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「
ひんやりとした砂や鉱石がきらきらと光る穴の中に、ぼんやりとした松明みたいな灯りが灯る、静かな教室。
暗くも明る過ぎずもなくて、不思議と集中力が湧いた。
いかにも科学者な、白衣にメガネの人の良さそうなエリアス・ランゲ先生は、岩を削った黒板(岩板……?)に、すらすらと元素の周期表を書いていく。
実はアタシは、周期表を全て覚えていた。
原子番号1番H、
水素の力で動くハイドロレイダーのことを、少しでも知りたかったから。
古代のロケットも、水素で動いていたという。
でも今はそれだけじゃなくて、原子自体に興味が出てきてもいる。
この世の有機物も無機物も全て、原子から出来ている。
原子の運動や特性を知ることによって、母やサブローの役に立てるのではないか……
少なくとも何も知らないままではいられないのだ。
とはいえ、ランゲ先生はいい人そうだけど、洞窟内の不思議な居心地の良さに、アタシは眠くなってもきていた。(予習の賜物でもある!)
そういえば、白蛇様か……。
ノートの端に、可愛い蛇の絵を書いて、気を紛らわせる。
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