五番目の夢と目覚め

チェシャぬこ

第1話 毎日の風景

僕はいつものように目が覚めた。

見慣れた天井に柔らかい枕の感触、いつもと変わらない音で鳴っている目覚まし。

全てがいつも通りで見慣れていた。

僕はもそもそとベッドから起き上がると、鳴り続けている目覚ましを止める。

コンコン、と丁寧に木製の扉を叩く音が聞こえる。

綺麗好きで時間に厳しい友人が今日も起こしに来てくれたらしい。

「おはようございます、ノア」

扉を開けると、もう身支度を整え、そのギリシャ彫刻のような美しい顔を朝日に照らされてさらに美しく輝かせている友人、ネロの姿があった。 

「おはよう、ネロ。今日も…」

「わかりました。毎回ですが、もう少し早く起きたらどうです?」

苦笑でそれを誤魔化し、ドアを閉めると僕は慌てて身支度を始めた。

十分後、僕が身支度を整えて部屋を出ると、壁にもたれかかっていたネロがその切れ長の目をこちらに向けて、歩き出した。

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