薄明のハイドロレイダー

228

「ハッ……ハッハァッ…………！！」

　ライトアップされた夕方のセントラルパーク……だった場所をアタシは走っている。

　剥き出しの岩盤に、セントラルパークの緑が散らばっているのが不謹慎にも絵みたいに綺麗だ……。

「アクアフルール！！！」

　バリア越しに見る緑は、海底のように暗くも美しい……。

　……見えた！！

「ロボ菜（な）ちゃん！！ロボ菜（な）ちゃん！！！」

　中途半端に獣になりきれない半獣のレイダーの亀裂から、小さな少女が棘（とげ）のように飛び出している……

「みっちゃん！H（ハイドロ）MW（マイクロウェーブ）の濃度が高い！もっとバリアを展開して！！」

「うん…！！！ッ！！ダメっ！！落ちる！！」

　亀裂から少女がズルりと滑り——

「ロボ菜（な）ちゃん！！！」

　アタシの絶叫の横を、風が通り過ぎていく……

「キャッチ！！！」

「リイヤ！！！」

　間一髪のところでリイヤ・キュロスがロボ菜（な）ちゃんの身体を受けとめた。

「バリアを切らさず機獣型レイダーから離れるんだ！！」

「ロボ菜（な）ちゃん！！！ロボ菜（な）ちゃん！！！」

　リイヤと並んで走りながら、アタシは呼びかけ続けた。

　ロボ菜（な）ちゃんが目を覚ます……

「青葉（あおば）……墜（お）つ。緑（あお）、尚（なお）生きる……石の……上」

「え？」

　息を切らせて立ち止まる。

「難しいねほっしー。レイダー乗るのって」

　ロボ菜（な）ちゃんは笑った。