247

「全ッ然来ないね!⭐︎」


 幸子さちこは医務室のふかふかの布団の上に、ばふっと座ってため息を吐いた。


 女子用の綺麗な真っ白い医務室。


 布団は思いのほかふわふわで、広いスペースにいくつもあるベッドの一つに、リディアは潜り込んで眠っていた。


「お腹空きましたよね」


 医療スタッフのメイテルさんが差し入れてくれた麦茶とシャケのおにぎりがいやに美味しい。


「求められているかどうか疑問だ……」


 と言いながら、ジュンとマックスは男子用の青い医務室で待機している。


「おにぎりは美味しいけどー☆」


 幸子さちこは遠慮なくおにぎりをほうばり、ごくごくと麦茶を飲んでいる。


「せめて外の様子を見たいよね……」


「すみません……艦橋ブリッジから止められていて」


 メイテルさんは麦茶を継ぎ足してくれた。


 冷たくて香ばしくて、美味しい。


 けど、アタシはロボちゃんが心配だった。


 ロボちゃんはまだ慣れていないらしく、人型のレイダーを操ること、ワープでトレーニングルームに帰還することが得意ではないらしい。


 強制帰還は自分のタイミングじゃないから、衝撃が伴う。


 それに万が一、コックピットの物理的な射出となると……


 一度ロボちゃんは成功してるけど、痛そうだった。


 それに、万が一……


 アタシは拳を握った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る