人狼_創作
@0000_nishiki
①(貴族ver.)
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人狼ゲームとは、簡単に言えば"人狼"を見つけ処刑し、全ての人狼を殺せば勝てるゲームだ。だが、このゲームは意外にも複雑で難しい。
騙し合い、真実を見抜き、時には最愛の相手だとしても裏切る_
各々の人間性が露になる...そんなゲームだ。
今夜も市民陣営と人狼陣営に分かれ、人狼ゲームが始まろうとしている。
役職を決められた彼らは自分の役職に"なりきる"のでは無く、"成り代わって"しまうのだ。
人狼になったなら、市民を殺す事を当たり前としてしまうように。
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_0日目、夜
"各自の家で待機、役職によってはそれぞれの行動を行ってください"
全員の部屋のモニターに、そう映し出される。このフィールドは、森の中だが何故かこういう所だけは画期的。
このモニターに文字を映し出している本人の"ゲームマスター"はそれぞれの役職を確認し始めた。
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《市民陣営》
エレノア...霊能者
(処刑された人の役職を占う事が出来る)
ソフィア...占い師
(毎夜一人を占い、人狼かそうでないかを知る)
ノラ...聖職者
(夜、一度だけ守りたい人を人狼から守ることが出来る)
ジュリー...占い師の弟子
(占い師が死んだ場合に、同じ力を発揮する)
クロエ...魔女
(処刑された人の蘇生・夜、一人を毒殺することも出来る)
アイザック...賢者
(毎夜一人を占い、その人の役職を知ることが出来る)
アーケル...狩人
(守りたい人につき、人狼からの襲撃を防ぐ)
《人狼陣営》
レイラ...黒猫
(処刑されたなら市民側から一人道ずれにし、襲撃されたならその人狼を道ずれにする)
アルム...狼少年
(毎夜、誰か一人を人狼に仕立てあげられる)
オスカー...人狼
(毎夜、市民陣営の誰か一人を殺す)
シャルル...狂信者
(人狼が誰か唯一知っている狂人、場を荒らす)
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占い師のソフィアは、誰を占うか椅子に座って悩んでいた。目の前の水晶玉をじっと見つめる。
(...やっぱり、最初にお嬢様が白か黒か知りたいけど...疑うのは失礼か...?)
...でも。
自分のお嬢様とは、これから仲間で協力し合いたいからこそソフィアは一番初めに占いたかった。同じ陣営と知れたならそれが出来るからだ。...もし、白と出なかった場合はその時だが。
決心したソフィアは水晶玉に向かい願うと、"人狼ではない"と浮かび上がった。水晶玉に、文字で。
「はぁ...良かった」
安心したソフィアは、自分の仕事を終えたので寝ようとベッドへ横になった。
同じように、占う役職のアイザックも誰を占うか悩んでいるようだ。
「んんーー??これ、怪しい奴を占えば良いのかー?!それとも仲間にしたいやつ...?」
思ったことが全て口に出ている。これから先が心配だ。
「よし!」とどうやら占う相手を決めたらしく、水晶玉が付いたステッキを思い切り振る。そうすると、宙に文字が浮かび上がった。
"魔女"
「魔女?!」
もしかして人狼陣営...?!と不安になるが、近くにあった本を確認すると市民陣営のようだ。
「よっしゃー!」
大好きなクロエと同じ陣営と分かったアイザックは、両手を大きく上へ上げた。
これを見ていると、アーケルが何故あんなに彼を心配するのかがよく分かる。きっとアイザックが嘘をつけない性格だからだ。
今回は、賢者という役職なのでまだ良かったが。
「誰を狼さんにしよっかな〜」
狼少年のアルムは、ベッドに横になりながら呑気に考えていた。
初めに言ったように役職が決められると、その役職に成り代わってしまうので、素の性格は変わらないのだが...明るくて素直な性格が変わらないからこそ、例えばこのように狼少年だった場合少しサイコパスじみた事をする。
「やっぱノラちゃんとかジュリーくん?お姉様でも良いな〜」
悩んだアルムは"どーれーにしようかな〜"と、神さまの言うとおりで決めているようだった。
「じゃあ今日はレイラお姉様!」
そう言って、名前が書かれた名簿にスっと指を滑らすと、白文字で書かれていたレイラの名前が真っ黒になった。
アルムは満足したようで、名簿を閉じた。
あまり良くないが、遊び感覚でこれをやってしまっているのだ。
_人狼ゲームは、素の性格も関係してくる。
今夜、行動出来るのは以上の彼らだけ。
それ以外のメンバーもこれからどう生き延びようか、どう動こうか......そしてどう殺そうか考える夜となっただろう。
_1日目、朝
朝になると、彼らは森の真ん中にある屋敷へ集まる。ここで論議をするのだ。
(※会話文面倒臭いので絵文字)
🐰「おっはよー!」
🐁「おはようございます、アルム!」
皆挨拶を交わす。
🐈⬛「では、話し合いを始めましょうか。...まずは占い師の結果からね」
⚔️「はい、僕が占い師です。お嬢様を占って、人狼では無いと出ました」
🐈⬛「ありがとう、ソフィア」
🪶「なぁなぁ、俺も今言った方が良いのかアーケル!」
🦂「.....アイザック様は何の役職で?」
小声で話す。
🦋「あら、お二人とも。そんな事をしていると疑われるわよ」
💍「なんの相談?」
🪶「ちがっ!あ、俺クロエの事占ったんだぜ!」
⚔️「...?占い師の対抗ですか?」
🪶「違う!!俺は賢者だ!」
バッと椅子から立ち上がって言う。
皆一瞬静まり返った。
賢者は占い師と同じく、カミングアウトすると狙われやすい役職だ。
アーケルは横で軽くため息をつく。
🕊「そうなのね、ちなみに...クロエ様の役職は何だったのかしら?」
🪶「えーと、これあれだよな。市民陣営の役職!って言えば良いんだよな」
🖤「なるほど、ならクロエは白...と」
🦋「ふふ、そんな気を使ってくれるだなんて。どこで覚えたのかしら?」
🪶「気を使う?なんてもちろん!!クロエの事は俺が守るぜ!」
🦂「...守られるのはアイザック様の方ですよ」
🍃「占える役職二人もいるんだじぇ?すごいのぅ〜。わしも次誰か占うんだじぇ!!わしも占われたい!」
⚔️「......考えておきます」
🪶「おう、良いぜ!」
🦂「駄目ですよアイザック様...」
🖤「きっと無駄な占いになりそうですからね」
🕊(無駄な占いは無いと思うのだけれど...)
少し不審に思うが優しいエレノアなので口に出したり問い詰めたりはしない。
🐈⬛「今日はここまでかしら。...処刑はどうしましょう?」
⚔️「...吊らないのも心配ですけど、情報がまだ少ないです。無闇に吊るのは流石に気が引けます」
🐈⬛「ええ、そうね...なら今回は無投票で行きましょうか」
皆が了承すると、投票が行われた。
_0票。処刑は行われない。
話し合いが終わった彼らはまた各自の家へ戻る。次の日...に備えて。
_1日目、夜
狩人のアーケルは悩まず、アイザックの家の前で待機していた。茂みに隠れ、弓を構える。
主人が殺されるのは絶対に防ぎたいし、今回は主人が"賢者"の役職だったのでラッキーだ。
同じく占い師のソフィアも狙われるのだが、初めは狩人に守られやすい役職だからこそ、きっと頭の良い人狼は彼を狙わない。
なので裏をかいて...そして主人なのでアーケルはアイザックを守っているのだ。
今夜は誰を占おうか...。
初めの夜と同じようにソフィアは水晶玉と睨めあっていた。
"怪しい"人を占うか、"信じたい"人を占うか......。
(......今日は、)
アルムを占おう、そう決めた彼は水晶玉に映し出す。結果は"人狼ではない"だ。
どうやらソフィアは嘘をつかなそうな、そんな素直な子を占う特性があるらしい。
つまり、自分が"信じたい人"だ。
だが、それはほとんど自分が安心する為だけの方法であり、これがどんなに効率が悪い方法かは後に分かる。
生憎、アイザックもそのタイプだった。
なので、自分が信じたい相手_アーケルを占う。
「おっ、アーケルは狩人か!!かっこいいな〜!」
なら今頃ソフィアを守ってんのかな、すごいな!と自慢げで笑顔のアイザックだが、守られているのは自分だ。
機嫌が良いアイザックはそのままベッドに飛び込んで寝てしまった。
さて...。
人狼は黒髪を靡かせ、森の中を進む。
夜限定で、頭には黒い耳が生えており鋭い爪と牙をもっている。
眼光も、昼よりかは鋭く思える。
_人狼のオスカーが向かうのはアイザックの家だ。
どうやらアーケルの予想は的中したようで、守られやすい占い師のソフィアを狙うのは避け、厄介な役職の賢者を狙うことにしたらしい。
アイザックの家へ一歩一歩近づく。
そして、その姿がアーケルの目に付いた。
勿論、真っ暗な森の中で誰かを判別することは不可能だが。
(アイザック様の家はここか、)
オスカーは冷ややかな目で、また一歩歩き出そうとしたその時、シュッ...!と矢が放たれる音がなった。
「...っ!」
矢が自分の足元を掠めた。
(...狩人、)
チッ、と舌打ちをする。占い師がいるのに、誰だ_"態々"賢者を守っている奴は...。
そう思いながら襲撃が失敗したオスカーは道を引き返す。狩人がいるということは、あれ以上進むと絶対に殺されるからだ。
でも、占い師がいる中で賢者の_アイザックを守る人物。これは限られてくる。
オスカーは、大体の目星をつけて一日目の夜を過ごした。
ちなみに、狼少年のアルムはあみだくじで人狼に仕立て上げる人を決めたらしい。
_2日目、朝
朝、屋敷のモニターにはこう映し出されていた。
《人狼の襲撃は、狩人によって防がれました。話し合いを始めてください》
と。
🪶「凄いなぁ!!な!アーケル、すごいな!」
🦂「え、ええ...。そうですね。」
自分が狩人であるので、アーケルはそう輝いた目で言われると少し照れてしまいそうだった。
それに、守っている本人に言われているというのもある。
🖤「...」
その様子をオスカーは横目で見る。
🖤「一日目は何も起こらなかったようで、安心ですね」
🐰「狩人さん、かっこいー!」
🐁「ね、ほんとかっこいいです」
🕊「ふふ、流石ね」
💍「守れたんだ、...すご」
🍃「ずるいずるい!わしもドカーンって撃ちたいんだじぇ!!」
🖤「家ごと吹き飛びそうですね」
🐈⬛「良かったわ、誰も殺されないで...。さて、話し合いを始めましょうか。ソフィア、結果をお願い出来るかしら」
⚔️「はい、アルムを占って人狼では無いと出ました」
🐰「うん、僕人狼じゃない!」
🐈⬛「ありがとう、次に...アイザック様。良いかしら?」
🪶「オレはアーケルを占ったぜ!」
🦂「...!」
🪶「アーケルは...市民陣営だ!」
🦂(あぁ...だからさっきあんなに、)
🦂「占って頂いてありがとうございます」
アーケルは、少し困ったように小さく微笑んだ。
白と証明された事は嬉しいが、一番最初のあの態度はちょっと分かりやすすぎる。
🐈⬛「二人とも、ありがとう。...なるほど。オスカー、そこにあるノートに私が言うことをまとめてくれないかしら」
🖤「はい、承知しました」
🐈⬛「まず、ソフィアは占い師、アイザック様は賢者。対抗は居ないのでこの二人が言う結果は確定、としてと見ていいわよね。エレノアとアルムは"人狼では無い"。そしてクロエ様とアーケル様は市民側の陣営。」
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ソフィア...占い師(白)
アイザック...賢者(白)
エレノア→人狼では無い(白?)
アルム→人狼では無い(白?)
アーケル→市民側(白)
クロエ→市民側(白)
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🖤「処刑はどうしますか?今白が確定していない人の中から吊るか、もう少し情報が集まってきてから吊るか」
🖤(きっと、聡明なお嬢様ならここでは吊らない)
🐈⬛「そうね...。...まだ、やめておきましょう。みんなの意見も聞かせて欲しいわ」
🐈⬛(人狼陣営としては、一人市民側を減らしておきたいけれど、無闇に吊って人狼だったらいけないわ...)
🕊「私も、まだ分からないのに誰かを処刑するのは気が引けるわ...」
⚔️「僕も同意見です」
💍「僕も」
🐁「私も...今日は誰も吊らなくていいと思います!」
🐰「ねー、誰も吊りたくない!」
🪶「俺もそう思うぜ!」
🦂「私も、アイザック様と同じ意見です」
🐈⬛「ええ、...なら今日の話し合いは終わりましょうか。明日も、全員揃っていることを願ってるわ」
投票 _0
"処刑は行われませんでした"
_2日目、夜
アルムは、ココアを飲みながら名前が書かれている名簿に目を通していた。
(今日はー...)
そして目を瞑って選び始めている。
トン、と指を置いた先はノラ。
(ノラちゃん!)
そしてスっと名前をなぞるとノラの白文字は黒色へと変わっていく。
アルムは満足気に笑うと、ココアを飲んで椅子にもたれかかり...目を閉じた。
同じく人狼陣営のオスカー。
(狩人は...多分アーケル様か。ならアイザック様を狙うのは馬鹿だな)
狩人がアイザックについているなら狙うは......狙うは、もちろんソフィアだ。
他にも、守れる役職が居るのだとしたら失敗してしまうかもだが、これは賭けに出るしかない。占い師か賢者のどちらかを潰しておかなければ、今後動きにくいのだ。
オスカーは暗い道を淡々と進む。そして、ソフィアの家が見えて、歩くスピードを変え、ゆっくりと進む。
どれだけ近づいても弓が飛んでくる様子は無い。
(あぁ、やっぱり)
これで一人邪魔な奴を殺せる、そう確信着いた顔で家の扉の開こうとすると、扉を触った瞬間思い切り辺りが光りだした。
そして、その眩しさに目を閉じた瞬間、バチッと電流を流されたかのような痛みを感じて思わず離れる。
_この光。
(...嘘だろ、聖職者もいるのかよ)
2回、襲撃に失敗してしまったオスカーは流石に機嫌が悪くなりながら道を引き返そうとする。_が、何かを踏んだ感触がして立ち止まる。
下を見ると、緑色の髪留めが落ちていた。
これはソフィアを護った人が分かるヒントになるかもしれない、そう思いオスカーはピンを胸ポケットにしまった。
そしてまた自分の家へ歩き出す。
一方、家の中で誰を占おうか考えていたソフィアは外が一瞬、明るくなった気がして窓を見るが外は真っ暗のまま。気の所為だったようだ。
今夜はノラを占おうと決めたソフィアは、水晶玉に結果を映し出す。
結果は___人狼。
「...!」
最悪の結果を当ててしまった。だが、誰であろうと人狼なら処刑しないといけないのだ。それが...このゲーム。
自分は占い師であるし、嘘をついて混乱に陥れることは許されない。
覚悟を決めて、次の日結果を言おうとそう決意した。
「んーと、クロエを占って〜...アーケル占ったのか!じゃあ次はー」
アイザックは、誰を占おうかみんなの顔を頭に思い浮かべる。
まずソフィアは占い師だしエレノア、アルムは白と言われていたのでない。
(ノラかジュリーを占うか〜)
どちらにせよ、どっちを占った方が良いとかいう根拠は無いので勘で誰かを占うしかないのだ。
(よし、なら最近遊んだジュリー!)
ステッキを振ると、"占い師の弟子"と出る。
(おおっ、弟子なのか!ソフィアのことが大好きなジュリーらしい役職だな!)
占い師のソフィアと違い、安心出来る結果を引き当てたアイザックは、またもや笑顔。
そして次の日を迎える。
_3日目、朝
《人狼の襲撃は、聖職者によって防がれました。話し合いを始めてください》
🍃「なんじゃ、人狼可哀想じゃの〜〜」
🖤「ええ、本当に...」
💍「人狼に情けとかいらないでしょ...。まだ2回防いだだけだし」
🕊「そうね、それでも良かったわ。これは確実に勝ちに繋がるもの」
🪶「ナイスだ!聖職者の人!!」
🐁「ふふっ、...ナイス、ですね」
🦂「ええ、物凄く良い働きです。」
🐈⬛「...良かったわ、今日も全員揃っていて。」
⚔️「...占いの結果、言っても良いでしょうか」
🐈⬛「...。ええ、お願いするわ」
普段とは違う表情のソフィアに気付き、周りの雰囲気が変わる。
⚔️「ノラを占って......。結果が、人狼でした」
🐁「え!...違います、ノラは...!!」
🐈⬛「......それでも、ノラが人狼という結果だったのよね、?」
⚔️「............はい。」
🐰「でも、ノラちゃん違うって言ってるよ!僕、嘘つくなんて思えないし!」
🪶「俺もだ!ノラが嘘つくなんてありえない!」
🦋「アタシも、二人の言う通りだと思うのだけど。こんな小さい子が違うと言っているのよ...疑うのは可哀想だわ」
🖤「どうでしょうか?人は見かけだけでは無いと思いますよ。現に、信用がある占い師のソフィアさんが結果を出しているのですから。...ねぇ?」
⚔️「.........。」
🕊「......そう、だけれど。私も、...ノラが人狼だなんて...」
🍃「どうなんだじぇどうなんだじぇ〜〜!!?!ノラは黒か!白か!髪は白だけどのう!」
🖤🦂「「貴方は少し黙っていてください」」
💍「......。でも、ノラが人狼って。そう出てるんだから仕方ないんじゃないの」
🐁「違います、だって...ノラは、ノラは.........!」
涙目になってしまうノラ。それもそのはずだ。彼女は、守ってあげたソフィアに人狼と言われ、疑われているのだから。
それに、何故自分が黒とされているのかも分からない。本当に聖職者という役職なのだ。
🐁「私、は.........、、。」
そう言うと俯いて黙ってしまった。
もしここで自分が聖職者だとカミングアウトしてしまっても、恐らく今日の夜に殺されるであろう。それなら...今大人しく処刑された方が、占い師のソフィアが疑われずに済む。どんな理由であろうと、きっとソフィアは自分を裏切ったりしない...ノラはそう信じているからだ。
🐁「ば、バレちゃいましたか......。ノラ、人狼だったんです。」
震えた声でそう言うノラを皆はじっと見つめる。
🕊「ノラ......」
🐈⬛「.........」
🦂「...もしここでゲームセットなら…それなら、終わらせましょう。態々処刑しないでも、」
💍「...それは、駄目でしょ。殺さないと終われないんだから」
🐁「...わ、私を...!処刑したとしてもまだ仲間は居ますから!絶対......私たちが勝ちますから、ここでおわりじゃないですよ、残念でしたね」
ノラは、普段言われ慣れていない悪役みたいなセリフを精一杯言う。人狼がまだいるという事を示すための言葉でもあるが、これは本心だ。"私たちが勝つ" "ここでおわりじゃない"
_人狼へ、もしかしたら自分を人狼に仕立てあげた人狼陣営に向けての、挑戦の言葉だ。
🐈⬛「......それは、どうかしら。ノラ、貴方を処刑するのは本当に申し訳ないけれど...どちらにせよ人狼陣営が苦しくなるのは事実だわ」
🐈⬛(本当に...。ただここでノラを庇って私が吊られたとしても人数不利は確実よ。なら、まだあと少しだけ残って場を混乱させたいわ...)
🪶「嘘だろ、...ノラを処刑って.........ノラ、だって...ノラは違うって...!」
⚔️「...でも、今は認めています」
🪶「おい、ソフィア...!」
アイザックは説得しようとソフィアの肩を掴もうとするが、その手はアーケルに止められた。
🦂「アイザック様」
アーケルは首を横に振り、"駄目ですよ"という意思を伝えてくる。
ソフィアも辛いけれど、市民陣営が勝つ為にきっと言っているのだとアーケルには分かったから。
🍃「えっと..、?これは、どうなったんじゃ、」
🖤「今回はノラ様を処刑する、という事で宜しいですか?」
🐈⬛「...ええ、。...そうね」
🕊「............」
🐰「......そっ、か」
そして、皆静かに投票箱へ紙を入れた。勿論、自分の意思で投票するので白紙でも良い。
まるで、お葬式の参列者のように顔が曇っている。
《投票 ノラ...6》
《処刑...ノラ に決定致しました。処刑が行われます》
ギロチン、首吊り、電気椅子...など世の中の処刑方法は様々だが、ここでは銃で脳天を撃ち抜かれ、1発らしい。
ノラは椅子に座らされ、その手は横で拘束されている。
🖤(...あ。)
椅子に座り、震えるノラを見て昨夜拾った髪留めの事を思い出す。
🖤(.........なるほど。)
ノラの髪にいつも付いている緑色の髪留めが無いのだ。つまり、昨日ソフィアを守っていたのはノラ。何故、その彼女が黒と出たのかは分からないがどちらにせよ最悪だ。...いや、こちら側からしたら"最高"なのだが。
🖤(...可哀想に。...そして、本当に最低な人ですね)
いや、しょうがないけれど。という意味も含め、呆れて小さく笑いながらノラを人狼と言った張本人のソフィアを横目で見る。
🐰「ノラちゃん......!!」
🐰(...あれ、これ僕がきのう選んだから?)
その事実にやっと気づいたアルムは、ノラの顔が見れずに下を向いた。アルムは陣営としては正しい事をしているのだが、それには気づかない。
🐁「...勝ってくださいね、お兄様」
そして、パンッ___と無機質な音が響いた。
ノラは、鮮明な血を流しながら項垂れていた。
エレノアやアイザックは勿論その姿を見たくない、と静かに顔を背けていたが、"自分が投票したことによって人が死んだ"その事実から逃げないよう。何人かはじっと、真っ直ぐその姿を見て目に焼き付けた。
_3日目、夜
(さぁ、はやく行きましょうか)
オスカーは、2日目の夜と同じくソフィアの家へ向かっていた。
恐らく狩人のアーケルはアイザックを守り、聖職者のノラも処刑されて死亡、どちらにせよ守りの付与は1回しか出来ないのでソフィアを狙えば確実に殺れるからだ。
(もし、これでまた守られていたら自分の運の無さを恨むしか無いな)
そう苦笑して家の前まで来たが、弓が放たれる気配も、罠も......勿論扉を触れても何も起きない。
勝ちを確信した顔で、彼は微笑む。
いや...微笑むと言えるほど穏やかでない悪い顔だ。
(まぁでも、やっと1人...か)
そしてゆっくり扉を開けた。
「...、!」
ソフィアは瞬間的に距離をとり、後ろへ下がった。勿論、意味は無いのだが。
(...オスカー、こいつが...。なら、ノラと仲間?何であの時あんなに淡々と...)
「こんばんは、やっと占い師の貴女を殺せますよ」
「......。良かったですね。...でもまだ、賢者のアイザックさんが残っています。僕が死んだところであまり意味は無いですから」
(いや、意味が無いわけ無いだろ...。)
結果を知れる人間が1人居なくなるという事は市民側にとって重大な欠陥だ。
(あぁ、そういえば...これは伝えといてあげるか)
「......知っていますか?ノラ様は、貴方のことを守ってくれていたんですよ」
「...は?でも、ノラは人狼じゃ...」
「...どうしてでしょうかね。私にも何故彼女が人狼というふうに出たのか分かりません。それとこれ、貴方の家の前に落ちていました」
「......!」
オスカーに渡された、緑色の髪留めを見てソフィアは目を見開く。それは正真正銘、ノラが付けている髪留めだからだ。
「"向こう"で会いましたら、返してあげてくださいね」
オスカーは張り付けの笑顔で含みのある言葉を言うと、一歩ずつ距離を詰める。
「...。絶対、お嬢様が止めます。...思い通りに行くと思うなよ、オスカー」
「そんなこと...分かっていますよ」
下から睨みつけられ、相変わらずの強気な態度に少し苛立っては笑顔を無くし...その鋭い爪で、オスカーはソフィアを斬り裂いた。
バッ、と赤い血が辺りに舞った。部屋も、もちろん斬った自分の服にも返り血が飛ぶ。
苦しそうに倒れ込むソフィアの白いローブが、綺麗な赤に染められていく。
目にあった光も、血が広がっていくのと共に霞んでいく。
まだ意識はあるようだったが、明らかに助からないその血の量を見て、オスカーは家を後にした。
(...血で服が汚れたし、洗わないといけないか)
面倒臭いな、そう呑気に思いながらオスカーは暗い道を戻って行った。
「うーん、うーん......。怪しい人、怪しい人......」
ノラが処刑されるのを見て、流石に今度は適当に選べない。そう思ったアルムは真剣に狼にする人を考えていた。
人狼陣営なので、悩む趣旨が間違っているが。
(ジュリーかオスカーかシャルルだよね、選ぶなら。うーん、どうしよ〜〜!!でも、ジュリーはいっつも僕と遊んでくれるし、シャルルは元気で素直そーだからオスカー?なんか、オスカーなら頭いいから騙すの得意そう!)
勿論、アルムなので嫌味は全くもってない。
良い意味で、というやつだ。
誰を黒にするか決めたアルムは、オスカーの名前を真っ黒に染めた。
もし人狼じゃ無かったごめんね!と本人は思っているが、普通に逆なのだ。
人狼じゃない人を選び、困惑させるのが狼少年の役割なのだが、素の性格の良さに役職が押し殺されてしまっている。
だが、逆にその素直さが強い場合もある。
アルムは、静かに名簿を閉じて今日のノラの事を思い出した。
頭の中で何回も、"ごめんね"と謝る。
脳内のノラは笑顔で許してくれるのだけど、自分の妄想でしかない事はアルムにも気づいているので不甲斐ない気持ちは残ったままだった。
明日に備えて、ベッドに横になる。ノイズが、ずっと鳴っているようで中々寝付けなかった。
(ノラは...。ノラは本当に、ほんとうに人狼だったのか......?占いたい...俺が占ったら本当の役職が分かるのに...!!)
「なんで占えねぇんだよ〜〜!!!」
処刑された人を占う事は出来ないのが人狼ゲーム。それにアイザックは一生悩まされていた。
(これ、...もしかしたら占いを騙せる奴がいるのか?!ノラのあの顔、ぜってぇ嘘ついてない顔だったし!絶対!)
ソフィアが占っている人をもう一度占おうとしたアイザックだが、エレノアとアルム、どちらを占えば良いのか分からない。どちらも嘘なんてつかなそうな2人だからだ。
(......この2人なら、...アルムにするか、!エレノアがもし人狼陣営の役職なら自分から言いそうだしな!!)
_そんな事は無い。が、確かに苦しそうな顔をしそうではある。
そしてアイザックは力を込めてステッキを強く振った。
宙に浮かぶ文字は......
_"狼少年"
(狼少年って...、...!なら、!...ならノラは...!!)
アルムが市民陣営のはずのノラを人狼に仕立てあげていたなら物凄く辻褄が合う。
でも、この事実をソフィアに伝えるのは可哀想すぎるな...。と思った。
自分がアルムの事を"狼少年"と素直に伝えてしまえば皆の為にはなるのだろうけど。
次の日は、人狼陣営とだけ伝えよう。そうアイザックは決めた。
アイザックはこういう所で気が使える男なのだ。
「...え。」
もう寝ようかと思っていたジュリーはそう呟いた。占い師の力が、自分に使えるようになったのだ。
それはつまり...今の占い師の死を意味する。
(は...いや、なんで?お兄様の事は狩人が守ってるんじゃないの......?おかしいでしょ)
だが、その事実は変わらない。
怒りを鎮めてとりあえず占う人を考える。
こういう時こそ冷静に、お兄様ならきっとそうするからだ。
(普通に怪しいのオスカーかシャルルでしょ。てかシャルルは絶対嘘つけないし全然オスカー一択...)
怪しい人を占う。この占い方が1番効率的なのだ。ソフィアもアイザックも"人が良い"_主人公気質な彼らだからこそ効率が悪い方法を選んでしまう。
そして水晶玉に浮かび上がったのは......
"人狼"の文字。
(...だよな)
ジュリーはまた湧き上がる苛立ちを押さえつけながらベッドへ横になり、明日のことについて考えた。
_4日目、朝
屋敷に集まった皆は、予想通りの絶望した顔だった。
《昨夜、人狼にソフィアが襲撃されました。話し合いを始めてください》
🕊「......嘘。...占い師なら、守られる役職だと思っていたのだけれど............」
そう言うとエレノアは少しふらつき、近くの椅子に座って俯いてしまった。
💍「...。はぁ......。お兄様、占い師って分かってるのに狩人...何してんの」
🐰「ノラちゃんの次は...お兄様も、?」
🦂「.........。」
🦋「とりあえず。話し合いをしないといけないわ、こうやって項垂れていても人狼の思う壷よ」
クロエはそう言うとパン、と手を合わせ、皆が気持ちを切り替えられるようにする。
🖤「そうですね。話し合いを始めましょうか」
🍃「そうだじぇ、何事も挑戦が大事!じゃ!」
🐈⬛「それは少し違くないかしら...」
🕊「...えぇ、そうよね。クロエ様の言う通り、私達は話し合って...勝たないといけないわ」
💍「ねぇ、僕から1つ良い?」
🐈⬛「どうしたの、ジュリー」
💍「僕、占い師...になったんだけど。カミングアウトすると、占い師の弟子だから...お兄様が亡くなって、占い師の力が僕に来た。」
🦋「あら、そうなのね。ちなみに結果を教えてくれるかしら」
💍「オスカーさん占って人狼」
そう言うとジュリーはオスカーを睨みつける。
🖤「おかしいですね。私は市民側の陣営なのですが...どうしてでしょう」
🦋「それにしてはアンタ随分と落ち着いてるわね」
🖤「変に焦っても疑われるだけです。私は事実を言っていますから...。それに、ジュリー様が人狼だったとして、占い師が死んだことを良いことに弟子と嘘をつき、私の事を吊らせようとしているとしか考えられません」
🦋「すごい饒舌...オスカー、そんなに話す子だっけ?」
🖤「家族面しないでください」
🦋「いや、あんた私と家族だけどね?それに家族面ってなによ...」
💍「良いことにって............僕がお兄様に対してそんなこと思うわけないだろ!」
🐈⬛「落ち着いて、ジュリー...。確かに、貴方の気持ちも分かるけれどオスカーの気持ちも分かるわ。それに実際、貴方が"白"という事実は無いもの」
🕊「...アイザック様、貴方からも結果を聞きたいのだけれど...アイザック様...?大丈夫かしら...」
🦂「...!気分が優れないんですか?もし良かったら横に...」
ぼーっとしているようで、いつもの笑顔は消え、虚ろな表情のアイザックを心配してアーケルは話しかける。
🪶「...あっ、ああ!ごめんな!ちょっと...ぼーっとしてて...」
虚ろな顔をするアイザックの気持ちは市民陣営の誰もが分かった。既に、知っている人が二人も死んでいるのだ。
🪶「えっとー、結果だよな?アルム占ってー.........。」
🪶(ソフィアがいない......なら、言っても良いのか)
🪶「"狼少年"だったぜ」
🕊「狼少年...!」
🐰「あ......。うん、...うん。そうだよ」
🪶「あと、ジュリーは本当に占い師の弟子だ。俺が証明する。3日目の時、色々あっただろ?だから、言う時が無かったんだ。...ごめんな」
🐈⬛「なるほど...そうなのね。謝らなくて大丈夫よ、アイザック様。私もあの時は冷静になって貴方へ聞くことが出来なかったわ」
💍「ほら、僕は嘘なんかついてない!オスカーが黒だ!!」
🐰「いや、違う!オスカーは黒じゃないよ...多分」
💍「は...なんで」
🐰「...昨日、オスカーを選んで僕が人狼ってことにしちゃったんだ。ごめん...。なんか僕の能力、"陣営を変えれる"みたいだから」
🐈⬛「なら、オスカーが本当に黒かどうかは分からない、という事で良いのね...?」
🖤「...私は人狼では無いですから、先程も言った通り」
🍃「のう〜、今日の処刑はどうするんだじぇ?もうすぐ投票が締め切られる時間になってしまうぞ」
ほら、とシャルルは時計を指差す。
🕊「......。私も、カミングアウトして良いかしら」
🐈⬛「ええ、良いわよ」
🕊「私は...霊能者よ。だから、ノラの本当の役職が分かるの」
🪶「...!!本当か!」
🕊「...ええ」
🕊「ノラの役職は...」
🐈⬛「エレノア、嘘をついては駄目よ。...私が霊能者だわ」
🕊「...レイラ?」
本当の霊能者であるエレノアは、ずっと味方だと思っていた"冷静な進行役"のレイラにそう言われ、目を見開く。
🪶「ええっ、霊能者が2人?!ちょっと待ってくれ...」
🦂「エレノア様、ノラ様の役職は何だったんですか?」
🕊「...、聖職者よ」
🐈⬛「いいえ、ノラは普通に人狼だったわ」
🪶「んんーー?!でも、ノラは狼少年に人狼ってされてたんじゃ...!」
🐰「う、...!」
🖤「しー...、それは言わない方が"仲間の為"ですよ」
皆に聞こえないよう、オスカーはアルムに耳打ちした。
アルムはどうして駄目なのかよく分からなかったが、"仲間の為"、らしい。それならもうこれ以上傷つけたくないので黙っていた。
オスカーの言う"仲間の為"は"人狼陣営の為"だが。いや、アルムは人狼陣営なので勿論意味合いはあっている。
🐈⬛「アルムが狼少年と分かったからこそカミングアウトしたんでしょう、エレノア。...そうすれば、仲間のノラと自分の潔白を証明出来るものね」
🕊「ち...、違うわ!!本当に、私は霊能者よ...!」
🦋「そうね、エレノアは最初にソフィアが占って、人狼じゃないと言われていたもの」
🐈⬛「あの時は狼少年がいたわ。アルム、貴方は"陣営を変えられる"んでしょう?なら...ソフィアの占いが間違っていてもおかしくない」
🐰「う、うん...僕はたしかに陣営を変えれるけど...」
🐰(あれ、でも1番初めに変えたのは...。変えたのは、誰だっけ...?)
適当に選んでいたアルムは、最初はレイラを選んだ...だなんて全く覚えていない。
まるで、イソップ童話の狼少年のように。遊びでやっていると...後で後悔するのだ。
🐈⬛「私は、絶対に霊能者よ」
🐈⬛(...どうしてアルムは自分が"人狼にしか変えれない"と言い直さないのかしら。それに、初めに変えた人は絶対エレノアじゃないはずよ...。ここで私が吊られて、誰かを道ずれにしようと思ったのだけれど...。それでも一日多く生き残れるのはどちらにせよ好都合...だわ)
🦋「だったら...。今日吊るのはアルムという事で良いかしら。人狼陣営が確定しているし...。もう時間も無いわね」
🐰「う、うん...そう、だよね...ごめんね、みんな...」
🦂「...。投票、始めても良いでしょうか」
🖤「ええ、良いと思いますよ」
🕊「.........。...ええ」
《投票 アルム...6 エレノア...2》
《処刑...アルム に決定致しました。処刑を行います》
同じように椅子に括り付けられているアルムは、不安そうだが、申し訳なさそうな...そんな顔だ。
そして遂にはボロボロと大粒の涙がその目から溢れ出してしまった。
🐰「うぅ...ごめ、ごめんね...、僕のせいで...生き残って、みんな…」
🖤(まるで市民側を応援しているみたいだけど...陣営を分かってない、?)
🐈⬛「...。」
そしてパンッ_と銃声音がなる。
椅子の下にはノラの時と同じく鮮明な血が滴り落ちている。
皆は黙って振り向くと、処刑場を後にした。
「家まで送りますよ、」と言われてアイザックはアーケルと一緒に帰っていた。
「...。なぁ、アーケル。」
「...?どうしましたか、アイザック様」
「ずっと、俺の事守ってくれてありがとな」
普段の太陽のような笑顔とは違い、儚げな...切ない笑顔でアイザックは笑った。
「...!...いえ、私は...守っているというより、...ジュリー様にも言われてしまいましたし。...きっと駄目な狩人です」
「そんな事ないぜ、...あ、だったらさ。次はジュリーを守ってやれよ!」
「.........え、...ですが、」
「多分人狼、次狙うならジュリーだぜ。」
「............。」
「大丈夫だ、アーケル!」
『俺を信じろ!』
そう、アイザックはいつものような輝く笑顔で笑った。久しぶりに見た、笑顔だ。
「......はい。分かりました、私の主人はアイザック様ですから...貴方の言うことなら何でもお聞きしますよ」
「あっはは!そんなかしこまるなってー!」
アイザックはアーケルの肩へ手を回す。身長が彼より高いアーケルはかがみ、自然に高さを合わせた。
_4日目、夜
(...占うなら、絶対お姉様かレイラ様...。どっちを占ったら良いんだろ...。お姉様の白って結果が間違ってるかもしれないって感じだったよな...?多分、レイラ様を占うより、お姉様を占った方が効率的。お姉様が白ならレイラ様は黒だし、その逆ならお姉様は黒でレイラ様がほんとの霊能者だ)
色々な事を考えた末、ジュリーはエレノアを占う事に決めた。ソフィアが占っているのに、上書きのようにまた占うのは申し訳なかったが、そんな事を気にしている場合では無い。
エレノアを占うと結果は_
"人狼では無い"...白、潔白だ。
(やっぱり、お兄様の占いは間違ってなんかいない...)
ジュリーは安心したように、少し自慢げに微笑んだ。
「アーケル、今頃ジュリー守ってんのかな〜〜」
ベッドに寝転びながら、"かっこよく弓構えてんだろうなー"と笑顔になりながら眠ろうとしていた。
「んー...、あ!!やべ、誰かを占わないと行けねぇんだった!」
そしてアイザックは飛び起きる。
ステッキを持って振ろうとした時、扉の方からガタン、と何やら物音がした。
「ん?誰だー?」
そう言って、警戒心が欠片も無い彼は扉を開ける。
するとそこには、オスカーがいた。
「おっ、オスカー!どうした?...って、髪すげぇボサボサ!大丈夫か?人狼にでも襲われ.........」
アイザックはサッサッ、とオスカーの髪を直す。が、頭に着いている耳の感触に気づいたのだ。
「人狼の私のことを、気にして頂いてありがとうございます」
「おまえ...人狼だったのか、?」
「ええ、そうですよ。...今日は、貴方の従者さん...いないんですね」
ここまですんなり来れたオスカーは、周りを見渡す。もう替えがない占い師を流石に狩人も守りに行くと思ったが、その予想が今度は的中したようだ。
「そうだぜ!アーケルはジュリーを守りに行ってるからな!」
「あぁ...。可哀想に、また素直に守って欲しいと頼めば良かったものを...」
オスカーは哀れむ表情を見せる。アーケルならきっと、アイザックの頼みなら絶対に聞くだろうに。それは実際に間違っていない。
「ん?違うぜ!俺がアーケルに言ったんだ。俺の_"命令"だぜ」
「...!...。...そうですか」
オスカーは目を見開く。まさか、自分から他の人を守りに行けというだなんて...もはやお人好しなんて部類じゃない。
人狼を目の前にしているというのに、普通の人間と話すように、平常な態度を取るアイザックに対して、オスカーは少し苛立ってくる。
まだうるさく怖がって泣き喚いてくれた方がマシだ。
勿論、強気で偉そうな態度も苛つくが、こういう"何にも気にしていない"ような明るい態度もまた苛つくのだ。自分の、性格の悪さが太陽の元に晒されているようで...物凄く不快。ただそう思った。
噛み殺してやろうかと思い、力強くアイザックの両肩を掴む。
「っ...、」
人狼の前で取り乱すまい、と顔は笑ったままのアイザックだが流石に身体は震えている。
それを、見たオスカーは少し考えた後その手を離した。噛み殺しても別に良いのだが、口の中に他人の血が広がるのは嫌だ。
「…すぐそちらに、アーケル様を送って差し上げますね」
そう言うと、間髪入れずにザシュッとオスカーはアイザックを斬り裂いた。
「ぐ…、ぅ…」と腹部を押さえながらアイザックは体勢を崩す。
床に赤い血がどんどん溜まっていく。
膝を着いて、なんとか起き上がっているようだ。
「……来ないぜ。アーケルは、……。アーケルは、最後まで……!みんなの…"救い"になる…っ、」
そう言って、また小さく笑うとアイザックは床に倒れ込んだ。目は虚ろになり、どうやら息はしてないようだ。
「それは…貴方の決めれる事ではありませんけど」
オスカーは、本当に可哀想な奴が多いな、と蔑んだ目でアイザックを見下ろした。
そして、アイザックの家から出ると夜道を優雅に歩いた。
夜…茂みに隠れていたアーケルは、人狼が現れなかったことに嫌な予感がした。
もし、人狼が自分の主人の元へ行っていたらどうしよう_と。
まぁ、その予感は的中してしまっているのだが。
_5日目、朝
屋敷に来た瞬間、アーケルは倒れそうになった。目の裏が熱くなっていくのが感じる。なんとか、雫が落ちそうなのをグッ、と堪えた。悲しい気持ちや後悔もあったが、主人を守れなかった自分が憎い。悔しい。
《昨夜、人狼にアイザックが襲撃されました。話し合いを始めてください》
🕊「……アイザック、様…」
🐈⬛「でも、賢者という役職でそれまで生き残れていたということは……。狩人が守る人を変えたのかしら、」
🦂「……っ、」
図星だ。そんなアーケルの表情を見て、オスカーが近づく。
🖤「アーケル様、大丈夫ですか?顔色が悪いようですが……」
🦂「あ…。……いや、大丈夫です。ご心配をおかけしてすみません」
アーケルはいつも通りの真顔へすぐ戻す。
狩人と悟られないためにも、自分の失態を悟られないためにも…だろう。
🖤(まぁ知っているんですけど)
💍「…………。結果、言って良い?」
この更に暗くなった空気を打ち消す鍵となったのはジュリーだ。彼らは一度屋敷内で空気が悪くなると、沈黙が続き全く話し合いが進まない癖がある。
まずそれを打開するキーパーソンが必要となるのだ。
🕊「ええ、……お願いするわ」
💍「狼少年に陣営変えられてるみたいな話してたから、エレノアお姉様占ったんだけど…。やっぱり人狼じゃ無かったよ」
🦋「……!ってことは、」
クロエがそう言うと、皆はレイラの方へ一斉に視線を向ける。
🐈⬛「……。ええ、私は霊能者では無いわ」
🦂「じゃあ、ノラ様は聖職者で……狼少年に、」
🕊「処刑した…アルムはちゃんと狼少年だったわ…。それしか考えられない…わね」
知りたくなかった事実だ。投票してない人も勿論いたが、それでもノラを疑ってしまった自分達が恥ずかしかった。
🦋「なら、もしかしたらソフィアを前の夜守ったノラが、次の日にソフィアに占われたことによって処刑された……という事よね」
🖤(そうですよ。…というか、本当にうちの兄は傷口を抉るようなこと言うな)
🕊「…………あ、…………。……そう、そうなのね…」
💍「………………。」
🍃「んー、よく分からんけど、とりあえずレイラはうそつきだったってことだじぇ?」
🦋「ええ、…そうね」
🍃「なら、今日はレイラを吊って終われば良いんだじぇ」
さらっと怖いことを言うな…と一同は思う。
でも、言っていることはその通り。確かなのだ。
🕊「レイラは……良いのかしら…。もしかして嘘をつくしかない状況だったとか……。カミングアウトが他にあるなら…!」
🐈⬛「いいえ、エレノア。私は"黒"よ。確実に白の貴方が庇う必要なんて無いわ。...それに、沢山言い訳をして処刑させるのも嫌なの」
🖤(お嬢様はやっぱり味方か…。出来ることなら助けたいけど、今庇ったら不自然だろうな)
勝つ為に。恐らく人狼になる前なら命に代えてでも助けていただろうが、人狼ゲームは残酷なまでに人を変える。
🦋「なら、今日はレイラを処刑…という事で良いわね」
💍「……うん」
🦂「……はい、構わないです」
🖤「ええ、構いません」
🍃「大丈夫なんだじぇ!」
🕊「…………っ、…。……」
エレノアは言葉を発せないままでいた。
いつまで、こんな大事な人を自分達で処刑したり大事な人が無差別に殺されなければならないのだろう。そして、1番悲しいのは大事な人の誰かが"人狼"だという事だ。
投票の時間。毎回のごとく暗い顔で並ぶ彼らは紙を箱に入れていく。
《投票 レイラ…4 》
《処刑…レイラ に決定致しました。処刑を行います》
椅子に座り、両手を拘束されたレイラは落ち着いた表情だ。
綺麗な黒髪が背もたれの隙間から靡く。
🐈⬛(後は…任せたわよ、人狼さん)
そうして、目星をつけているオスカーとシャルルへ視線を送る。彼らのどちらか、もしくは両方が恐らく人狼だ。
そしてレイラが静かに目を瞑ると、銃声音は鳴り響き、その真っ白な肌に血が流れ落ちた。
もう歩き出す気力すら無くなっている彼らは、ただその様子を呆然と立ち尽くしてみていた。
(誰を守ったら良いんだ…。ジュリー様?エレノア様?…占い師か、霊能者。)
今日の夜は誰を守ろうか。アーケルは弓矢と服を取りに行く為、家に帰りながら考えていた。
(言われた通り、ジュリー様を守る…?いや、でも……)
でも、占い師と霊能者の守るべき優先順位は圧倒的に占い師だ。なので、霊能者とカミングアウトした場合に殺されてしまうケースは物凄く多い。だからこそ霊能者がカミングアウトするタイミングはいつも終盤だ。
(それなら、私は……!)
"エレノアを守ろう"そうアーケルは決めた。
きっと、アイザックなら自分が決めた意見に笑顔で賛成してくれる。応援してくれるだろうと思ったからだ。
これでもし外れたなら…その時は狩人とカミングアウトとして、謝ろう。一生をかけてでも…どんなに罵倒されたとしても。アーケルは足早に家へ帰っていった。
_5日目、夜
"今日は……。"
人狼の服を身にまとい、オスカーは外へ出た。
(アイザック様が死んだなら、今度はジュリー様を確実に守るだろうな……。今日ここでエレノア様を潰しておくか、霊能者は厄介だし)
エレノアの家が見え、狩人がいるはずも無いので颯爽と向かう。
が、その時何かが目の前を通り過ぎたかと思うと、自分の服に矢が刺さっていた。
(やってくれるな……ほんと、)
はっ、とオスカーは呆れて笑った。守らなかったせいで1度占い師が死んだと言うのに…誰だ、一か八かのギャンブラーは。
(その張本人、アーケルを狙いに行った方が良かったか…?)
でも、誰も想像できないだろう。まさか占い師より霊能者を優先して守っているだなんて。
(使えない狩人だと思ってたけど、違うか)
服に突き刺さった矢を雑に抜き、地面に投げ捨てた。
オスカーは、諦めて今夜は家に戻る。
占っていないシャルルを占おうとしていたジュリーは、ふと窓を見た。
可愛らしい黒猫がこちらを見つめた後、視線に気付いたのかふい、と顔を背けてどこかへ行ってしまった。
(猫…。可愛いけど黒猫って不吉だな)
そんな事を思いながらジュリーは水晶玉へ願いを込めようとした…が、いきなり視界がぐらつく。
「……?!……な、なに、…」
息が苦しい。まるで、誰かに後ろから首を絞められているようだ。
「はっ……は、……?!…ど、して…」
何とか息をしようと精一杯空気を吸うが、苦しくなる一方で頭がくらくらし始める。
毒でも盛られたのか……?どうして自分がこうなっているのか考える余裕も無い。
そして、ジュリーは目を閉じたかと思うと身体から力が抜け…動かなくしまった。
_6日目、朝
《人狼の襲撃は、狩人によって防がれました。》
🕊「…!凄いわ…、狩人さん」
🦋「これで、昨夜の襲撃は防げたみたいね」
🦂「…そうですね、」
🍃「やったじぇー!!ないすじゃ、狩人!」
🖤「どうやら、ジュリーさんがまだ来ていないようですが…」
皆がえ?という顔になった瞬間、モニターの文字が変わった。
《また、昨夜ジュリーが突然死しました。話し合いを始めてください》
🕊「突然…死……?」
🦋「なによ、それ……。突然死なんて、そんなのもありなの?」
少しでも希望が見えた、さっきまで彼らはそんな顔をしていたはずだが、一変して絶望した顔に変わった。
🖤(普通に予想外の結果だったけど、1人減ってくれたのは助かったな)
🍃「うおーー!どうするんだじぇ!占えるやつが一人もいない!ここはわしが占うか?」
🕊「……いいえ。私が占えるわ」
エレノアは、前を向いてそうキッパリ言った。
🦂「ですが、エレノア様は…」
🕊「確かに、私はソフィアやジュリーのように誰でも占う事は出来ない。でも…処刑された人の役職なら分かるわ」
🦋「なら、レイラ様の役職は何だったのかしら」
🕊「"黒猫"…よ。」
🦂「黒猫……?」
🖤(黒猫、分かっていたけどやっぱり仲間か……。ジュリー様を道ずれにしてくれた事は本当に感謝しないとな)
🍃「いーや違う!!レイラは人狼だじぇ!」
🦋「あら、どうしてかしら?」
🍃「わしは〜……わしは人狼が分かるんじゃ」
🦂「それはつまり、貴方も人狼という事でしょうか?」
🍃「わしは人狼じゃない!」
🕊「……?」
場が混乱し始める。
🦋「シャルル、エレノアは確定して霊能者よ。それに対抗するだなんて…どういう心境かしら?」
🍃「えっ、いや……だってわしは…わしは"狂信者"だから!!誰が人狼かわかる!」
🕊「……っ!」
🦂「エレノア様の結果は絶対です。貴方がもし人狼が分かるにしても、嘘をついているとしか思えません」
🍃「うえ〜……?なんでじゃぁ…わし人狼分かるんじゃぞ?」
🖤(馬鹿かこいつは……)
オスカーは苛立った目でシャルルを見下ろした。この状況で対抗するのは普通にありえない。そしてシャルルが味方だった事に1番失望した。
まぁ、良く考えるのなら…今疑われるのは、安易に考えてきっと自分かシャルルだ。もしかしたらシャルルは…自分にヘイトが集まるようにしているのかもしれない。
🦋「……。どちらにせよ、シャルル。狂信者なら今回は貴方を吊ることになるわ」
🍃「んー?なんでだじぇ?狂信者って、悪者なのかのう」
🖤(そっからか…!)
思わずツッコミを入れたくなった。
🦂「悪者…かは分かりませんが、人狼陣営の役職ではあります」
🖤「そうですね、今回はシャルルさんを処刑で良いと思いますよ」
すかさず、疑われないようオスカーは市民の彼らに賛成する。
🍃「うーん。分かった!そこまで言うならわしに投票するんだじぇ!!」
何故かシャルルは照れている。人気投票でも無いのに。
今までの発言を考えると、どっちの陣営についているのか分からない言葉ばかりだ。
これが本当の_"狂信者"なのか。
🖤(狂信者ってより、普通の狂人…)
《投票 シャルル…4票》
《処刑…シャルル に決定致しました。処刑を行います》
もう何回も見ているが、この慣れない光景。
処刑場に来ると、確実に精神が削られているのが分かる。
処刑される当の本人は満面の笑みだ。何故かワクワクした様子だし、本当にどうかしている。
🍃「んじゃあ!わしがいなくなった後でもみんながんばるんだじぇ〜!」
そう言って片手を大きく上へ上げた瞬間、脳天を撃ち抜かれたシャルルは力なく項垂れた。
🦋「残り…あたし達4人になっちゃったわね」
🖤「そうですね」
🕊「……人狼は、誰なのかしら…」
エレノアはそう言いながら、オスカーへ視線を向けた。もう明らかに怪しいのは彼しかいない。でも、決めつけるのも嫌だった。
🦂「……。」
🦂(普通に考えたらオスカー様…だが全然クロエ様もありえるんだよな、)
🦋「明日、また会いましょう。この4人が揃っていると良いわね」
🖤「きっと大丈夫ですよ。狩人の方が"弓矢"で打ち抜いてくれると思いますし」
🕊「……え、……。そう、ね」
🦂「……?」
🦋「……」
オスカー以外の人が何か違和感を覚えたのは勿論だが、クロエはこの時、確信した表情を見せた。
先に家へ帰り始めるオスカーの背中に視線を向ける。怒りと、恨みと……そして呆れの意味を込めて。
_6日目、夜
(あと自分を入れて4人……。クロエとアーケル様は市民側って言われてたけど、狼少年が陣営を変えてたら……とか適当なことを言えば勝算は全然ある)
レイラだけは役職をしっかり把握し行動して…皆を混乱させるように仕向けていただろうが、恐らく他は役職を把握しきっていないだろう。なので、"狼少年"という役職を利用すればきっと騙す事が出来る。
レイラやアルム、恐らくシャルルも人狼陣営なので…あの3人の為、というのは綺麗事で普通に自分の優越感の為に勝ちたい。
自信に満ちた顔で、オスカーは暗い夜道を進み出した。
(守る側のアーケル様なら絶対殺せるからな……アーケルを殺して、自分が狩人として次の日カミングアウトするか。それでクロエを黒に仕立てあげれば良い)
"思い通りにはならない"、とか"誰々は最後までみんなの救いになる"、とか死に際に在り来りなセリフをいくつか言われた気がするけど……。ずる賢い奴が上手くいくのが現状だ。素直で、良い子で、真っ直ぐより少し生き汚いくらいが丁度良い。
(……俺は、絶対生き延びる)
そして、オスカーは茂みにいるアーケルの背中ヘゆっくりと近づいた。
ふっ、と笑うとその鋭い爪を持った手を思い切り振りかざそうとした。
が、その時_
何かが頭に当たったかと思うとパリンッ、という音がオスカーの頭上で鳴った。
そして、ツー…と紫の液体が頬をつたる。
混乱していると、段々立つのも辛くなってきて、その場に膝をついた。
「ゴホッ、ゴホ、……な、……なんだ、これ……。……は?」
咳をしたオスカーは、自分が血を吐いたと分かった。
「オスカー、アンタだったのね」
「……ク、ロエ?」
自分がそうしてきたように、今度はクロエに見下されるオスカー。
「幻滅したわ。……あんなに軽く嘘をつけるなんて、人の心がないの?」
「…………。オスカー様、」
どうやらエレノアもいるようだ。人を殺した相手に対してもどうやら慈悲があるらしく、苦しむオスカーに対して憐れんだ顔をしている。
「……。仇です。私の……主人の」
「ええ、そう……ね。私も"仇"、だわ」
ぐっ、とエレノアは胸に当てている拳に力を入れる。
憐れんだ顔から一変、今は珍しく怒りに満ちた顔をしている。
(……でも、なんでばれた?もしかして、クロエは俺の事勘で殺したのか?)
「アンタ、今日解散する前に"弓矢で打ち抜いてくれる"って言ったでしょう?あれは人狼と狩人にしか分からないセリフよ」
狩人が使用している武器は、勿論話し合いの時に持ってくる訳でも無いし、公表されている訳でも無い。使っている本人か、狙われた本人かしか分からないのだ。
「……はっ、でも…………それなら、アーケル……さんも…でしょう、?」
「自分がもし狩人だとしたら普通はあんなこと言わないわよ。態々自分が狩人と分かるようなことを」
(……。)
確かに、あの時のあれは失言だ。全く意識をしていなかった。あれは…アーケルへプレッシャーをかける為の、"嫌味"で言ったのだから。
「…………。くそ、……終わり、ですか」
「……。アンタがした事は許さないけど、……。次は皆同じ陣営が良いわ」
「ええ、…そうね。次こそは絶対に……」
「…………。」
"次"というのは転生した後の事でも言ってるのか?とオスカーは苦笑気味になるが、確かにもう人狼は飽きたかもしれない。
悪役……ヒールをやるのは正直疲れるのだ。
こっちが決めてなっている訳でもないのに、こうやって恨まれる。どうせ皆自分が生き残る為に行動している癖に。
「…………。ゴホ、……次があると…良い、ですね」
毒に侵されたオスカーは、そう言うと目を閉じた。
「……。どの口が言ってんのよ」
少し苦しそうな顔をして、クロエはそう…呟いた。
《市民陣営_勝利》
人狼_創作 @0000_nishiki
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