再生する光……――祝砲の挽歌

433

AIdエイドが……消えた???」


 各地のモニターから、ディストレスと……世界が消えた。


 何が起きたのか、一瞬のことで分からなかった。


 全てが消えてしまった。


 リセットされたみたいに。


「IOP……消失……」


「嘘……」


 リイヤの言葉を打ち消すように、アタシは必死に画面モニターを見つめた。


 エンペラーが光って、亜空間に開いた穴が大きく広がり、黒鉛のような煙が一瞬で世界に降り注いだ……――。


 そして、世界が消えた……。


「いや、消えてない!」


 空間に、夥しい数の光が灯る。


 ランタンに灯した色とりどりの灯りのような……――。


HyLAハイラで造り出したコズミナルエンペラーは、ディストレスと同じじゃない」


 悪意あくいに、染めるわけにはいかない……――。


 人が、つくりだした未来に!!!


 宙に浮く、光るキートップにそうちゃんが触れた。


 静かな……決心にも似た黒い瞳。


 昔の、そうちゃんのみたいだった。


 画面モニターの中の街が、急速に修復されている。


小松こまつさん、被害にあった住人は!?」


「みんな避難済みよ!!」


「よかった……」


そうちゃん、どうやったの?」


「分かんないよ、ただ手を動かしただけだ。……技の名前も決まってないし」


 アタシはどんな感情かわからないまま、でも嬉しかった。


「決めなよ、好きなやつ」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る