クレリアの日記
ヒロイン・クレリアの日記を公開します!
彼女の謎めいた思考回路や、冒頭のクレリアの詩のヒントになれば幸いです。
聖歴1020年9月13日
今日ヘンな人に出会った。わたしのために死んでもいいって。顔も見てないのに。
ウソツキじゃないか監視しなきゃ。なんだろう、ドキドキする……今日から日記をつけることにする。
聖歴1020年9月14日
はじめての冒険で疲れ切ったとき、あの男におんぶしてもらった。
わたしのおっぱいがあの男の背中にあたっていた。策士だな、あの男。
サンドラさんいい人だった。娘のアーシャちゃんいい子だったな。
夜あの男とふたりきりで星を見たとき眼が綺麗だといわれた。口説いてくる―!!
なんなのあの人!
聖歴1020年9月15日
大変なことになった。わたしが、「わたしのために死んでください」っていったばっかりにあの人はその通りにしてしまった。あの人が死んだらどうしよう、神様……
わたしが神様に祈るなんてね。怖いよ。まだわたしたちの旅ははじまったばかりなのに……こんなこと残酷すぎる。
でも、傭兵さんがわたしをかばって傷を負ったとき、わたしの胸は高鳴っていた。英雄物語のヒロインみたいだって。いまわたしはまちがいなくお姫様だって。この日記、人にみせられないなぁ……。
死なないで! アストリア! 水を飲まずにはいられないよ。
聖歴1020年9月16日
あの人が眼を覚ましてすぐに守りがいのない女だっていわれた。殺したいほどムカつく!
でも生きていてくれてよかった。みんなで逃げたあとマスターが破壊呪文をつかった。
たぶん超微量の反物質を真空でつつんで打ち込んだんだと思う。やりすぎだよ……。全員死んでるな、ありゃ。
あの人が本気出したらこの惑星どころか太陽系が吹っ飛びかねない。わたしのマスターは本当に恐ろしい人だ。
ここから深夜に書いてる。あの男がセレナ、セレナっていうたびにいらいらする。自分でも理由はわからない。その人もう亡くなってるのに。これ以上考えると眠れなくなってしまうのでもうヤメ。寝よ。
聖歴1020年9月17日
傭兵さんが高熱をだしてしまった。看病するとき弱々しくてきゅんきゅんしちゃった。
わたし、ナースの才能あるかも、なんてね。
夜あの人にこの世の最後みたいな顔で「オレが死ぬとき泣かなくていいからそばにいてくれ」といわれた。どうして「泣いてくれ」っていえないんだろう。男の人ってヘン。
そのまま死んじゃうんじゃないかってハラハラしてアルフさんを呼んだら寝てるだけだから大丈夫だって。
心配なことってそんなに起こらないんだな。でもあの人の生き方って心配だわ。なにか死に急いでるようで。
ますます監視の必要があるな。このワンちゃんは。いろんな意味で。なんかもう眠くなってきた、このまま寝ちゃお。
聖歴1020年9月18日
熱が下がったと思ったら、わたしの寝顔をじっとみてたらしい。スケベめ。
まぁいいか。死んじゃうより。これからいいことがいっぱいおこりそう。そんな予感がする。あの人と一緒なら。
聖歴1020年9月22日
忙しくて日記を書くヒマがなかった。これからは書ける日だけ書こう。
旅を再開した。急にべらべらしゃべりだして、わたしの誕生日を祝ってくれることになった。しあわせだ。でもわたしはあとどれくらい生きるのだろう。
考えない、考えな~い。ポジティブ、ポジティブ!
すくなくともあの人のそばにいるときは。ついでにあの男の誕生日がわかった。祝ってやるか! こんな美少女に祝われたら喜ぶに違いない。単純だから。
でもまたガキっていわれた時は温厚で有名なわたしもキレたね。噛みついたね。
そのあと事件があって、のぞきがばれた。あんときはやばかったな。めっちゃ怒られた。
次はばれない様にやらなくうちゃ。あ~でもマスターに報告されたら殺される。リスクがあがってるよ。困った。アストリアもあんなに怒らなくていいのに。立場が逆だったら怒るけど。
……それはさておき、ふたりで見た星空最高だった。一生忘れられないくらいきれいだった。こんなにうつくしいものがあるなんて知らなかった。
今日一日でこんなにいろんなことがあった。
ラボにいたころには考えられないくらい。
傭兵さんは運命のひとなのかな。すくなくとも大切な人。今日の日記終わり。
聖歴1020年9月23日
わたしには夢がある。わたしの〝秘密〟を話して、許してもらうの。
「そのままのおまえでいい。オレのそばにいろ」っていってもらうの。
聖歴1020年9月24日
アルフレッドさんに「おまえら兄妹みたいだな」っていわれた。わたしは彼女になりたいのに! アストリアはどう思ってるんだろう。胸の奥が苦しい。このいたみはなに?
聖歴1020年9月25日
あと2日でわたしの誕生日だ。間に合うのかな。わくわくが止まらないよ。
マスターにおまえの使命を忘れるなっていわれちゃった……。
聖歴1020年9月26日
最近思うの。もしわたしに家族がいるならこんな感じかなって。もしあの人がわたしのことをただの妹と思ってるならそれでもいい。傍にいたいよ……。
やっとわかった。この気持ちは〝切ない〟だ。
アルフレッドさんは隣のおじさんかな。
聖歴1020年9月28日
今日はあの日だ。いまベッドの上で書いてる。
昨日は日記を書くヒマがなかった。昨日は誕生日だった。長い一日だった。なにから書けばいいのか……。
まず傭兵さんがエロ本を買ってた。表紙を見る限り、巨乳ではなかった。意外だった。
でも巨乳好きじゃないほうがいやらしい気がするのはなぜだろう。
結局ただの男なんだな。
白い手袋、わたしのことわかってるじゃん。そのあとの誕生日会は最高だった。
そのあとやばいひとがあらわれて……ホント怖かった。
傭兵さんがなんだっけ、ふしぎ隊?にいたらしい。
ふしぎ隊ってヘンな名前だな。そんな名前で戦争しちゃだめだよ。なにを考えているんだろう。
決闘、ホント怖かった。寿命まじに縮んだよ、3日くらい。
ここから夕方に書いてる。
傭兵さんとデートした……、と思ったらわたしが妹って呼ばれたとき否定しなかった。ムカつく‼
チーズきらいっていったときも胸をじろじろ見て、ああいやらしい!
そのあとは急に自分をけなして、……自己肯定感が低いんだな。そういうとこキライ。
わたしもきつくいい過ぎたかも。もう自分の事悪くいわないって約束、守ってほしいなぁ。
ここから深夜に書いてる。
傭兵さんを励ますために泣かしてやった。こういえばきっと泣くってセリフを計算したのだ。
わたしって天才。少しでも自分に自信を持ってほしい。わたしにふさわしい男になるために。
初めて会った日のあの人はどこか悲しみを感じる瞳をしていた。
それなのにわたしのために死んでもいいっていわれて、もっとこの人のことを知りたいって思った。まさかこんな関係になるとはあのときは思わなかった。
でもいまならわかる。わたしたちが出逢ったのは運命だったと。
ラボを出て本当に良かった。あの人の瞳から悲しみを消してあげたい。そのための努力をわたしもする。
それはあの人が先にわたしのために死んでもいいといったから。
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