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 ビー!ビー!ビー!ビー!


 消魂けたたましい警告音——……


「な、何?」


 アタシは慌てふためいてリュックの中を探る。


 ちょっ!どこ行ったの!?アタシのモバイル!!!


「避難だ!教室に戻ろう!!」


 やっとモバイルが見つかって、メッセージを展開する。


 ——星ヶ咲ほしがさきミカ、Hylabハイラボ自教室内に避難せよ——


「え!っ行こう!!!」


 肩で息をするロボちゃんの腕をつかむ……けど、びくともしない!


「ど、どうしたの!?ロボちゃん!!」


 息を整えながら、ロボちゃんは真っ直ぐ前を——アタシを見つめた。


「私は——」


 ロボちゃんのモバイルに透明な文字が浮かんでいる。


 ——Acceptうけいれる  or Rejectきょひするか——


「行ってみるっ!」


 小さな指が、Acceptとライズブレスをトンットンッ!!と跳ねた。


 ロボちゃんの濃緑色のうりょくしょくのブレスが、キラキラとワープシートに変わる。


「見ててね、ほっしー!幸子さちこっ」


 ロボちゃんの姿が、ワープシートの上で消えた。


「……えっ?……!!!」


 グァアアアアオ!!!!!!!


 マンハッタンの月を背負って、緑の獣が咆哮ほうこうした。


 黒い瞳の……


「レイ……ダー……?」


「ミカ!あっち!!!」


 獣が見つめる先に、寒気がする程美しい……巨大な銀色の虎ディストレス……。


 黒い瞳が、金色に輝いた。


 

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