クレリアの日記

聖歴1020年12月20日

 セカイから棄てられた少女は東方出身だったってわかった。

 もう千年も昔のことだからなあ。

 人間って変わらないんだな。


 シオン、こら!

 わたしのカレピに色目を使うな!

 このドロボウネコ!


 一晩泣いた。

 シオンとアストリア。

 お似合いだもんね。ふたりとも剣士で年齢も近いし。

 ひどいよ。こんなにひどい目にあったことない。


 あのやろー! 結婚式はぶち壊してやる!

 見てろよ。

 わたしは怒ったぞ。恩は2倍に恨みは4倍にしてかえすのがわたしのやりかた。



聖歴1021年1月3日

 エルファリアを出てから1ヶ月以上経った。


 シンチェンという村についた。


 新年のお祭りをやっていた。彼と一緒にまわったの。

 哀しいことなんてもうどうでもよかった。

 この一瞬を大切にしたい。最後のときまで。


 お祭りでお芝居というものをはじめて観た。

 感動した! もっといろいろなお芝居をたくさん見たい!


 脚本をかいたフェイさんという人と知り合いになった。

 そのあと不思議な占い師に出会った。なんだったんだろ。


 占いがおわったあと花火を見たの。

 キラキラだった。花火を見ながら彼と手をつないだ。


 わたしは人生で追い求めていたものをひとつ手に入れたような気がする。

 それだけじゃない。

 やつがまたエロ本を買ってた。もうなにもいわないよ。



日記を置いて飛び出してしまったからいまから過去の日記を書きます。

聖歴1021年1月4日の分

 シオンが半裸で彼の部屋にいるのを見たときわたしは事後だとおもった。


 心が引き裂かれるようだった。

 怒り、恨み、嫉妬。醜い感情を暴言とともに吐き出した。


 わたしは飛び出した。遠くへ、遠くへ。


 気がついたら森の中で、おしっこしたくなったときに彼が現れてふたりで川に落ちました。

 そのあとすべてが誤解だったことがわかった。

 ちょっと納得できないこともあったけど、もういい。

 ちゅーした。


聖歴1021年1月5日

 気が付くと彼が血まみれで倒れていた。ショック。

 マスターと合流した。わたしは生きた心地がしなかった。


 マスターがすごい意地悪なことをいった。

 わたしは悔し涙を流した。

 この日の屈辱をわたしは忘れない。日記にメモっとこう。


 転送魔法でみんなと合流したときわたしの服は血まみれ。

 この服はもう着られないかもしれない。お帽子もなくしてしまった。

 気に入ってたのに。


 O型のフェイさんを探すことになった。

 シオンさんが探してわたしは彼の傍にいることにした。


 ドクターがきて彼を見たけど信じられないくらい冷たい人だった。

 セラノさんならゼッタイあんなこといわないよ。


 オムツをつけるとき、はじめて男の人のアソコを見た。

 グロいけど、可愛いかも。


 泣きながら彼にオムツをつけようとしたら喉を掻きむしろうとした。

 本当に怖かった。わたしは彼に息を吹き込んだ。

 喉を掻きむしらないでと伝えたらいうことをきいてくれたの。


 その夜、フェイさんを見つけた。

 フェイさんを連れて帰ろうとしたら夜道で暗殺者にばったり遭遇。


 まいった、まいった。

 シオンさんが返り討ちにした。ほんと強い。傭兵さんより強いと思う。


聖歴1021年1月6日

 朝おなかが痛くなって、泣き言をいったらフェイさんが抱きしめてくれたの。

 お母さんて、こんなかんじかな。


 輸血でついに彼が意識を取り戻した。


「左利きの女を恋人にするのは幸運なことだ」とかいわれた。

 口説いてるつもりなのかな?


 苦節○○年、ついに両想いになった! めしもうまい。

 捨てられたと思った屈辱で泣いたことも、歯が削れそうなほど歯ぎしりしたことも(ほんとか?)、復讐のために爪を研いだこともみんなみんなもういいの。


 いま幸せだから。すべて許す。

 今後は彼が浮気しないように紐でもつけるか。アソコ・・・に。



聖歴1021年2月1日

 なんだかんだいってわたしたちの旅は終わりに近づいている。

 東方は目と鼻の先だ。なし崩し的にフェイさんがパーティに加わることになった。


 千年前、西暦2028年2月21日4時44分東亰。

 セカイから棄てられた少女が魔界を召喚して前世界は滅んだ。

 東亰って、どんな街だったのかな。


 男女比率が奇しくもフィフティーフィフティーになった。

 わたしとフェイさんは非戦闘要員だけれど。アルフレッドさんもか。



聖歴1021年2月2日

 はじめてお馬にのったの。


 最初は面白かったけど、お股が痛くなってきて……、大丈夫かな?

 そのあとヴァルケインの暗殺者がたてつづけに現れた。


 わたしは彼の戦闘を間近で見た。怖くて目を開けられないくらい。

 でも勇気をだして見たの。

 だって、彼はわたしのためにいのちをかけて戦っているのに目を背けたら失礼だから。


 寿命縮んだよ。8分くらい。



 海を見た。凄かった。わたしは猛烈に感動した!

 彼があの日の約束を覚えていてくれたの(⋈◍>◡<◍)。✧♡



神様への手紙


 わたしは純粋な人間じゃない。

 普通に憧れたこともある。


 でも普通の人生では魂がお互いに惹かれあう大恋愛はできないだろうな。


 この瞬間を大切にしたい。

 1秒でも長く彼の傍にいたい。

 この願いが叶いますように。

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