セカイが壊れるオトがする -Medium of Darkness-

クレリアの日記

聖歴1021年2月15日

　ついに東方に渡った。思ってたより寒くないかも。

　綺麗なところだな～。言葉が通じるのが不思議だ。

　ご飯美味しい！　嬉しい！　楽しい！

　お風呂も気持ちいい！　外国人にも優しい。

　こんなに素晴らしい国で魔王が召喚されたってほんとかな？

聖歴1021年2月24日

　東方の首都イスタリスまで来た。

　謁見申し込みが受理されたので明日女王に会う。

　どんな人なんだろう。女王様だからお上品な人かな。

聖歴1021年2月25日

　今日は長い1日だった。

　女王は変わった人だった。わたしを後宮に入れるって本気か？

　ヘンタイだよ。しかも気に入られてしまった（汗）

　東方のアークメイジ紗良（さら）・ファーレイ。頭よさそうな人だった。

　マスターは東亰爆心地のことをかなり詳しく知っていたらしい。

　東亰で魔王カイザードが召喚されて、前世界はあっという間に滅んだそうな。

　えらいこっちゃ。

　そのあと地下にある図書館に降りて東亰に住んでいたひとりの少女の日記を読んだ。

　杏（アン）アリス。杏ちゃんは、セカイから棄てられた少女だった。

　学校でいじめを受け、家では親から愛のない言葉だけを浴びせかけられていた。

　ランスロット。彼女を護ろうとした騎士。

　ふたりは友だちだった。

　事件について知ったとき胸が張り裂けそうになった。

　アゼルを失ったとき、わたしには傭兵さんがいた。

　杏ちゃんには誰もいなかった。それだけの違いだ。

聖歴1021年2月26日

　なんだかんだで女王様のつくったゲームで対決することになった。

　どうしてこうなった？　クリア出来れば東亰まで転送してくれるって。

　でもゲーム、めっちゃ絵がキレイ！　音もなんか耳に残る。クセになるね。

聖歴1021年3月13日

　ゲームはなんとかクリアした。女王のわたしを見る眼がいやらしいんだよ！

　彼にイカリングでプロポーズされた。

　なんてロマンティック！……なわけあるか！

　わたしが海鮮好きなこと知っててハメたな。

　でも美味しそうだったんだよな。ジュルリ……。

聖歴1021年3月14日~15日

　魔方陣で封印都市東亰へ。

　譲羽（ゆずりは）神社の巫女譲羽紫乃（しの）。傭兵さんたら彼女に向かって『眼が綺麗だな』っていったの。

　誰にでもいってる！　許せない。

　そのあとフェイさんと別れて東亰爆心地へ。

　その中は奇妙なダンジョン。杏アリスちゃんの心象風景だったの。

　最下層の闘いでシオンさんが亡くなった。

　彼が彼女にキスした。

　胸が張り裂けそうだったけどわたしは良い女を演じた。

　彼女を救うためだってわかってたから。

　大切な人とある日いきなり逢えなくなるなんて哀しいよ。

　そのあとキョウシロウと傭兵さんの闘い。

　彼が、……彼が死亡した。

　ヤダヤダーっ！　わたしはこんな結末望んでない！

　そう思ったとき声が聴こえたの。

　アゼルとセレナさんの声が。

　そしたらなんと！　彼が生きかえった！　奇跡だ！

　この世界最後の癒しの魔法だった。

　彼に告白した。わたしの秘密。

　彼は拒絶しなかった。

　わたしの予想を覆した。

　やったぜ！

　予定調和なんて〇〇くらえ！

　わたしが幸せになればそれでいいのだ。

　この物語がハッピーエンドで終わるなんて思っていなかった。

　生まれてきて良かった。

　結婚したらエロ本全部捨ててやろう。ヒヒヒ……。