236

「ど……う……して…………」


 太平洋の真ん中、絶海のブルーホールの真上の監視艇の艦橋で、アタシたちは眼下の光景に言葉失っていた……


 ブルーホールに飲まれていく巨大な緑の獣……


「な……何か手はないんですか!?」


 アタシは艦橋スタッフに詰め寄った。


「あ、あの中に……ロボちゃんがいるなんて嘘ですよね!?」


 さっきまで希望に満ちていたみんなの顔から血の色が無くなる。


 待っていただけだ。


 アタシたちはロボちゃんの到着を。


 Hylabハイラボ搭乗者パイロット全員のレイダーが着艦してもなお余りある巨大な飛行艦の巨大な影が、怖いほど青い海に影を落としている。


「待って……!動いてる!ロボちゃんのレイダー!!」


「また直接……!」


「だめだ!みっちゃん!!」


 水素針すいそしんを射出したアタシの腕が強く掴まれた。


「……諦めろって言うの……?」


「違う……アクアフルールは水中実験が終わってない。……だから……」


そう!繋がった!!」


 ブリッジのメインモニターに、ロボちゃんの姿が映る。


「ロボちゃん!!!」


「ごめん!また失敗した!!!」


 ロボちゃんの瞳は、焦燥に包まれていた。


 なす術のなさが、ブルーホールに飲まれていく。


「こんな課外授業ってあるのかよ!」


 ジュンが吐き捨てた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る