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 サファイアみたいな青い惑星ほし……


 宝物みたいなその惑星ほしが、アタシたちの惑星ほしだ。


「まだ大丈夫だ」


 ホログラムモバイルでレイダー搭乗者パイロットのコアバイオリズムグラフを見て、サブローはアタシたちに移動を促した。


艦橋ブリッジに行こう」


 久々に来た母艦の艦内は、ブルーホールを思い出してしまって少し悲しい気持ちになったけど、そうちゃん、シュウジ、幸子さちこ、ジュン、そしてサブローに囲まれて、少し前を向ける気がした。


「ねぇ、あねが僕に通話したのここでしょ」


 スタッフ仮眠室を通り過ぎざまにシュウジがこそこそと言った。


 興味を持っていたから、母艦の様子を話したから、覚えていたのかもしれない。


「違うよ、シュウジが通話してきたんでしょ」


 アタシはいつも、家族やみんなに支えられている。


 今も、ひとりではここを歩けない。


「みんな!」


 ブリッジには玲鷗れおんの姿もあって、忙しなくいくつものホログラムキーボードを操っていた。


 宙を舞うコックピット式の椅子に、シュウジの目が煌めく。


「ライさんはIOPの大統領補佐官を務めたこともある人だ。それに、新しいレイダーは水素の力に加えて、惑星ほしのコズミナルエネルギーを装備している……」


「でも、乗るの初めてなんだよね」


 シュウジの純粋ピュアな瞳がそう言った。

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