370

「この、東京海底谷トーキョーキャニオンで獲得した真珠は、我々にとって、直接的な悪影響は無いとわかりました」


 エリアB副所長のリエナさんが真珠の拡大ホログラムを研究室内に投影する。


「ここからは私が説明します」


 サブローが壇上に立つ。


「まず、日々しっかりとトレーニングや調整をし、この真珠獲得ミッションを成功させてくれたレイダーチーム、それを支えてくれたスタッフの皆さん、観測、開発チーム、これからのミッションに備えて、今日、ここに来てくれた搭乗者パイロットチームの皆さん、本当にありがとう」


 サブローがホログラムポインターを使って、東京海底谷トーキョーキャニオンのホログラムマップを示していく。


「先ほどリエナ君から説明があった通り、この通り真珠はこの位置に置かれて、その周りには通称『もや』が発生していた」


 そう、ブルーホールにも、ホーリーチェリーにもこの黒いもやが発生していて、あの忌まわしい雲が発生する時にも、このもやが発生している。


「このもやの影響で、その地域へのAIでの干渉が妨げられたり、ディストレスが発生していることは皆さん知っていると思いますし、真珠の周りにも、事実、ディストレスが発生した」


 そう、レイダー以外での調査は難航してしまう。


「しかし、現在の東京海底谷トーキョーキャニオンの様子がこれです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る