363

「怒られちゃったね……」

「な!まーほっしーの怒り方って面白いけどナ!」


「そこっ!」


 びしッ!っと声をかけると、シュウジとリイヤが返っていひひと面白そうに笑う。


 まったく……アタシは引率の先生じゃないんだからね!!!


 ゾロゾロと男子たちを引き連れて、アタシはため息をついた。


 先生といえば、最近篠坂しのさか先生の姿を見てない。


 HRには代理の白藤しらふじ先生が来ていて(ちょっと天然な雰囲気イケメン!)、白藤しらふじ先生の授業も面白いんだけど……せっかく篠坂しのさか先生の雰囲気に慣れて来たのにって思っていたところだったのに……諦めているような、でも、好きな和歌の説明をする時の、淡々とした感じが大人という感じで、情景や思いにに落ちたりしていたのに……


 大人になればなるほど、いろんな仕事が増えていくのかもしれないけれど……


「どしたの?あね


「な、何が!?」


 弟はみょうに鋭い。


「あ、アンタたちがはしゃぐから……さ……」

「それはごめんて」

「まぁいーけどさ」

「僕も……それならまァいいけどサ」


 弟は、アタシが悩むようなことなんて、いとも容易たやすく解決する手段を手に入れるタイプかもしれないけど……でもアタシはこのモヤモヤをうまく話せない。


 それが出来たらうまくいくのかもしれないけれど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る