第2話 毎日の風景2

僕たちは歩いて朝食を食べに食堂に向かった。

朝日が格子になっている窓から差し込み、廊下を明るく照らしだしている。

少し歩いた先に木造のフレームにガラスを嵌め込んだ食堂の扉が見えてきた。

食堂の扉を開けると、

「ほらな!やっぱり先生じゃなかっただろ⁉︎」

「今日こそは先生がと思ったんだけどなー」

「…いつものことだろう」

他の3人が騒ぐ声が聞こえてきた。

クルクルの巻き毛を跳ねさせている幼い容貌の活発な少年ジーノ、椅子に座って人好きのする笑みを浮かべる穏やかな性格の少年レオン、長い前髪で表情がわかりづらいが口の端に笑みを刻んでいる少年リックの3人がめいめい好きなように椅子に腰掛けている。

「僕たちも座りましょうか。」とネロが声をかけてくれた。

僕たちが椅子に座り、雑談をしていると、天井近くの壁に飾ってある鳩時計が呑気に8時を告げた。

「先生…今日も遅刻だね…」

誰からともなくそんな呟きが漏れる。

その時、どこかから車輪の回るコロコロという音と、楽しげに床を叩く靴の音が聞こえてきた。

「やあおはよう!今日も元気で何より!」

と、先生が扉を勢いよく開け、朝食の乗ったワゴンをテーブルに寄せた。

「…そんなことしても遅刻は遅刻」リックがぼそりと呟いた声が部屋に落ちる。

「あちゃーダメだったか…」と言いながら先生はテーブルに次々と料理を並べた。

いつもと同じ、何も変わらない。

朝食が終わったら、みんなで教室に移動して授業を受ける。リックは黙って静かに、レオンは積極的に発言して、ジーノはふざけながら、ネロは僕や先生に聞いて…

やっぱり何も変わらない、いつもと同じ。

「…ノア、友人が悪いことをしていたら、君はどうする?」

前の黒板には「先生に言う、黙って逃げる、友人と話し合う」と選択肢が示されていた。

「…僕は……」

今日もいつもと変わらない。

夕食になって、みんなで食べて、食後は少し遊んで、先生に挨拶して、部屋に戻る。

ベッドに入って、天井を見る。眠りに落ちる一瞬前に言葉がよぎった。

やっぱり、今日も幸せなまま変わらなかった…

なのに、この治らない鈍い頭痛はなんだろう…

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