第6話 相続登記義務化が始まります

  3年の猶予期間が過ぎ、いよいよ来月4月1日から相続土地の登記が義務化されます。

 これには罰則もあり、罰金刑ではないものの、正当な理由なく3年以内に登記をしない場合には10万円以下の過料が科されます。

 これまで放置した人は来月4月1日から3年以内ということになります。

 自分に名義変更していない土地があることが判明した場合には急ぎ司法書士さんのところに相談に行くことをお勧めします。

 3年の猶予期間などあっという間に経過しますよ。


 登記は私の専門外なのでここで詳しい言及は避けますが、一つ救済措置が用意されているのでそちらを紹介するに留めます。


 さて、ここでご紹介するのは「相続人申告登記」です。

 登記を放置している理由の大半がおそらく「数次相続」により「誰が相続人なのか」全くわからないというものだと推測されます。

登記は原則として相続人全員でしなければならないため、とりあえず相続人がある程度でも誰なのか特定できなければ登記はできないことになります。

 この場合に「一時的に相続登記義務を果たしたものとみなされる」制度が「相続人申告登記」です。

 本来、莫大な数の戸籍謄本等を集めて相続人全員を特定しなければならないところ、この相続人申告登記は「自分がとりあえず相続人であることを証明」すればできるのです。

 これをすることで一旦相続登記義務を果たしたことになり10万円以下の過料から逃れることができるわけです。

 もちろんその後相続人がほぼ出揃って登記が可能になった時には実際に登記をしなければなりません。

 ここでポイントですが、「登記が可能な状態に至らなければ」「正当な理由」となり得ますのでいつまでも登記しなくても助かる可能性が大きいです。

 相続人申告登記は自分だけとりあえず証明できればいいので登記された名義人からどのように繋がっているかさえわかれば自分で法務局に行って手続きできます。

 登記申請書を作る必要すらないので(口頭で登記官に申告、登録免許税なし)

これならなんとかできそうですね。


 それで意味があるのか?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん意味はあります。

 この義務によりかなりの数の相続人が申告登記をすることになるでしょう。

 ひいじいちゃん名義の登記簿には名乗り出た相続人が列をなすことになります。

 何人かは不明のままでしょうが、7〜8割も名乗り出ればその人たちで話し合って新制度の「不在者がいても供託金」を預けることで処分できる可能性も出てきます。

 荒削りな制度ながらなかなかよく考えられた制度なのです。

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