれっ? なんかおれの知ってるクランの加入方法とちがうな……。

「でも、文月さんの意思を確認し────」


「わたし!!! 漣さんのクランに入りたいです!! 」

 食い気味に強く自分の意思を伝え、距離を詰めてくる文月さん。

 

 ズッキューン!!!

 やだっ……、いきなり名前、呼ばれちゃった……。強引な人っ。

 謎に乙女化していると、さらに距離を詰めてきた文月さんが――

「わたしっ! 魔力制御が下手で、交戦用の魔術もあんまり得意じゃありません……。でも、癒しの術なら得意なんです!!」

 ぐいぐい

「漣さんのお荷物になっちゃうかもしれないけど……。私をクランに入れてもらえませんか?」

 ずいずい


 なんでそんなに評価されてるのか知らんが、すげぇ、距離が近い……。

 オイラは、女性免疫が高くないんだ……。

 そんなに近づかれると緊張しちゃうよぉ。

 至近距離から見つめられたうえ、必死に俺に気持ちを伝えてくれる彼女。

 

 くらくらしながら、なんとか言葉を絞り出す。

 緊張する…。声が震えそうだ……。


 俺の顔、真っ赤だろうな~。恥ずかしいな……。

 でも、早く返事しないと。

 気持ち悪くならないように……。

 相手の目を見て――

 いくぞっ!!


「…はぃ⤴。こちら⤴こそお願いしまっしゅ」

……。


チックショーーーー!!!!!!!!

俺ってやつは!! 俺ってやつはっ!!!!


どちゃくそ気持ち悪いじゃねぇかっ! なんて声出しやがるんだ……。もう、おしまぃだぁ。

死にてぇ……。


そんな自己嫌悪で、いっぱいになっている俺に向けて彼女は────


「はい! よろしくお願いしますね!! 蓮さん!!!」


 満面の笑みを浮かべてくれた。

 その美しい笑顔に――

 見るものすべてを幸福にしてしまうような快活さをもった笑顔に――


 俺は……心──奪われてしまった。



「ようし! 決まりだな!! 良かったな~穂乃香っ」


 とうどうさんのこえがきこえる~。


「はい! ありがとうございます。藤堂さん。アオくんもよろしくね」

「うん。よろしく~。あくしゅ~」

「かわいぃっ!! 抱きしめてもいいですか!?」

「いいよ~やさしくね~」


 とうどうさんと、なん~かしたしげだな~。しりあいなんだろ~か?

 アオともたわむれてたのしそ~だ。

 みんながうれしいとぼくもうれしい!!


「うむ、しっかりな。そこで呆けているボンクラをよろしく頼む。ったく……。本当にしかたねぇな……」

「漣!! しっかりしねぇか!!!! フンッ!!!!!!」


「ガっ!!!!」

 ん!? なにがあった!?

 記憶があいまいだゾ????


「漣、しっかりしろよ。これからは文字通りクラン主だ。人を背負う立場になる。気ぃ抜きすぎんなよ」


!! やべぇ、確かにその通りだ。

「承知っ!」

「おう、頑張れよ。漣」

 頭をくしゃくしゃに撫でまわされる。悪い気はしない。へへっ。


「よし。話は終わりだ。漣、改めて穂乃香をよろしくな。もうお前んとこに荷物の運び入れも済んでいるはずだ。後は頼んだぞ」


 ? 荷物の運び入れも済んでいる?? 誰の??

 


「あの、荷物の運び入れって……誰の?」

「穂乃香の荷物だな」

 ??

「なんで?」

「そりゃ、お前んとこに住むからに決まってんだろ。お前のとこ、部屋余ってるだろ?」


「………」

 絶句。目ぇガン開きで、目ん玉飛び出すかと思ったわ。

 倫理観バグってんのか!? このゴリラっ!?


「そりゃあ!! 部屋は余ってますけど! 会った初日に男女で――」


「漣さん!」

 強引に文月さんが割り込む。

 そして――

「今日から、よろしくお願いしますね!」

 ……。  

 …………。

「ぁい」

 よろしくおねがいちまちゅ……。


 文月さんに手を引かれながら部屋を後にする。その間際。

「漣――これ渡しとくな」

 藤堂さんから投げ渡された――書類?



(現在)2032年7月中旬


文月穂乃香ふづきほのか 2012年8月20日生まれ 20歳 出身:長野  


:魔力属性・光

:魔力性質・陽 SSS+ (人類最高峰)(魔力制御に難あり)


:契約生物なし


:魔術協会発行ライセンスB-  ・刺繍エンチャント技能 認め 医療魔術行使 認め


:狩人連盟発行ライセンスC(仮) ・狩人連盟 長野支部所属 クラン…時雨(しぐれ)所属


:魔力高密度地帯侵入限定許可  ・活動許可を持つもの同行の元なら侵入を許可する。(同行者のランクより下のものに限る)


:魔獣解体許可第一種



 !!?

「魔力性質・陽 SSS+!!」

「えへへ~~バレちゃいました~」

 ちょっと、気恥ずかしいそうに笑う文月さん。

「お揃いですね♪」


かわいい……。



*後書き

読んでくださりありがとうございます。

ヒロインが魅力的に描けていればよいのですが…。


「よろしければ応援と☆お願いしますね♪」

(文月穂乃香)


「コメントくれるとうれしいな~」

(アオ)


「ヴォッフ…Zzzz~」


簡単容姿設定

*文月穂乃香      *日崎漣

・身長166センチ    ・身長179センチ 

・金髪ロング      ・黒髪ショート(オールバック風)

(背中あたりまで)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る