薄明のハイドロレイダー

秘密の青……——絶海のIOP

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「ここまで来れば……」

　宗（そう）ちゃんは空中に浮いたホログラムモバイルのAIR（エア）-Touch（タッチ） Panel（パネル）を次々に収拾して本体に格納した。

「ロボ菜（な）ちゃん！」

　リイヤに抱えられて、ロボ菜（な）ちゃんは呻（うめ）いたけど、表情は穏やかだった。

　気づくと裏路地で、Hylab（ハイラボ）の建物が見えていた。

　HyLA（ハイラ）の円盤にライトアップされたマンハッタンの街が、少しずつ再生していく……

「きれーだね、ほっしー」

　壊れた街が元に戻るその光景は、確かにいつも綺麗だ。

「うん」

　ロボ菜（な）ちゃんが守った街……。

　その光景を心に刻む権利が、ロボ菜（な）ちゃんにはある。

　アタシはロボ菜（な）ちゃんの手を握った。

　まだ熱いその手は、幾千万の強さを秘めている……

「だいじょぶだよ、ほっしー。わっ！」

　HyLA（ハイラ）の医療スタッフが、リイヤからロボ菜（な）ちゃんの身体を車椅子に移す。

「だいじょぶです、疲れただけですから」

「後は我々が」

　スタッフの人たちが、ロボ菜（な）ちゃんを取り囲む。

「ありがとーございます！じゃあまた明日、ほっしー！」

　車椅子の向こうで力強く手を挙げるロボ菜（な）ちゃんは、もしかしたら本当に明日学校に来るかもしれないと思った。

「糸井（いとい）さんは、H（ハイドロ）MW（マイクロウェーブ）の影響を受けにくい体質みたいだよ」

　宗（そう）ちゃんが言った。

　街のライトアップが、消えた。