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「ろ、ロボちゃん!?」


 窓の向こうのセントラルパークに、巨大な二体のレイダーが見える。


 ロボちゃんの翡翠みたいな濃緑色のうりょくしょくのレイダーは、強い力に散って行ったセントラルパークの木々の緑の残骸の中に、突っ伏して横たわっている。


 剥き出しになった岩盤の上に散らばる緑は、儚くて強い、命の残り香だ。


 風が吹くと、粉々になった緑が舞った。


 それは過ぎた春のようでもあり、これからの熱さへ誘う深緑のミステリーのようでもあった。


 その光景けしきの向こうに、赤いコランダムレイダーが真っ直ぐに立っている。剥き出しの、新しい荒野に。


「オッケィ、ロボちゃん、あとは私がやるからね☆」


「ごめーん!」


 あんなに勇ましかったロボちゃんは、ぺしゃんと、なんだか可愛らしく思えてほっとする。


「ヨシッ☆」


 幸子さちこ水素針すいそしんを天に掲げ、荒野の真ん中の巨大なモクレンディストレスを見つめた……


「この世の全てがあかく染まる」


 ……え?


「私の希望ねがいはたったひとつ」


 幸子さちこ台詞せりふ無かったはずなのに……


「さよなら、」


 でも……


「ディストレス。」


「コランダム!!!!!!」


「ブレイズ☆☆☆☆☆☆」


 ロボちゃんと、幸子さちこの輝きが、美しく恐ろしい銀虎ディストレスたおし、神々しいモクレンディストレスを今、消し去ろうとしている……


 でも……


 アタシは……——

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