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「待ってよ!サブローさん!!!」


 関野せきの艦長が作った通路でシュウジが立ち止まる!


「なんか分かんないけどディストレスが出るんでしょ!知らない人だけど知らないふり出来ないよ!!!」


「ア、アタシも嫌だ!!サブローが世話になった人なんじゃないの!?」


 声が出た。


 ……怖い……イヤリングから、嫌な気配が伝わっていた。


 けど……さっき会ったばっかの人だけど……見捨てたくないってアタシの直感が言ってるのを無視したくない。


 自分自身の声を、もう見ないふりしたくない!!!


「戻ろうよ、サブロー氏」


 水素針すいそしんを手にした幸子さちこの髪が風圧に流れる。


「爆発が起きてる。どうしますか?三島みしまさん」


「ライさんの離脱チャネルは俺が管理してる」


「分かりました!シュウジ!大丈夫だ!」


 再び引っ張られて、アタシは息が切れそうになる。


「着いたら説明する!!……ハァハァ……彼は……」


 サブローももつれながら叫んだ


「ライさんもレイダーの搭乗者パイロットだ!」


 風圧を受けながら、灰色のハッチに飛び込んだアタシたちは、ぶつかり合い折り重なり倒れた。


「ハッチ施錠確認。エネルギー充填、転移ワープ!!!」


 リエナさんの声がして、一瞬の浮遊感。


「ミカ、大丈夫?」


「うん……エッ」


 旋回窓の向こうに、青い惑星ほしが輝いていた。

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