銅像と新しい発見
ショッピングモールの中央は広場があり、真ん中には銅像があった。
過去に数回来た事があるショッピングモールだが、見たこともない銅像と回りのお店には見たこともない物が並んでいた。
「これだ」
大男は銅像に向かって指を指した。
「これはいったい...」
「「こんなの私が一昨日来た時は無かったよ!」」
「そうだろうな。多分黒い雲が出たときに変わったんだろう。」
「そういえば名乗ってなかったな。俺は田辺徹だ。38歳で趣味は筋トレだ」
「置田総司です」
「「相田あいりです!」」
「置田総司にあいりちゃんね!それにしても珍しい名前だな。がはは」
「あまり好きではない名前ですね正直なところ。」
遅い自己紹介を終えて、田辺さんが指さした銅像を見た。10メートルほどあるだろうか。
とても大きな女性の銅像だった。右手は丸い玉のようなものを持っていて左手は空を掴もうとしているような姿だった。
顔は綺麗だと思う。でも耳が長かった。
「えれぇ綺麗な銅像だよな。初めて見たときはびびったぜ」
「「映画に出てきそうな銅像ですね」」
「この銅像に触ってみな」
触ると言ってもどこを。と聞くような空気でもなかったため銅像の右足に触れた。
「うお!?」
「はは、最初は驚くよなそれ」
銅像に触れると目の前には青い板のようなものが現れた。
-スキル盤-
Name/置田総司
・思考加速Level_1
・冷静沈着Level_5
・初動加速Level_1
・刀操作Level_4
・身体操作Level_1
・<スキル> 瞬歩 Level_1
・<スキル> ゲー??L??e? ???
青い板のようなものにはラテン文字をもっと崩したような文字が書かれており、自然と書いてある内容が分かった。
一番下の文字は所々わからない部分があった。
「それがスキル盤ってやつだ。自分の能力が分かるようになってる」
「「不思議な板ですね...」」
「色々書いてあると思うが、スキルって書いてあるやつを声に出すと発動される。俺の場合は《武器操作》ってのがある」
「これは持ってる武器をどうやって使うかってのが頭ですぐ理解できるってやつだな」
「「ひーる?」」
シュィイイン
あいりちゃんがひーると言った途端田辺さんの手が光った。
「おっ!?手の傷が治った?」
「お嬢ちゃん治癒能力だよそれ。めちゃくちゃレアだぞ。」
「「え?え?そうなんですか?」」
「おうおう!人の怪我を治しちまうんだ。すげえよ!」
ゲームとかでは見たことあるが、まさか目の前で治癒魔法を見ることになるとは。
「《瞬歩》」
シュッ
「「あれ?総司さんどこに行ったんですか?」」
「あぁ、ここだよここ」
「「わあ!?」」
僕はあいりちゃんの後ろに移動した。
瞬歩と言ったら自分が行きたい場所に瞬時に移動できる。そういうスキルなんだろう。
「兄ちゃんそれ移動スキルか。珍しいな」
「でも連発するなよ?スキル酔いするぞ」
「スキル酔いですか」
「あぁ、どうも使える回数が決まってるみたいでな。何回も使うと二日酔いみたいな頭痛が来る。時間がたてば治るけどな」
MPみたいなものか。自然とそう思った。
「で、スキル盤は他人のは読めないようになってるから自分で見て覚えておくといい」
「次行くぞ~」
田辺さんはそう説明し、銅像の後ろにあったお店に入っていった。
「「これってなんだかゲームみたいですね...本当に現実なのか分からなくなってきました。」」
「本当にそうだね。まるでゲームだ。」
現実離れした出来事に驚きながら田辺さんの後を追いながら考えた。
最後のスキル...あれはなんだろう。本人しか読めないと言っていたが、本人ですら読めない箇所がある。
まずは現状の確認を優先しよう。
銅像から手を放し少し時間がたつとスキル盤は消えていた。
「あぁそうそうまた《スキル盤》って声に出すと出てくるから忘れたらまた見るといいぞ」
「ここが≪ストア≫だ」
「「武器?がたくさん置いてありますね。でも定員さんは居ないようですが」」
「武器以外にもいろいろあるぞ。ここは武器のストアで隣が防具のストアだな。」
武器ストアというお店に入ると様々な武器が並んでいた。
スナイパーライフルも恐らくここで手に入れたんだろう。
手裏剣や、刀のようなものまで置いてある。
本当にゲームみたいだ...
「武器に触ってみな」
目の前にあった刀に触れてみた。
ポンッ
Name/鉄の刀 1,000P
<耐久度100>
<修理不可>
<Rank1>
「なるほど。触ると武器の情報が出てくるんですね。」
「名前の横にポイントってあるだろ、そこに触ってみろ」
購入-1000P
所持30,000P
差引29,000P
購入しますか?
【はい】【いいえ】
刀に触れると購入画面が出てきた。
「はいってとこを指で押せば武器を持ち出せるようになるぞ」
チャリン
ご購入ありがとうございました。
「何故30000Pが元々あるのか、とか色々疑問はありますがひとまず購入出来ました。」
「あぁ俺も30,000Pあったからみんな最初から持っているんだろう」
チャリン
あいりちゃんの方から音が聞こえた。
「「買えました!」」
「おいおいそれ買ったのか...」
「「ダメでしたか?」」
「いやダメじゃないが、いきなりそれ選ぶか普通...」
あいりちゃんが手に持っていたのは田辺さんが持っているスナイパーライフルより一回り小さいライフルだった。
「がはは。まぁいい買い方が分かったなら次に行くぞ」
「「はーい」」
現実離れした光景もすんなり受け入れていた。もしかしたらこういう世界を望んでいたのか?
そんなことない。目の前で人が死んだんだ。
次は自分が死ぬかもしれない。彼女も出来たことない。友達もいないのに、このまま死ねるか。
そう思いながら田辺さんの後をついていった。
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