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「なに……やってるんですか」


 ジンに、何をやらせているんだ?


「直に分かる。お前にもやってもらう」


 ――お前は帰るんだ。ライ。


 月明かりの珊瑚の横で、後藤ごとう崎山さきやまは歪んだ喜びを抑えようともせず、高らかに叫んだ。


「俺にも何か……」


 ――大丈夫だ、ライ。帰ったら話す。


 必死に繋ごうとする糸を、おまえは断ち切ろうとする。


 ジンに細工された珊瑚が、動いた気がした。


 二人は俺なんて見ていなかった。


 このの企みに、加担してはいけない……頭の奥の方で、何かが鳴っていた。


 ――帰ってほしい。大丈夫だ。


 おまえと俺の意識はシンクロしているはずなのに、動機が止まらなかった。


 ――お前は帰って来るのか?


 その問いにおまえは応えなかった。


 銃声が、波の音を貫いた――。


関野せきの、こっちに来い」


後藤ごとう崎山さきやま主任、そいつは邪魔です。……邪魔です」


 お前の声が、聞こえなかった。


「上手く成功させるためには……僕と貴方で」


「使えるものはなんでも使え」


「わかっています。ですが……」


「まぁいい。関野せきのお前は邪魔だ」


 ――ジン、返事をしろ!


 ――言うことを聞かなければ、僕がやられる。残りの心臓がね


 ――二人でやれば……


 ――僕を信じろ


「……わかりました」




 長い夜の後、おまえは帰ってきた。


 特務機関二課主任の職位と共に。

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